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スノーピークのたき火用ベスト まるで「着るバッグ」

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NIKKEI STYLE

スノーピークのアパレルライン「スノーピークアパレル」が好調だ。自然の中で過ごしやすい機能素材を使いながらも、着心地が良くて街にも似合うシンプルなデザインが人気の理由。中でも2016年秋冬シーズンに登場した「TAKIBI Vest」は、毎シーズン完売を繰り返すほどのヒット商品だ。

着想はキャンプ道具を収納するバッグ

スノーピークの山井梨沙社長が「スノーピークアパレル」を立ち上げたのは14年。19年12月期には売り上げ17億2000万円まで成長し、キャンプメーカーのアパレル事業として順調に推移している。

コンセプトは「ホームとテントを行き来する服」。アウトドアの過酷な環境にも耐え得る機能素材を採用しながら、インドアでも着ていたくなる着心地を追求。シンプルだがディテールまでこだわったウエアの数々は、キャンプ愛好家はもちろん、スノーピークを知らなかった20代のユーザーからも支持を集めるブランドへと進化した。

そんなスノーピークアパレルを象徴する定番アイテムが「TAKIBI Vest」。16年秋冬シーズンに登場して以来、19年度までに2500着を販売。ベースのデザインはそのままに、素材やディテールをアップデートしながら、毎シーズン完売を繰り返している。

「正直、初年度はそこまで反響がなかった。17年春から店頭スタッフが着始めたことで問い合わせが増え、その年の秋にウール素材を出した影響もあってファッション性の高いイメージが広がっていった。当時は初期ロットで300着しか作っていなかったので、18年秋冬まで売り切れが続いていた。しかし、売り切れで話題をつくるようなことはしたくなかったので、現在はロット数を増やし、手に入りにくい状況ではなくなっている」(スノーピーク Apparel企画開発部 開発課エグゼクティブクリエイターの菅純哉氏)

19年からは消防服などにも使用される難燃素材、アラミドを100%採用したことでさらにブレーク。税込みで1着4万円近くするにもかかわらず、年間約1500着を販売するまでに成長した。たき火という限定的なシーンに特化したネーミングの商品でありながら、これほどの数が売れる理由は、とにかく「街でも着やすくて使いやすいデザイン」だからだ。

「ハンマーやペグ、グローブなど、キャンプでよく使う道具を収納できるもの、ということで開発を始めた。最初はバッグを考えていたが、フィッシングベストやハンティングベストのように、キャンプベストがあってもいいのではと構想を広げていった。もともと街で着ることも想定していたため、がちがちなギアっぽくないデザインも受けている要因だろう」(菅氏)

実際、購入したユーザーからの反応で一番多いのが「さまざまなアイテムがたくさん入る」という評価だ。財布やスマートフォン、充電器、ペットボトル飲料など、身の回りの必需品が豊富なポケットに収納できる。このベストが「着るバッグ」と呼ばれるゆえんだ。

苦労した、燃えにくい素材探しの旅

「TAKIBI Vest」というネーミングなので、当然、火に強い素材を採用している。たき火の火の粉が飛んできても穴が開くことはないし、はぜた炭が飛んできても問題ない。だが、たき火をするときに安心して過ごせる素材を見つけることは「難儀だった」と菅氏は打ち明ける。

「開発を始めた16年当初、アパレルで使える難燃素材は存在しなかった。あるのは軍隊とかレスキュー隊員のユニホームに使われるもので、とても企業のアパレル事業単位で発注できるロットではなかった。当時、帝人が消防服などに使用するアラミド素材を作っていたので、TAKIBI Vestの発売前に別の商品で採用したこともあったが、上代(販売価格)が高くなりすぎてあまり売れなかった」(菅氏)

