尿漏れはなぜ起きる? 女性ホルモン低下もリスクにひそかな悩み尿トラブル(上)

日経ヘルス

2020/9/21
(イラスト:進藤やす子)
(イラスト:進藤やす子)
日経ヘルス

走ったり、階段を下りたりするとき、それにくしゃみをしても漏れやすい――。多くの女性がひそかに悩む尿トラブル。尿漏れ経験のある女性はどれくらいいるのか、なぜ起きるのかを専門医に解説してもらった。

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くしゃみをしたら少し漏れた。突然トイレに行きたくなり間に合わなかった……。こんな経験はないだろうか。20~60代の日本人女性4万人を対象にした調査では、約6割が尿漏れ経験ありと回答。若い世代から中高年まで多くの女性が尿トラブルに悩んでいることが明らかになった。

2019年7月、20~60代の日本女性4万人を対象にした「尿漏れ」実態調査が実施された。その結果、6割以上が尿漏れを経験。若い世代にも多く、20代でも半数以上が該当、うち63%は出産経験なしだった。また6割近い人が誰にも相談していないことも明らかに。(データ:P&Gジャパン、グラフ:増田真一)

尿漏れは主に3タイプある。くしゃみや咳、運動などでお腹に力が入ったときに尿が漏れる「腹圧性尿失禁」、膀胱が勝手に収縮して急な尿意に襲われ、我慢できずに漏らしてしまう「切迫性尿失禁」、そしてそれらが重なった「混合性尿失禁」だ。

「女性で最も多いのは腹圧性尿失禁。膀胱や尿道などの臓器を下から支えている骨盤底筋が弱くなることで起こる」と信州大学医学部泌尿器科の皆川倫範講師は説明する。骨盤底筋は、妊娠・出産、加齢、肥満、排便時のいきみ、重いものを持つ習慣などが原因で弱くなりやすい。

女性の尿失禁タイプの内訳を示す。最も多いのは腹圧性尿失禁で、20代女性でも約半数が当てはまる。40代になると6割を超える。一方、60代以降は切迫性尿失禁と腹圧性尿失禁の両方を持つ混合性尿失禁が増えてくる。(データ:Urology;62,4,1,16-23,Oct 2003、グラフ:増田真一)

腹圧性尿失禁は20代から増えて40代でピークを迎えるが、年齢が高くなるにつれ、切迫性尿失禁を伴う混合性尿失禁が増える傾向がある。

(図:三弓素青)

また、女性ホルモンの減少も尿漏れに関わる。最近注目されているのが、「GSM(閉経関連性器泌尿器症候群)」だ。

「女性ホルモンのエストロゲンが減ると腟が萎縮する。すると隣にある尿道の固定も緩くなり、おなかに力が入ると揺れて尿が漏れやすくなる。泌尿器の不調は、腟の不調と同時に表れる」と、神奈川歯科大学の奥井伸雄教授は話す。閉経前後で、尿漏れや尿意切迫感、頻尿などの泌尿器症状と萎縮性膣炎や性交痛などの婦人科症状が一緒にある場合は、GSMの可能性が高いという。

皆川倫範さん
信州大学医学部泌尿器科講師。2002年、信州大学医学部卒業。ベルギー・アントワープ大学留学などを経て2015年から現職。排尿障害、泌尿器科がんなどの研究・診療に当たる。日本泌尿器科学会泌尿器科指導医。
奥井伸雄さん
神奈川歯科大学教授/よこすか女性泌尿器科・泌尿器科クリニック(神奈川県横須賀市)院長。東京大学大学院修了。米国ハーバード大学臨床留学などを経て、よこすか女性泌尿器科・泌尿器科クリニックを開設。毎年、約1000件の尿失禁手術を行う。

(ライター 佐田節子、構成 堀田恵美)

[日経ヘルス2020年4月号の記事を再構成]

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