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緊急宣言時は出社率2% 住商の在宅勤務のノウハウ

住友商事 杉本亮人事厚生部労務チーム長(上)

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NIKKEI STYLE

住友商事は2018年にテレワーク制度・スーパーフレックス制度を導入、より柔軟な働き方を模索してきた。特にテレワークについては20年の東京五輪期間も見据え、全社的に推進すべく社内的な体制づくりを進めてきたという。その結果、新型コロナの影響が大きくなった、3月以降は全社で原則在宅勤務とし、緊急事態宣言時の出社率は1桁だったという。在宅勤務が常態化したいま、得られた成果と見えてきた課題は何か、人事厚生部の杉本亮労務チーム長と武藤千明主任に聞いた。

もともとは人材戦略の一つ

白河桃子さん(以下敬称略) withコロナ時代の働き方を多くの企業が模索しています。御社は18年からテレワーク導入を進め、この春のコロナ禍では全社がテレワーク、現在(取材時の8月)も出社率2割弱程度の在宅勤務を継続しているそうですね。働き方の刷新によって何が変わったのか、見えてきた課題は何なのか、伺わせてください。

武藤千明さん(以下敬称略)まず、現在の働き方に至った経緯をお話ししますと、もともと中期経営計画における人材戦略の一つのとして「多様な個々人の力を活かし、最大限発揮できる環境整備」という目標を掲げ、その一環である「付加価値を生み出す働き方の追求」を具現化するアプローチとして、時間や場所に縛られないテレワーク制度・スーパーフレックス制度を導入したのが18年11月のことです。翌19年には五輪開催を見越した予行演習も兼ねて、「全社員3回以上実施」を義務付けるテレワーク促進施策等を実施しました。さらに今年の夏には本番運用を行う予定でした。

白河 五輪を予定していた20年に向けて段階的な準備を進めていた。コロナの影響によって、テレワークの全面導入が早まったということですね。

武藤 はい。原則在宅勤務を開始したのが3月1日で、現在に至るまで半年ほど継続中です。出社率は3月時点で約8%、緊急事態宣言下だった4~5月はグッと減りまして2%に。宣言解除後の6月には8~13%と少しずつ増えましたが、8月の現在も15%を切っています。

白河 まだ8割以上が在宅勤務を継続していると。目標値は決めているのでしょうか。

杉本亮さん(以下敬称略) 原則として出社率を50%以下にするような工夫はしていますが、特に目標値は設定していません。自然体で在宅勤務が定着してきたという状態と見ています。

白河 それはやはり2年前からしっかりシステムを回してきた成果ですよね。コロナの前と後で運用はどのように変わったのでしょうか。テレワークの制度がある会社でもコロナ前の実行率は5%以下というところも多かったのです。

杉本 コロナ前には、テレワークができる日数を「週2日相当時間(14.5時間)まで」としていて、テレワーク実施の平均値は月1回程度でした。コロナ後はこの上限を暫定的に廃止して「原則在宅勤務」に。緊急事態宣言下の出社には申請を必要としました。併せて、これまで「勤続1年以上」としていた対象者を広げ、新入社員でも在宅勤務できる形へ変更しています。

白河 ということは、今年の新入社員の皆さんは入社直後から在宅勤務だったということですね。

杉本 はい。入社式も新人研修も配属も、すべてオンラインで行いました。さらに、派遣社員の方々が在宅勤務できる環境も整備しました。派遣会社とも調整し、業務に必要なデバイスを配布しました。社員はすでにデスクトップ型パソコンからノートパソコンへの切り替えなどが進んでいましたので、比較的スムーズに在宅勤務へ移行できました。VPN(仮想私設網)も今年に入った時点で増強して5000人の社員に行き届くようにしました。

全員参加の経験が役立った

白河 コロナショックを受けてテレワークに急に移行しようとした企業が直面した壁の一つが、通信環境の問題でした。御社の場合は、準備が先行していた分、混乱は起きなかったのですね。自宅にWi-Fi環境がない方や業務用プリンターが必要になる方への補助はあるのでしょうか?

