女性リーダーが新風、組織変える 20年就任3人に聞く

2020/9/22

菅義偉首相が誕生した。女性政策には安倍前政権の路線を継承するとしているが、新政権の女性閣僚は2人に減った。リーダー層への登用は諸外国に比べて大きく遅れている。意思決定の場に女性が加わることで実際にどう変わるだろうか。今年、組織のトップに就任したリーダーに話を聞いた。

姿を見せて次代につなぐ ポーラ社長 及川美紀氏

――入社当時からトップを目指していましたか。

「ずっと働きたいとは思っていた。奨学金で大学を出たので働く必要もあった。返済は41歳まで続く予定だったが、ポーラには当時から40歳を過ぎても働く女性が何人もいて、子育て中のリーダーもいた。20年後に働いている自分をイメージしやすかった」

「キャリアを意識したのは課長試験に落ちたとき。37歳で上司から昇進試験を打診された。周りの女性も受けていたし、一歩でも前に進んだ方がいいと思って受けた。娘を育てながら人一倍働いているという自負もあった」

おいかわ・みき 1991年、東京女子大文理卒、ポーラ化粧品本舗(現ポーラ)入社。埼玉エリアマネージャー、商品企画部長を経て、2012年に執行役員、14年取締役。1月に社長就任。戸籍姓は竹永。

「ところが社内の試験官たちからは『自分のことしか考えていない』と酷評されて落ちた。悔しくて上司にかみついたところ、再挑戦を提案された。この時初めて、昇進するとはどういうことかを考えた。仕事を評価してもらうために昇進するのか、やりたいことをなし遂げるために権限範囲を広げるのか。大切なのは志だと気づいた」

「担当していた販売部門をもっといい組織にしたい、成長させたいと思った。翌年の試験でその思いを熱く語ったら合格した。さらに『そんなに言うならやってみろ』と2カ月後に部長職を任された」

――管理職を敬遠する女性は少なくありません。

「本当は仕事もしたいし子育てもしたい。でも管理職になれば仕事も責任も増える。同期の男性に比べて実力があるなしではなく、子育てなどを犠牲にしても取り組むだけの能力があるのか、そこに悩んでいるようだ」

「ただ、管理職を打診されるのは今の仕事がきちんとできているから。自信を持っていい。親として子供に料理をつくってあげたいし運動会も見にいきたい。だが全てこなすことが愛情とは限らない。後ろめたいと思う必要もない。親が楽しくキャリアを重ねる姿を見たら、子供も『私にもできる』と思えるはずだ。女性が働きやすい環境を整え、どこまで可能性を広げてあげられるか。会社や上司の役割も大きい」

――女性が意思決定の場に入ると変化はありますか。

「まず働き方が変わる。制約のある人が働き方を考えれば男性の育児休業取得などもポジティブに捉えられる。そして発想の転換。違う枠組みで育った人は経営でも商品でも見ている先が違う。そういう人が議論に入ると意思決定に多様性が出てくる」

「管理職研修ではまだ男性が多いので、グループワークでは男性だけの班ができる。こちらは結論ありきで意見が似て、議論は静か。一方、女性のいる班は議論が活発で盛り上がる。自分と違う意見があると人は一生懸命考える。ダイバーシティはお互いを高め合うのだと感じる。もちろん性別に限らない。人口の半分の女性すら受け入れられないのであれば、他のマイノリティーはもっと難しい」

(中村奈都子・女性面編集長)

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