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インフルとコロナ同時感染 ツインデミックどうなる?

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NIKKEI STYLE

ナショナルジオグラフィック日本版

かかりつけ医から予防接種を勧める案内が届き、近所の薬局には「インフルエンザの予防接種、受けられます」というチラシが貼られる――米国の秋の風物詩だ。

ただ、今年はいつもの秋とは違う。季節性インフルエンザと新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の両方が同時に大流行する「ツインデミック」の恐れがあるからだ。専門家の研究では、この2つの感染症に同時にかかる可能性があることが示されている。

米国では、季節性インフルエンザを、考えられているほどには、深刻に受け止めてこなかったと見ていいだろう。とういうのも、米国疾病対策センター(CDC)によれば、2019年に米国でインフルエンザの予防接種を受けた成人は45%にとどまるからだ。季節性インフルエンザは悪化すれば死に至ることもある病気で、過去10年間で、年平均3万7000人が亡くなっているにもかかわらずだ。

インフルエンザと新型コロナの両方に感染することは、医療システムから見てもかつてない脅威だ。季節性インフルエンザに限らず、鳥インフルエンザが人間に感染して、新しいパンデミック(世界的な大流行)を引き起こす最悪の事態も見据えなければならない。

そこで、ナショナル ジオグラフィックは、感染症の専門家2人、すなわち米メリーランド州ボルティモアにあるジョンズ・ホプキンス大学医学部の感染予防のシニアディレクター、リサ・マラガキス氏(以下、マラガキス氏)と米テネシー州メンフィスにあるセントジュード小児研究病院の感染症の専門医、ロバート・ウェブスター氏(以下、ウェブスター氏)に、二重の脅威に直面する今年、何が問題点なのか、そしてインフルエンザの予防接種はできるだけ早く受けるべきなのかを聞いた。なお、以下のインタビューは、要点を簡潔にお伝えするため、編集していることをお断りしておく。

――COVID-19にり患することは、季節性インフルエンザにかかるより怖いと思いますが、なぜ米国の公衆衛生当局は、インフルエンザの予防接種の心配を始めたのでしょうか?

マラガキス氏「そもそも季節性インフルエンザとCOVID-19の症状は、非常に似ています。ですから、正確かつ迅速に診断することは重要な課題です。もし症状が軽かったとしても、自分で判断しないでください。特にCOVID-19かどうかを、ひどい咳(せき)の有無だけでとらえてしまうのは危険です。体や喉の痛み、発熱、呼吸器の症状がある場合は、医師に連絡するようにして、COVID-19の検査を受けましょう。実は、新型コロナが疑われる症状は様々であることが、明らかになってきています。味や匂いがしなくなるだけではなく、吐き気や下痢、さらに足のつま先が赤く腫れる場合があることも分かっています」

マラガキス氏「病気になったときは、どんな感染症に罹患しているかはっきりさせることが重要です。インフルエンザなら、かかりつけ医が抗ウイルス薬を処方してくれます。COVID-19にかかった場合、重症者用の病院に行く必要があるかどうか、かかりつけ医が助言してくれるでしょう。ステロイド剤や、治験薬が処方される場合もあります。もちろん、他の人に感染させないように、患者は隔離されなくてはなりません」

「インフルエンザは、軽症なら2、3日具合が悪いだけで自然に治るから、たいしたことはないと考える人もいるかもしれませんが、それは誤りです。インフルエンザは、入院する可能性もある感染症です。知り合いに、インフルエンザウイルスが引き起こす肺炎になったことがある人がいるなら、病気の間どれほど辛かったか、聞いてみるべきです。米国人の多くは、まだインフルエンザの深刻さを正しく認識していないと、私は思います」

――これからのインフルエンザ・シーズンをどう予想したらいいでしょうか? 南半球で起きたことを踏まえて教えてください。

ウェブスター氏「北半球でのインフルエンザ・シーズンが、どれほど深刻なものになるかは、誰も分かりません。ただオーストラリア、ニュージーランド、チリなど、一足早くインフルエンザ・シーズンを迎えた南半球諸国から、とても参考になるニュースはありました。これらの地域では、冬場の季節性インフルエンザの発生率が驚くほど低かったのです」

「理由として考えられるのは、南半球の各国政府が、社会的距離の確保、手洗い、マスクの着用など、効果的な新型コロナ対策をすぐに打ったからです。このおかげで、南半球の冬でも、インフルエンザウイルスが広がりにくくなっていたと考えられます。ちなみに、オーストラリアのメルボルンは、新型コロナのため、現在(20年9月15日時点)もロックダウン(都市封鎖)下にあります」

「ところで、季節性インフルエンザの最大の感染源は子どもです。つまり、学校の閉鎖も、感染拡大の防止に役立ちます。ただ、自宅がある地域の健康ガイダンスに正しく従っていても過信は禁物です。やはり、インフルエンザの予防接種は受けるべきです。あなたが感染して大丈夫だったとしても、インフルエンザにかかったことが原因で亡くなる可能性がある人たちに、感染を広げてしまうことを忘れてはいけません」

――インフルエンザワクチンには効果があまりないから、予防接種する価値がないと考える人もいます。こうした人たちに、伝えたいことは何でしょうか?