杉本 自宅でWi-Fiが整備されていない等、ネットワーク環境が十分でない方には個別対応でルーターを貸し出しています。プリンターやモニターに関しても、業務上必要になる場合には上長の承認があれば会社負担で支給するようにしています。

白河 非常に本気度を感じる改革ですね。世の中を見渡すと「緊急事態宣言解除と同時に、出社する働き方に戻ってしまった」という嘆きも多く聞かれる中、これほど在宅勤務が浸透し、速やかな変化を起こせた秘訣は何なのでしょうか。

杉本 やはり、「一度全員が経験していた」という予行演習の効果は大きかったと思います。「ワークスタイルトランスフォーメーション2019(通称ワクトラ)」の名称で昨年に行った施策は、役員も含めて全社員が1カ月半の期間中に必ず3回以上テレワークを実施することや、特定の日には各組織の50%以上の社員がテレワークを実施することを半ば強制するというものでした。予行演習を通じて「とにかく一度はやってみた」という体験を全員が持ち、課題や気づきを社内で共有できていたことは、非常に生きたと感じています。

白河 予行演習があったんですね。いきなり本格導入するのは無理ですよね。特にテレワークは「食わず嫌い」の人が多いので、「やってみたら、なんとかなった」という経験を組織内の全員が共有できることが重要だと聞きます。「上司が出社するから、出社しないといけない」と、徐々に出社が増える状況はないですか。

杉本 ないですね。むしろ上司のほうが積極的に在宅勤務をしようとしているのではないかと思います。例えば私のチームでは、週の終わりに翌週の予定をチェックして、出社の必要がある業務がないかを確認しています。すると、「その業務、出社しなくてもできるんじゃない?」とか「そもそもその業務、今やるべきだろうか」と棚卸しができるんです。結果的に、チームの業務効率化につながっていると思います。

白河 テレワーク推進の一番のメリットは業務の効率化が進んで無駄がそぎ落とされることだと私は思います。そして御社の場合は、予行演習を上層部の方も一緒になって経験した点がポイントと言えそうですね。今は役員会もテレワークでなさっているのですか。

杉本 はい。取締役会は、最近まですべてオンラインで開催していました。現在は、感染防止対策をしたうえで、会議室での開催としていますが、オンラインからでも出席できるようにWeb会議システムも併用しています。また、経営会議もすべてオンライン上で行っています。コロナ前からペーパーレス化を進めていましたので移行はスムーズでした。

白河 昨年の「ワクトラ」での検証も含め、テレワーク導入による効果や課題については傾向が見えてきていますか。

武藤 「ワクトラ」の実施後、そして今回の原則在宅勤務移行後にもアンケートを実施して効果検証を進めています。まず、「ワクトラ」実施による効果としては、意識面での変化が見られました。「組織内でのテレワークに対する理解が進んだ」「テレワークを実施しやすい職場ムードが醸成された」という回答は6割に上りました。

白河 やはり全員が参加することで、組織全体の意識・風土が変わっていきますよね。いくら制度があっても、活用しやすい雰囲気がなければ浸透しづらいという課題は多くの企業が抱えています。

杉本 他社にヒアリングしましても、「育児や介護といった特別事情がある人だけ」と対象を限定した制度になってしまうと、かえって使いづらい制度になると聞きますね。

白河 課題としては何が見えてきましたか?

武藤 ペーパーレスの不徹底やITリテラシーの低さを課題視する声が目立ちました。印刷枚数が減ったり、ウェブ会議の件数が増えたりといった前進は見られたのですが、どうしても紙に縛られて出社せざるを得ないような状況はまだあります。

白河 紙の問題はなかなか解消しないんですね。ハンコをもらうためだけに出社するということも、起きているのでしょうか。

杉本 社内の起案書等に関してはすべてペーパーレスで社長まで決裁が進むフローになっているのですが、社外との取引書類でハンコが必要になる場面はまだまだ多いですね。行政も含めて、社会全体で変わろうとしなければ、「紙に縛られる出社」の問題は解消しづらいのではないかと思います。

以下、次週公開の後編に続く。後編では在宅勤務での生産性の問題、困難なコミュニケーションに悩む上司などについてお聞きします。

白河桃子
 昭和女子大学客員教授、相模女子大学大学院特任教授。東京生まれ、慶応義塾大学文学部卒業。商社、証券会社勤務などを経て2000年頃から執筆生活に入る。内閣官房「働き方改革実現会議」有識者議員、内閣府男女局「男女共同参画会議専門調査会」専門委員などを務める。著書に「御社の働き方改革、ここが間違ってます!残業削減で伸びるすごい会社」(PHP新書)、「ハラスメントの境界線」(中公新書ラクレ)など。

(文:宮本恵理子、写真:吉村永)

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