インフルとコロナ同時感染 ツインデミックどうなる?

日経ナショナル ジオグラフィック社

ナショナルジオグラフィック日本版

個人用保護具を着用して、ノエル・ジャンゼン氏にインフルエンザの予防接種を行うナース・プラクティショナー(医師の指示を受けずに一定レベルの診断や治療などを行うことができる看護師)のエンバル・サバグ氏。2020年9月3日、米フロリダ州キービスケーンにある簡易診療所「CVS pharmacy and MinuteClinic」で撮影。公衆衛生の専門家は、今年はインフルエンザの予防接種が重要だと言う。COVID-19とインフルエンザを併発したときの危険性が、まだわからないからだ(PHOTOGRAPH BY JOE RAEDLE, GETTY IMAGES)

かかりつけ医から予防接種を勧める案内が届き、近所の薬局には「インフルエンザの予防接種、受けられます」というチラシが貼られる――米国の秋の風物詩だ。

ただ、今年はいつもの秋とは違う。季節性インフルエンザと新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の両方が同時に大流行する「ツインデミック」の恐れがあるからだ。専門家の研究では、この2つの感染症に同時にかかる可能性があることが示されている。

米国では、季節性インフルエンザを、考えられているほどには、深刻に受け止めてこなかったと見ていいだろう。とういうのも、米国疾病対策センター(CDC)によれば、2019年に米国でインフルエンザの予防接種を受けた成人は45%にとどまるからだ。季節性インフルエンザは悪化すれば死に至ることもある病気で、過去10年間で、年平均3万7000人が亡くなっているにもかかわらずだ。

インフルエンザと新型コロナの両方に感染することは、医療システムから見てもかつてない脅威だ。季節性インフルエンザに限らず、鳥インフルエンザが人間に感染して、新しいパンデミック(世界的な大流行)を引き起こす最悪の事態も見据えなければならない。

そこで、ナショナル ジオグラフィックは、感染症の専門家2人、すなわち米メリーランド州ボルティモアにあるジョンズ・ホプキンス大学医学部の感染予防のシニアディレクター、リサ・マラガキス氏(以下、マラガキス氏)と米テネシー州メンフィスにあるセントジュード小児研究病院の感染症の専門医、ロバート・ウェブスター氏(以下、ウェブスター氏)に、二重の脅威に直面する今年、何が問題点なのか、そしてインフルエンザの予防接種はできるだけ早く受けるべきなのかを聞いた。なお、以下のインタビューは、要点を簡潔にお伝えするため、編集していることをお断りしておく。

――COVID-19にり患することは、季節性インフルエンザにかかるより怖いと思いますが、なぜ米国の公衆衛生当局は、インフルエンザの予防接種の心配を始めたのでしょうか?

マラガキス氏「そもそも季節性インフルエンザとCOVID-19の症状は、非常に似ています。ですから、正確かつ迅速に診断することは重要な課題です。もし症状が軽かったとしても、自分で判断しないでください。特にCOVID-19かどうかを、ひどい咳(せき)の有無だけでとらえてしまうのは危険です。体や喉の痛み、発熱、呼吸器の症状がある場合は、医師に連絡するようにして、COVID-19の検査を受けましょう。実は、新型コロナが疑われる症状は様々であることが、明らかになってきています。味や匂いがしなくなるだけではなく、吐き気や下痢、さらに足のつま先が赤く腫れる場合があることも分かっています」

ナショジオメルマガ
注目記事
ナショジオメルマガ