2020/9/22

購入額を決めて物件を探す

こうした失敗を避けるために必要なのは、購入価額を「逆算」すること。次のような手順となります。

(1)教育費や老後資金づくりを考慮に入れたうえで、今の年収で毎月ムリなく払えるローン返済額はいくらなのか計算する。

(2)住宅ローン関連サイトのシミュレーション機能を使って、毎月返済できる額とその時の金利から、住宅ローンがいくら借りられるかを試算する。

(3)試算したローンの借入可能額に、頭金に充てる貯蓄額を足して、購入可能額を求める。

家計や貯蓄から逆算して購入可能な物件価格を求め、その範囲内で買える物件を探すのです。このやり方なら、住宅ローンの借り入れが多すぎて毎月の返済が家計の重荷になる、ということは避けられます。

年間のローン返済額が年収の30%を超えると家計は相当厳しいので、多くても25%までが目安。これからは社会・経済の変化がよりいっそう大きくなって家計の予測がしづらいと考えると、20%までにしておきたいところです。

逆算した結果、現状では希望するような物件に手が届かないという場合は、「〇年後までに頭金を〇百万円ためる」という目標を立てて貯蓄する、といったことも必要です。

貯蓄ゼロでの購入はNG

ちなみに、今は頭金ゼロでも住宅ローンの借り入れができますが、それは避けるのが賢明です。頭金ゼロということは、それまで貯蓄してこなかったということですよね。つまり、収入のすべてを支出してきたわけです。そういう人がマイホームを購入して住宅ローンの返済をするようになったら、ますます貯蓄ができなくなってしまいます。

家計を管理し、計画的に貯蓄する習慣を身につけるという意味でも、マイホームの購入はある程度貯蓄ができてからすべきです。

貯蓄のすべてを頭金と購入時の諸費用に充てるのも避けてください。マイホーム購入直後に貯蓄がゼロになってしまうと、何か不測の出費があったときにローンとは別に借金しなければなりません。手取り月収の最低3カ月分は貯蓄を残しておきましょう。

家族の形が決まってから買う

マイホームの「買い時」はいつでしょうか。

金利が低いとき、不動産価格が安いとき、住宅ローン減税があるうち、などと思うかもしれません。でも、そうした外部の事情よりも自分のライフプランのほうが大切です。

結婚するのに合わせて購入を考える人は多いのですが、子どもができると、特に妻の収入が変動する可能性があります。子どもができる前提でマイホームを選んでも子どもに恵まれないかもしれず、逆に、子どもは2人のつもりでも2人目を妊娠したら双子だったという例も実際にありました。

なので、マイホームは子どもが生まれて家族の形が決まり、収入や教育費の見通しがある程度できてから購入するのがおすすめです。

シングルでマンションの購入を考えている人もいるでしょう。その場合は、自分ひとりでローンを返済することになるので、より慎重な資金計画を立ててください。

日本はこれから人口が減っていくので住宅の需要は減り、長期トレンドでは購入しやすくなっていくと考えられます。ですから、あわてて買う必要はありません。時間をかけて資金準備をしてはどうでしょう。

足元では、新型コロナ禍で収入が減ってローンの返済が難しくなっているケースも出てきています。今後もいつ何が起こるかわかりません。ローンの返済は30年あまり続くわけですから、マイホームの購入と住宅ローンの借り入れは慎重に、資金計画は堅めに立てましょう。「頑張ればなんとかなる」というプランはローン破産につながります。

馬養 雅子(まがい・まさこ)
オフィス・カノン代表。ファイナンシャルプランナー(CFP)、1級ファイナンシャルプランニング技能士。千葉大卒。法律雑誌編集部勤務、フリー編集者を経て、ファイナンシャルプランナーとして記事執筆、講演などを手掛けてきた。著書に「だれでもカンタンにできる資産運用のはじめ方」(ナツメ社)など。http://www.m-magai.net

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