マラガキス氏「確かにインフルエンザワクチンは100%有効ではありません。ワクチンは、何カ月も前に、そのシーズンに流行すると予想される4種の異なるウイルス株から作られます。ですから、予防効果も、その年にはやるインフルエンザによって変わります」

「でも、完璧ではないといっても、現在、私たちがとれる最善の予防策であることは事実ですから、ワクチンは活用すべきです。ワクチン接種後にインフルエンザにかかったとしても、軽症で済み、早く治る可能性も期待できます」

――どこでなら、インフルエンザワクチンを安全に接種できますか? COVID-19の感染リスクが高くても、そのリスクを取る価値はありますか?

マラガキス氏「米国では、インフルエンザワクチンは、診療所や薬局、スーパーマーケットなど、様々な所で接種でき、予防接種の場所に関しては、いくつかの選択肢があります。COVID-19に接したくなくて、密集して列に並ぶことが心配な場合は、地域の薬局や医療機関に、接種時間を予約できないか、問い合わせるといいでしょう。医療センターでは、マスク着用を義務付け、物理的距離を確保し、こまめに清掃を行うなど、安全を確保するよう予防策を講じています。また『ワクチンで病気になる』という通説がありますが、たとえ免疫が低下していても、インフルエンザワクチンが原因で、インフルエンザにかかることはありません」

――インフルエンザとCOVID-19に同時に感染したらどうなりますか? どちらか一方に感染していたら悪化しますか?

マラガキス氏「季節性インフルエンザとCOVID-19――この2つのウイルス性疾患を併発する可能性があること、それらを免疫システムが同時に撃退するのが難しいことが既に分かっています。肺が深刻なダメージを受け、回復までに時間も長くなり、さらには合併症にかかるなどして重症化すれば、死に至る危険も出てきます」

「現在のところ、COVID-19とインフルエンザのどちらかにかかったことが原因で、もう一方に感染する可能性が増すかどうかまでは分かっていません。呼吸器ウイルス感染症は、気道の組織にダメージを与えます。ですから一般に、抵抗力が弱まって他の呼吸器ウイルスを撃退することが難しくなります。さらに肺炎(どちらのウイルス感染でもなる可能性がある)が引き起こされれば、今度は細菌が肺に侵入することにもつながります」

――インフルエンザの予防接種を早く受けなければならない理由を、端的に教えてください。

マラガキス氏「インフルエンザワクチンを接種するのであれば、20年10月末までに打つことをお勧めします。ワクチンを接種してから免疫ができるまでに、10~14日かかります。このため、ワクチンを早期に接種すれば、本格的なインフルエンザ・シーズンが始まる前に、みなさんの体に『防衛システム』が作られます。予防接種が遅くなるほど、インフルエンザにかかる可能性は一般に高くなります(編注:日本の厚生労働省も早めの接種を勧めているが、原則として、予防接種法に基づく定期接種対象者(65歳以上など)は10月1日(自治体により異なる)から、それ以外の人は10月26日から接種するよう協力を求めている)」

――インフルエンザの「万能ワクチン」は実現するのでしょうか?

ウェブスター氏「それが私の夢です。万能ワクチンの利点は、どんな型のインフルエンザ株に対しても効果があることです。そうなれば、毎年、予防接種をしなくてもよくなるでしょう。『今年どの株が流行するか』を研究者が推測してワクチンを提供する必要もなくなります」

「科学の将来は有望です。万能ワクチンが登場するまであと5年と、私は見ています。実際に、インフルエンザに対する万能ワクチンの候補は現在、臨床試験の第3相(治験の最終段階)にあります。万能ワクチンは、インフルエンザウイルスの表面にあるタンパク質の『ストーク領域』を標的とする抗体を生み出します。ストーク領域は、18種あるインフルエンザウイルスの亜型ですべて同じです」

――今年は、新たなインフルエンザ株のパンデミックに備えた方がいいのでしょうか?

ウェブスター氏「現在、アジアで、家畜から人間に感染する可能性が懸念される2種類のインフルエンザウイルスがあり、注視されています。ただ、パンデミックを予測することは残念ながらできません。ランダムに起こる遺伝子の突然変異と、ウイルスが人間の免疫系とどう相互作用するかが組み合わさることで、鳥インフルエンザや、豚インフルエンザが動物から人間へと感染することは分かっていても、実際に、これらのウイルスが人間に感染する能力を、いつどうやって獲得するかまでは予測できないからです」

「COVID-19の登場で、私たちは、ワクチン製造能力を強化し、新規にワクチンを開発することを余儀なくされました。現在、COVID-19のワクチン開発に取り組んでいる企業は、世界に150社以上あるでしょう。こうしたインフラ、そして創造的な思考の文化を構築できたことは、人類にとって大きな強みです。今回のパンデミックの教訓を、次に生かせると期待しています」

「今後も、感染症が大流行することは避けられないでしょう。でも、私たちの『備え』も、ずっと良くなっています。こうした事実から、未来に希望はあると私は考えています」

(文 SARAH ELIZABETH RICHARDS、訳 牧野建志、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック 2020年9月23日付の記事を再構成]

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