ブレイク芸人、1位は初登場EXIT 上位に「第7世代」
好きな芸人 嫌いな芸人 2020
2020年版「この1年で最もブレイクした芸人」の1位は、初登場のEXIT。3位の霜降り明星、5位の四千頭身、12位の宮下草薙らとともに"お笑い第7世代"の代表としてバラエティを賑わせた。上位をみると、その第7世代と『M-1グランプリ』で飛躍した顔ぶれの勢いが目立つランキングとなっている。
日経エンタテインメント!では、20年で17回目となるお笑い芸人の人気調査を実施。全国の男女1284人を対象に「1番好きなお笑い芸人」「1番嫌いなお笑い芸人」「この1年で最もブレイクしたと思うお笑い芸人」「これから1年で消えると思うお笑い芸人」の4項目で人気度を調査した(調査の詳細は「好きな芸人、サンドウィッチマン3連覇 3位劇団ひとり」をご覧ください)。
初の1位となったEXITは、テレビのレギュラーのほか、雑誌の表紙を飾ったり、5000人規模の単独ライブを開催したりと様々なフィールドで活躍。男女ともに44歳以下ではトップを獲得しており、「EXITは今後のヤングカルチャーをけん引すると思う」(42歳男性)とお笑いジャンルに留まらない期待の声が上がっている。
2位のミルクボーイは、昨年『M‐1グランプリ』で優勝。これまで知名度は低かったが『M‐1』史上最高得点(審査員7人体制での最高得点)を叩き出し、人生をひっくり返した。世代・性別のカテゴリーでは35歳以上の男性と45歳以上の女性がともに1位。「ミルクボーイの漫才は分かりやすくて面白い」(48歳男性)という声に代表されるように、上の世代からの厚い支持で票を伸ばした。
昨年1位だった霜降り明星は18年『M‐1』王者で今年も3位と好位置に。現在11本のテレビレギュラーを持ち、そのうちMCが5本と、継続したブレイクを見せている。実は2年連続で3位以内に入るケースは珍しい。すっかりテレビの顔となった彼らだが、まだまだ上に行きそうな気配すらある。
4位のぺこぱもミルクボーイと同じく昨年の『M‐1』で飛躍した1組。間違いや失敗をポジティブに受け止める芸風で、一躍人気者の仲間入りを果たした。特に女性からの支持が高く、25~34歳女性のカテゴリではEXITと並んで1位だった。
一度見たら忘れられない個性的な漫才
昨年の調査では「ブレイクした芸人」で「その他」を選んだ人が多く、お笑い芸人の裾野が広がったことをうかがわせる結果が出たが、今年は上位に票が集中し、「その他」がランクインすることはなかった。それぞれ100票以上集めたEXITとミルクボーイがいかに大きなインパクトを与えたかが分かる。
初登場の顔ぶれに共通するのは、ネタ番組でよく見かける面々で、一度見たら忘れられないような個性的な漫才をすること。『M‐1グランプリ』がスタートして今年で20年。世代が変わるなか、漫才がどんどん進化していっている表れでもある。
自由意見では「他人を揶揄(やゆ)して笑い者にするのを見るのは好きではない」(31歳女性)、「倫理観のある発言に気を付けながら、笑いを提供してほしい」(42歳男性)という、コンプライアンスに関する声が年々増えているほか、「カジサックは新たな挑戦を積極的にしており、面白いと感じる」(40歳男性)とYouTubeに言及する意見も目立つように。「ブレイク」した芸人はそれぞれYouTubeチャンネルを持つ者が多く、こうした世の中の空気に呼応した者が上位に名を連ねていると言えそうだ。
(ライター 遠藤敏文)
[日経エンタテインメント! 2020年9月号の記事を再構成]
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