スポーツサイクルの世界では主に夏から秋にかけて、翌年モデルのラインアップが発表される。フレームを新設計するフルモデルチェンジからカラーリングの変更のみのマイナーチェンジまで、その内容は様々だが、各社は1年ごとにラインアップを一新する。今回はすでに発表されている2021年モデルの中からビギナーでも買いやすい価格帯のモデルを中心に5製品をピックアップ、さらにe-BIKE(イーバイク)の注目製品を加えた。
最新のトレンドとしては、エントリーグレードのロードバイクやクロスバイクにもディスクブレーキが多く採用されるようになったことが挙げられる。ディスクブレーキは軽い力で大きな制動力を発揮でき、長い下り坂やロングライドで手が疲労しにくいのが大きなメリットだ。ディスクブレーキに対応したホイールは設計上、リムの外周部の軽量化がしやすく、加速や登坂などの状況で有利になる。
また近年の傾向として、中~上級者向けの高価なロードバイクがレース用途にますます特化する一方、エントリーモデルは絶対的な性能よりも、幅広いシーンで楽しめるように汎用性を高める方向に進化しているのも特徴だ。
2年ほど前から日本でも本格的に展開が始まった電動アシスト付きのスポーツサイクル、e-BIKEも続々と新型がラインアップされている。注目は自転車ロードレースで輝かしい実績を誇るスペシャライズドやキャノンデールといったメーカーによる、ロードバイクタイプのe-BIKE。日本のロードバイク市場はツール・ド・フランスなどのロードレースに影響された、本物志向のユーザーが多い。そのため、爆発的な人気を得ることは難しいと思われるが、e-BIKEの登場当初と比較すると、ハードウエア的には大きな進化を遂げている。
どんなシーンでも活躍する万能ロード
ドマーネALシリーズはトレックのエントリー向けロードバイク。2021年モデルはフレームがフルモデルチェンジされ、機械式ディスクブレーキが採用された。
長距離ライドに適したアップライト気味のポジションに、振動吸収性の高いカーボンフォーク、太めのタイヤを標準装備しており、通勤、トレーニング、荷物を積んだ長距離ツーリングなど、あらゆるシチュエーションに対応可能。リアキャリアや泥よけを装着するための台座も備える。
フレームにワイヤ類を内蔵し、パイプの継ぎ目の溶接痕が目立たないよう加工するなど、上級モデルにひけをとらない高品質感もポイントだ。
フレーム:アルミ
フォーク:カーボン
変速機:シマノ・ソラ 2×9速
タイヤサイズ:700 x 32c
フレームサイズ:44センチ、49センチ、52センチ、54センチ、56センチ、58センチ、61センチ
コスパ抜群のタフなロードバイク
コンテンド AR4は、いわゆるグラベルバイクと呼ばれるカテゴリーに近いコンセプトのモデル。直進安定性を重視して設計されたフレームに、快適性の高いサドルやシートポスト、太めのタイヤを組み合わせている。泥よけを装備し、舗装路はもちろん、ちょっとした未舗装路でも安心して走行できるのが特徴だ。各部には最新規格が採用されているので、上級パーツへのグレードアップも容易。優れたコストパフォーマンスはジャイアントならでは。
フレーム:アルミ
フォーク:カーボン
変速機:シマノ・クラリス 2×8速
タイヤサイズ:700 x 32c
フレームサイズ:41センチ、44.5センチ、48センチ、51.5センチ
シンプルで安価、MTBの面白さを気軽に味わえる
走れるフィールドが少なく、バイク自体も専門化し過ぎてしまったなどの理由から、日本ではあまり人気のないMTB(マウンテンバイク)。GT アグレッサースポーツリジッドはそんな現状に一石を投じてくれそうな新しいコンセプトの1台だ。
MTBでありながら前後リジット、つまりサスペンションを備えていないのが特徴だ。装備がシンプルなため車重が軽く、価格も安い。わざわざ郊外の山道まで出かけなくても、河川敷など身近なオフロードでMTBの面白さを気軽に味わえる。MTBの原点に立ち返ったモデルとして注目したい。
フレーム:アルミ
フォーク:アルミ
変速機:シマノ・ターニー 3×7速
タイヤサイズ:27.5 x 2.1
フレームサイズ:42センチ、46センチ、50センチ
街乗りに適した新型ミニベロ
ロードバイクやクロスバイクに比べると変化の少ないミニベロのカテゴリーでは、アラヤから20インチタイヤを採用したニューモデルが登場した。スタイリッシュなアルミ製の泥よけと安定性の高いセンタースタンドを標準装備し、街をのんびり走るには最適な1台。軽量のアルミ製フレームとフォークにより、車体重量は10.9キロと軽量だ。
フレーム:アルミ
フォーク:アルミ
変速機:シマノ・ターニー 1×8速
タイヤサイズ:20(451)× 1-3/8
フレームサイズ:42センチ、48センチ、54センチ