キャリアを自らデザインする力が不可欠に

これまで日本のサラリーマン社会では、キャリアの構築を自分で考える習慣は育ってきませんでした。新卒で入社した会社で勤め上げる人も多く、総合職として配属され、日本全国への転勤も含めて、どんな職種をどこで誰と積み上げていくかということも、すべて会社任せで、自分の意思を込めるという経験が不必要だったからです。新人研修、管理職研修、職種別のスキルアップ研修、場合によっては経営学修士(MBA)なども、会社がお膳立てしてくれるという企業が多かったほどです。しかし、トヨタ自動車の豊田章男社長による「終身雇用時代の終了宣言」によって、そのような時代は過去のものとなりました。

自律的にキャリアを形成していくこと、継続的にスキルを向上していくことも、すべて自己責任となったわけです。働き方改革で、長時間労働がなくなり、成果主義的な評価が一般化していくことと引き換えに、会社が面倒を見てくれることはなくなったのです。これからは、ビジネスパーソン一人ひとりが、自分自身のキャリア形成マネジメントを行っていく必要があります。

新型コロナショックは人類全体にとってとても不幸なアクシデントでしたが、働き方という側面だけで見ると、「セルフマネジメントの壁」を揺さぶる効果はあったのかもしれません。たとえば、モバイルやクラウドに代表されるように、場所の制約を受けずに仕事を行うリモートワークが当たり前に広がりました。このことによって多様な事情を抱えた人が働く機会を得ることができるようになったことは事実です。

さらに、テクノロジーや人工知能(AI)を活用することにより、予測や意思決定がスムーズになり、仕事の生産性向上が期待されます。スキルトレーニングにおいてもオンライン学習など、今まで以上に素早く多様な技術習得ができる可能性はあります。今まで自分が持っていなかったスキルを簡単に身につけ、キャリアチェンジが容易になる社会が実現するかもしれないと考えています。テクノロジーと真摯に向き合い、活用の幅を広げることによって、キャリア構築が自己責任になっても対応することができるかもしれません。

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