白河 やはり全員が参加することで、組織全体の意識・風土が変わっていきますよね。いくら制度があっても、活用しやすい雰囲気がなければ浸透しづらいという課題は多くの企業が抱えています。

社外との契約など、「紙に縛られる出社」の問題はまだ解消しづらいという

杉本 他社にヒアリングしましても、「育児や介護といった特別事情がある人だけ」と対象を限定した制度になってしまうと、かえって使いづらい制度になると聞きますね。

白河 課題としては何が見えてきましたか?

武藤 ペーパーレスの不徹底やITリテラシーの低さを課題視する声が目立ちました。印刷枚数が減ったり、ウェブ会議の件数が増えたりといった前進は見られたのですが、どうしても紙に縛られて出社せざるを得ないような状況はまだあります。

白河 紙の問題はなかなか解消しないんですね。ハンコをもらうためだけに出社するということも、起きているのでしょうか。

杉本 社内の起案書等に関してはすべてペーパーレスで社長まで決裁が進むフローになっているのですが、社外との取引書類でハンコが必要になる場面はまだまだ多いですね。行政も含めて、社会全体で変わろうとしなければ、「紙に縛られる出社」の問題は解消しづらいのではないかと思います。

以下、次週公開の後編に続く。後編では在宅勤務での生産性の問題、困難なコミュニケーションに悩む上司などについてお聞きします。

白河桃子
 昭和女子大学客員教授、相模女子大学大学院特任教授。東京生まれ、慶応義塾大学文学部卒業。商社、証券会社勤務などを経て2000年頃から執筆生活に入る。内閣官房「働き方改革実現会議」有識者議員、内閣府男女局「男女共同参画会議専門調査会」専門委員などを務める。著書に「御社の働き方改革、ここが間違ってます!残業削減で伸びるすごい会社」(PHP新書)、「ハラスメントの境界線」(中公新書ラクレ)など。

(文:宮本恵理子、写真:吉村永)