個々の職務契約に基づくジョブ型の働き方

現在私が経営している人事コンサルティングファームのセレクションアンドバリエーションでは、ジョブ型に移行したいという多くの企業の人事制度改革を手掛けています。その際に最初に行うことが、個々の職務や役職に対する職務記述書の整備です。

転職を経験された方であれば、一度は書いたであろう職務経歴書を思い出してみてください。それぞれの仕事でどんな職務を担当し、そこでどんな能力を獲得し、どんな成果を出したのかを、過去を振り返って記述するのが職務経歴書ですが、それをあらかじめ契約書として示すのが職務記述書です。

最近だと採用サイトにしっかり記述されることも増えているので、イメージしやすいでしょう。

たとえばある外資系企業のエンジニア採用サイトでは、「業務内容」が詳しく書かれています。そこにはどんな仕事をするのか、ということとともに、どんな成果を出してほしいのか、ということもはっきり記されています。さらに応募資格として「必須のスキル・経験」「歓迎するスキル・経験」などが記されています。勤務地も明確に記されています。実際に採用面接を進める中では、具体的な報酬額も明示されます。

しかしある日本の大手製造業における正社員採用サイトでは、「仕事の内容」が記されているものの、そこには「事務職/技術職/業務職」として30ほどの職種が並んでいるだけです。さらに勤務地については「国内各事業所」として転勤の可能性が高いことを明言しています。そして初任給、として学歴に応じて一律の金額が記載されています。

具体的な職務内容と報酬を個々に示すジョブ型に対し、まずは弊社の一員になってくださいと示すメンバーシップ型。それぞれにメリットはもちろんあります。

たとえばメンバーシップ型の雇用では人材はプールされる考え方をとります。だから様々な経験を得るチャンスを獲得しやすく、チームとしてのまとまりも高まります。

一方、ジョブ型の雇用では誰にどこで何をしてほしいのかを個別に定める考え方を取ります。そのため、職務記述書は職種やポストによって異なっており、給与額だって異なります。

たとえ同期入社であったとしても、総務スタッフなのか研究開発者なのか生産管理スタッフなのかによって、仕事の内容も給与も違うのがジョブ型です。だからこそ自分自身の仕事に対して責任感とプライドを持ちやすくなります。

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