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海外でも日本酒普及、プロ育成 東京の柴田屋酒店世界で急増!日本酒LOVE(25)

海外では日本酒もワインのように自然派が人気。栃木の「仙禽」(せんきん、左)や岐阜の熟成酒「達磨政宗」(右)などに関心や人気が集まる

いま輸出先で一番好調なのは韓国という。日韓問題で、日本製品の非売運動などが起き、短期的にはマイナスの影響が出たが、近年は和食店の増加もあり、現地のマーケットシェアが拡大。熱心な韓国人スタッフたち(現在3名)が日本での営業ノウハウを現地でも採り入れ、徹底させたことがその要因になっている。

「我々は日本でお酒を飲食店に配達しながら、同時にセールスもしています。新商品のご案内はもちろん、作り手や製法の特徴も伝えようとしている。韓国のスタッフにも日本の蔵に足を運んでもらい、“この酒のこの点が魅力ですよ!”と言えるよう準備してもらっています。それぞれの店の料理に合うペアリングを提案することもあり、こうした地道な営業努力が奏功しているのだと思います」と柴氏は分析する。

タイ・イタリア・韓国に進出してみて、柴氏は分かったことがあるという。それは海外で成功するためには「現地にある程度、日本人や和食店が多く、そこそこ先進国でないと厳しい」ということ。その観点でマーケットとして有望なのが米国で、欧州全体のマーケットの約20倍とも言われる米国市場に、かなり気合いを入れて戦略的に進出した。

米国人女性がラベルデザインを手がけた同店オリジナルの日本酒「HAPPI」シリーズ

海外に輸出された日本酒は一般的に、先に蔵元と契約した現地の1社だけが取り扱いを許されるという。米国でも複数企業が1つの銘柄を現地で流通させられるわけではない。同社のような後発企業は、有名銘柄などをなかなか扱えない。

「売れそうな有名銘柄の販売権を先に獲得した方が酒屋としては勝ちやすい。だが我々は後発組。ブランド勝負でない別の営業活動をしないと生き残れない」と柴氏は考えた。

日本人の間であまり知られていない日本酒であっても、若手醸造家の独自の考え方が魅力的だったり、注目に値するものであれば、現地で評判を獲得できることを韓国進出で学んだ。「知恵を絞れば道は開ける」と考えた柴氏は、米国でも独自の手法を考案。そこで生まれたのが、同社オリジナルの日本酒「HAPPI」(ハッピー)シリーズだった。

「銘柄のブランド力に頼らずに戦うため、タイプ別の日本酒を自分たちで作るしかないと考えました。サケ・エキスパートの海外講習などでもお伝えしているタイプ別日本酒は、外国人にとっても分かりやすいんです。お肉に合う酒(ブッチャー)、お魚に合う酒(フィッシャーズ)、華やかなフルーティー…など、料理やシーンによって選べる6種の酒シリーズがそれです」と柴氏。

日本酒のボトルは720ミリリットル入りが一般的だが、日本酒を飲み慣れていない外国人でも気軽に購入できるように、500ミリリットルサイズ1本に絞り込んだ。当初は米国の若い女性向けに開発したものだったが、コロナ禍の影響もあり、現在は米国以外の国や日本での販売を決定したところだ。

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