「週1出勤」も当たり前に 転職条件で重み増す在宅率ビジネスパーソン700人調査(下)

在宅勤務への対応は勤め先の体質をあぶり出した(写真はイメージ) =PIXTA
在宅勤務への対応は勤め先の体質をあぶり出した(写真はイメージ) =PIXTA

新型コロナウイルスの感染拡大を機に、転職志向が高まり、在宅勤務を望むビジネスパーソンが増えている実態が今回のビジネスパーソン700人調査で浮き彫りになった。長らく日本で主流だった「出社型勤務」の時代は終わるのか、ウィズコロナ時代の転職で重要なポイントは何かなどを、法政大学キャリアデザイン学部の田中研之輔教授に聞いた。このアンケート調査は就職・転職支援の日経HR(東京・千代田)が「日経キャリアNET」登録会員を対象に、2020年7月30日から8月7日にかけて実施した(有効回答数は735人)。

――「コロナを機に転職への関心が高まった」と回答した人が全体の約6割に上りました。背景にどういった要因がありますか。

「3つの理由があります。1つ目は、特定の業界が受けたコロナによる悪影響です。大きな打撃を受けている業種は、飲食、ホテル・旅館、アパレル・雑貨、建設・工事、航空、交通インフラなど多岐にわたります。直接的な影響を受ける企業、その連鎖として間接的に影響を受ける企業、どちらの企業に勤めているビジネスパーソンであれ、『(現在の)業種の成長性への不安』を抱かざるをえません」

「2つ目は『組織の適合力』が関係します。緊急事態宣言が出たタイミングの前後で、組織が目の前の変化にどれだけ柔軟に対応できるかを示す『組織の適合力』が露呈しました。テレワークを一切導入しない企業、テレワークを導入したものの、働き方のマネジメントを円滑に進められない企業など、変化への適合力が低い企業に勤務し続けることは、これからの自身の働き方を考えるうえでリスクだと認識されたでしょう」

「3つ目は自らと向き合う時間によるものです。外出自粛の期間中、ビジネスパーソンの多くは、これまでの働き方や生き方について、自らと対話する時間が持てるようになりました。『このまま今の会社で働き続けていいのか』『転職に向けて行動したほうがいいのではないか』と考えるようになったのです」

――コロナを機に在宅勤務を希望する人が急速に増えているようです。在宅勤務経験者の間では「今後も継続を望む」という回答が約9割に上り、メリットとして「通勤」を挙げた人は5割強と、その他の要因を大きく引き離してトップでした。「出社を前提とした働き方」はどのように変化するとみていますか。

「従来の働き方の前提だった通勤は、これからの『当たり前』にはなりません。在宅勤務を導入できる企業と、導入できない企業に二極化するでしょう。在宅勤務を経験した社員は、ロケーションフリーで働けることのメリットや家族・プライベートと仕事とのバランスをとりやすい働き方であることを体感したうえ、業務についてもインターネット環境さえあれば遜色なくできることを確認し、オフィス勤務へと戻る必要性を感じなくなりました。在宅勤務の継続を望むのは自然な流れです」

「一方、テレワークを一時的に導入したものの、原則オフィス勤務に戻した企業では、社員の離職が進むと予想され、人材確保の難しさという課題を抱えることになります。つまり、企業の経営層にとって今、必要なことは、在宅勤務が可能な業務については積極的に在宅にシフトし、それに沿った人事制度を敷くことです。在宅勤務を導入しない企業は、その理由を社員に丁寧に、合理的に説明することが不可欠になります。そのような説明がない限り、在宅可能な企業に転職していく社員は今後も増え続けるでしょう」

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