ポルシェ718ケイマンGT4 新型6気筒のサウンド響かせ

2020/10/18
「718ケイマンGT4」の公称パフォーマンスは、最高速度304km/h、0-100km/h加速4.4秒。ドイツのニュルブルクリンク北コースでのラップタイムは、先代の981型「GT4」よりも12秒速いものであるという

街乗りシーンではせいぜい3000rpmも回せばすべてこと足りるが、実際にはそうした範囲内でも十分においしさを味わえるのがこの新しい心臓。“トルクの粒”は4気筒ユニットのそれよりもはるかにきめ細やかで、より洗練された加速感が味わえる。わずかなアクセル操作に対する応答も俊敏で、やはりターボ化された4気筒ユニットよりも上。何よりも、“取り戻した6気筒サウンド”は時に強く耳を圧迫するフラット4ユニットが発するそれよりも、ずっと心地よく感じられるのである。

試乗車は「718ケイマンGT4」の標準アイテムとなるスポーツシートプラス(2Way電動調整式)を装備。表皮はインテリアトリムと同様に、レザーとアルカンターラのコンビネーション仕上げとなる

二の矢もスタンバイ

レブリミットが8000rpmに設定された新しい心臓は、もちろんそこまでストレスなく、そしてパワフルに澄んだフラット6サウンドを発しながら回りきってくれる。それは、他の4気筒版718では享受することのできない官能的な体験だ。

ただし、9000rpmというさらに高いレブリミットを目前にして「最後の1000rpmがまるで2段目ブースターに点火されたように盛り上がる」という、911 GT3系の心臓にみられるような驚きのエンタメ性は隠されていない。GT3のユニットが“それ”を実現できたのは、さらなるコストアップが許され、カタログモデルへの展開が想定されていない、真に特別なアイテムであったから……ということかもしれない。

NEDC複合サイクルの燃費値は約9.1km/リッター。今回の試乗では312.2kmを走行し、車載燃費計で10.0km/リッターを記録した

サーキット走行にフォーカスし、アライメント調整の自由度も大きくとられた足は、まるで「針の穴に糸を通せるほどに正確なハンドリング感覚」である。セラミックコンポジットローター採用の「PCCB」がオプション装着されたブレーキも印象的。違和感のない範囲で、圧倒的な剛性感を伴うペダルタッチが味わえる。

一方、ベース車両であれば気遣いはまったく無用なのだが、わずかなわだちにも反応してしまうワンダリング性に加え、突き出たフロントリップスポイラーや大型リアディフューザーの存在は、一般駐車場に見られる車輪止め程度でも接触が気になるGT4ならではの要注意ポイントといえる。標準装備される電子制御式可変減衰力ダンパー「PASM」のノーマルモードですら十分以上に硬いフットワークも、個人的には「デイリーユースにはちょっとつらいナ」と思える仕上がりだ。

というわけで、ストリートフォーカスで考えればコンプレインの声も上がりそうなそんなGT4のさまざまなポイントをすべて解決させた、抜かりのない“二の矢”としてローンチされたのが、GTS 4.0なる同様の6気筒エンジンを搭載した新たなグレード。6気筒エンジン搭載のミドシップモデルを求める声が決して小さくないことを知った経営陣の中には、今や「4気筒化は時期尚早だった」との思いを抱く人がいても不思議ではない。

軽く半世紀以上に及ぶ911の歴史が、実は「マーケットの声と共に育てられた歴史」であり、開発作業を終えて発売直前までこぎ着けながら、結局そんな新型車の販売を断念するといったさまざまな軌道修正の実績もまた、このブランドの歴史のひとつである。果たして、ポルシェのミドシップモデルに“三の矢”はあるのか? 何とも面白いことになってきた。

(ライター 河村康彦)

■テスト車のデータ
ポルシェ718ケイマンGT4
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4456×1801×1269mm
ホイールベース:2484mm
車重:1420kg(DIN)
駆動方式:MR
エンジン:4リッター水平対向6 DOHC 24バルブ
トランスミッション:6段MT
最高出力:420PS(309kW)/7600rpm
最大トルク:420N・m(42.8kgf・m)/5000-6800rpm
タイヤ:(前)245/35ZR20 95Y/(後)295/30ZR20 101Y(ダンロップSPORT MAXX Race2)
燃費:10.9リッター/100km(約9.1km/リッター、NEDC複合サイクル)
価格:1259万9074円/テスト車=1535万8249円
オプション装備:インテリア<ブラック/イエローステッチ>(29万2315円)/ポルシェセラミックコンポジットブレーキ<PCCB>(131万6945円)/2パークアシスト<リア、リバーシングカメラ含む>(10万8983円)/コントラストカラーステッチ(19万6574円)/ステアリングホイールセンターマーキングイエロー(3万9723円)/ダッシュボードトリムパッケージ<レザー/アルカンターラ>(14万4630円)/カーボンフロアマット<レザーエッジ仕上げ>(8万5556円)/ドアトリムパッケージ<レザー/アルカンターラ>(6万2130円)/自動防眩(ぼうげん)ミラー(8万1483円)/クロノパッケージ(7万9445円)/サテンブラック塗装ホイール(9万1667円)/バイキセノンヘッドライトティンテッド<PDLS付き>(21万5927円)/アルミニウムフットペダル(4万3797円)

[webCG 2020年9月8日の記事を再構成]

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