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アマノフーズの味噌汁 「一人分」きっかけに一人勝ち

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日経クロストレンド

アマノフーズブランドが好調だ。主力商品のフリーズドライ味噌汁が2019年、前年比105%となる売上高139億円を達成。急拡大するフリーズドライ味噌汁市場で、約7割のシェアを獲得した(インテージ調べ:19年1月~同12月。金額ベース。沖縄を除く全国。食品SRI/即席味噌汁〈FD市場〉全業態)。人気のあまり需要過多となり、18年秋から19年夏まで発売休止が続いたほどだ。流れを受けて20年から21年にかけて19億円を投資。年間製造力を19年の3.1億食から21年までに4.2億食に引き上げる。

8月31日には主力商品の「いつものみそ汁」シリーズのリニューアルを図った。レギュラーラインの「レギュラー」(税別100円)、塩分25%カットの「減塩」(同100円)、具材・量・調理工程にこだわった「贅沢」(同130~180円)の3ラインに整理。シーンにあわせて選びやすくなったことで、よりユーザーのロイヤル化を促せるとみている。同時に新商品として「いつものおみそ汁 小松菜」「いつものおみそ汁 里いも」「減塩いつものおみそ汁 ほうれん草」3品を発売した。

フリーズドライ味噌汁の人気の背景にあるのが、共働き世帯の増加や女性の就業率上昇による生活スタイルの変化だ。特に中食(自宅で食べる加工品)の「簡便さ」「時短」への需要増や、健康意識の高まりが成長をけん引していると同社は分析する。また現在のコロナ禍において、買い置きニーズも生まれている。一度に複数買うため購買単価が伸び、成長はさらに加速傾向にあるという。

活況のマーケットの中で、アマノフーズが「一人勝ち」している要因は何か。それは前身の天野実業時代から続けてきた「おいしさ」と付加価値の追求にあるようだ。

フリーズドライ味噌汁は社長夫人の一言で生まれた

フリーズドライとはそもそも、水分を含んだ食品を急速に凍結させたまま真空状態で乾燥させる技術で、お湯を注ぐだけで食べられる点に特長がある。調理したてのような味や香りに加えて、栄養価を損ねにくいことや常温で長期保存ができるといった利点がある。

アマノフーズのフリーズドライ味噌汁の場合、製造した味噌汁を1食分ずつトレーに入れて零下約30度で8時間以上冷凍する。そして真空状態の乾燥機の中で、24時間以上かけて水分を抜いて完成させている。

岡山県で創業した天野実業は、もともとフリーズドライ製法を用いてカップ麺用の具材を作っていた。味噌汁の開発に乗り出したきっかけは、あるとき社長の妻が発した一言にあった。「1人分の味噌汁を作ったり、暑い夏にだしをとったりするのは大変だから、フリーズドライで作れないか?」。

開発でこだわったのは、「主役である具材をおいしく味わえる」こと。具材によってだしの原料や配分、30種以上の味噌のブレンドをすベて変えた。

08年にアサヒビールと業務提携しアサヒグループ食品のブランドとして再出発して以降も、その製法は受け継がれている。今でも6人ほどのスペシャリストが、経験を基に商品ごとにレシピをゼロから作り上げているという。アマノフーズブランドはリピーター率が高いことでも知られている。

中でもブランド主力の『いつものみそ汁』シリーズが高く、評価されているポイントはおいしさにあるという。秘密は、東日本の人にも西日本の人にも試食テストで高評価になるような味付けだ。通常、東日本と西日本では味の好みが分かれると言われ、よく買われる味噌の種類も異なる。ところがアマノフーズは地域を問わず一つの味なのだ。この手法を応用し、製品ごとに違う味噌を使っている。

「具材の良さを引き出すような味噌のブレンドにこだわれば、誰が飲んでもおいしい味ができることの証明だ。味噌メーカーではないため、様々な味噌を使えることが強み。商品ごとに味を変えているメーカーは、他にないのではないか」。アマノフーズブランドのマーケティングを担当する食品マーケティング部課長の宮本雅美氏は、他ブランドとの違いをこう話す。

お湯を注いでわずか10秒で食べられる状態に戻るという驚きを持った体験も、おいしさに付加価値を与えているようだ。「おいしさと驚きがセットになることで、インプレッションが強まっている」(宮本氏)

ブランド認知を浸透させるマーケ戦略

一人勝ち状態で「製品自体には全く弱点はない」と断言する宮本氏。ただ唯一の弱点として挙げるのが、ブランドの認知度だ。

天野実業時代に通販から始まったアマノフーズは主にシニア世代に支えられてきたが、現在はスーパーが主な販路になり消費者層は拡大している。しかしながらテレビCMを打たないなどの理由から、全国区での認知度は他メーカーに比べてまだ劣っているという。「中四国でこそ50%ほどの認知度だが、東京では45%、東北・北海道に至ってはさらに低い」(食品マーケティング部課長の鈴木章子氏)

そこで最近力を注ぐのが、アンテナショップやWebマガジンを活用したマーケティングだ。13年に東京・丸の内にアンテナショップをオープンし、その後札幌、横浜、大阪にも展開。19年度は合計約16.6万人が訪れたという。味噌汁の他にカレーやカツ丼、シチューなど100種以上のフリーズドライ食品を店内にそろえ、親子イベントなどで各エリアにおける認知拡大を図っている。

一方で15年には、Webマガジン「アマノ食堂」をスタートさせた。ロイヤルユーザーへの転換を促すなど、ファン育成のための戦略的なメディアだ。商品PRだけでなく、食の情報を様々な角度で伝え自社通販サイトへ誘導する。例えば旬の食材を紹介しつつ下処理や保存の手間を紹介。食材を使ったフリーズドライ食品の利便性も訴える。

ターゲットは20~60代のSNS利用者だ。料理分野のインフルエンサーにコラムを執筆してもらうなどの工夫が実り、19年度の年間利用者は700万UU(ユニークユーザー)、閲覧数は1015万PVとなった。ともに前年より大幅にアップしており、通販サイトへの誘導に一役買っている。「タイムリーに記事をアップできるのが強み。ここに来れば食にまつわる情報がたくさんあるとファンになってもらえれば、通販以外の販路での購買にもつながる」(鈴木氏)

Webマガジンもアンテナショップ同様、店舗での売り場戦略と連動することで相乗効果が生まれると同社は捉えている。今後は認知拡大のため、テレビCMにも打って出るという。

(ライター 北川聖恵)

[日経クロストレンド 2020年9月8日の記事を再構成]

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