試行錯誤の末にたどり着いたのが、綿素材に後加工で難燃性を付与する方法だ。その素材は現在、多くのアウトドアメーカーから発売されている難燃素材をうたった商品に使われている。しかし、あくまでも加工によって燃えにくくしている素材。洗うと効果が低下するため、半永久的な性能は保てない。そんなとき、難燃素材の新たな使い方を模索していた帝人から声がかかり、キャンプ用の難燃素材を共同開発することになる。

「アラミド素材をアパレルに転用する発想はそれまでどこも持っていなかった。帝人と共同開発した素材はあくまでもキャンプ用途なので、肌離れが良くて着心地が良いもの、引き裂きに強いもの、オリジナルカラーで染められるもの、そういった要望を伝えていくつか試作した。その結果できたのが、アラミド繊維の『コーネックスネオ』という新素材を使用したキャンプ仕様の生地だ。難燃性を永久に担保できるアラミド100%を使ったメーカーは、国内ではスノーピークだけだろう」(菅氏)

この新素材を採用したTAKIBI Vestは18年の秋冬シーズンから投入され、業界に衝撃を与えた。というのも、当時、難燃性を売りにした商品は各社から発売されていたが、ライターであぶってもびくともしないアラミド素材の難燃性は圧倒的だったからだ。

「この素材ができたタイミングで、TAKIBI Vestをはじめ、スノーピークのたき火ウエアはすべてこの素材に切り替えた。ごわつきがなくて肌触りが良いのも特徴で、一見しただけでは難燃素材だと分からない。街でもキャンプでも使っていただき、自分の服になる味としての経年変化を楽しんでほしい」(菅氏)

スペックか、それともおしゃれか

18年秋、アラミド100%の素材を業界で初めて採用したTAKIBI Vestは、瞬く間に完売した。スノーピークユーザー限定のキャンプイベントでは、来場者から「買えなかった」とお叱りを受けたこともあったという。その反省を踏まえ、19年度からは生産数を拡大。今でも人気カラーはサイズによって欠品が発生することもあるそうだが、供給体制は安定してきている。

現在TAKIBI Vestで使用している素材は大きく2種類ある。「アラミド100%素材のものと、カネカロン糸を織り込んだもの。前者は難燃性にこだわったエクスクルーシブなモデルで、後者は天然素材の質感を楽しみたい人へ向けた、よりファッション性の高いラインとなっている」と菅氏。

20年秋の新作は、丈夫で目が密になった平織り物素材を使った「TAKIBI Duck」と人気のデニムシリーズをリニューアルした「TAKIBI Denim」の2種類。どちらも街着として合わせやすい見た目だ。またTAKIBI Denimには今季からキッズサイズも登場した。

「デザインは発売当初からほとんど変わっていない。マチを広げたり、バックルの素材を変えたり、面ファスナーを変えたりはしているが、基本パターンは同じ。アイコン的な商品なので、過度に変更する予定もない。過去のモデルに採用した素材を復活してほしいという声もあるが、基本は売り切り。欲しいと思ったときに購入していただきたい」(菅氏)

定番商品としての顔を持ちながらも、素材はシーズンごとに切り替わるTAKIBI Vest。一般的に定番商品というと、規格化・標準化された商品で、流行やシーズンにあまり左右されずにコンスタントに売れるものをいう。しかし、スノーピークアパレルの定番商品は、ある時期を逃すと二度と手に入らなくなってしまう。こういった巧妙な戦略も、ファンを夢中にさせる要因だろう。

「いろんな人がライフスタイルに合った使い方をしてくれている。ノートパソコンなどの仕事道具を詰め込んだり、ジムに行くときの道具を入れてみたり。個人的には背中の大きなポケットにインフレータブル(空気を入れて膨らませる)の枕を折り畳んで入れておくのがお薦め。勝手に背当てクッションになってくれる」(菅氏)

キャンプはもちろん、普段のさまざまなシーンでバッグとして活躍するTAKIBI Vest。一着あると、何かと重宝することは間違いないだろう。

[日経クロストレンド 2020年8月28日の記事を再構成]

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