こんなはずでは… 1年内で再転職、3パターンと回避策経営者JP社長 井上和幸

「入社後、職務を果たせませんでした」

理由・その3「アサインされた職務は荷が重すぎた」

代表例の最後として挙げられるのは、転職者側の能力・スキル不足です。好条件のポジションに、内心では「できるかな」と不安を感じつつも、背伸びして入社してしまったケースです。

しかし、いざ実際に着任してみると、経験不足やスキル・専門性不足、あるいは求められるレベル感についていけず、全くワークできない。あるいは事前の確認不足のせいで、自分に務まると思って入社してみたら、求められるものとかなりギャップがあり、役割を全うできない。その結果、早々にお互いがギクシャクし、あるいは超ストレス状態となり、またあるいは上長や社長に、どうなっているんだと問われ、辞めざるをえなくなる。こういったパターンです。

実はこの「要件ミスマッチ」と、その1の「オファー時と入社後の相違」が絡んでいるケースは、これまで何度も見てきました。たとえば、部長としての職責を前提に諸条件を約束したものの、入社後即、それが無理であることが露見。会社側としては辞めさせるわけにもいかず、課長に変更する、あるいは別の職務に振り替える。これを転職者側としては、入社前の約束した職責と異なるものに振り替えられたと受け取っている状況ですね。

これももちろん採用側の見極め責任があるのですが、転職者側としても選考中に誇大なプレゼンテーションをしていたのではないか、過剰な背伸びをしていなかったかと、改めて見つめ直してみてほしいと思います。

次の転職では、無理せず、等身大の自分を確認し、それを応募先企業に素直に見せること。それで選ばれなかったとすれば、入社後に無理をして、結果、仕切り直し転職をせざるをえなくなってしまうような可能性を回避できたのだと思えばよいのです。

ちなみに、こうした仕切り直し転職をこれまで既に1度ならず繰り返してしまっている人も少なくありません。そうした人が次の転職活動で不利になるということを嫌って、短期間で入社・退職をした企業の履歴について、自身の職歴から消去してしまう人がいるようです。

あろうことか、ヘッドハンターや人材エージェントがこうした短期間離職をした登録者に対して、その経歴を削除するようアドバイスしているケースもあると聞きますが、こうしたことは絶対にしてはなりません。明らかな経歴詐称となり、採用内定の取り消しや入社した企業の解雇要件に該当します。後々、取り返しのつかないことになりますから、重々留意してください。

転職活動時には夢もみますし、過剰に自分をよく見せようとして「日常から乖離(かいり)した自分」を演じてしまうことは世の常です。今後、さらに厳しさを増す可能性の高い転職市場において、焦りから拙速な選択や過剰な妥協をしてしまうミドルシニアも増えかねないと感じています。

しかし、それがゆえに結果として仕切り直し転職に至ってしまい、転職活動に人生の時間を2倍、3倍と費やすことになってしまっては、せっかく自分を高めるための時間を減らしてしまうことになりかねません。このことを転職活動時点でしっかり踏まえて、確実に活躍できる新天地の選択を、このウィズコロナ下に読者の皆さんには徹底してほしいと願っています。

※「次世代リーダーの転職学」は金曜掲載です。この連載は3人が交代で執筆します。

井上和幸
経営者JP社長兼CEO。早大卒、リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職後、リクルート・エックス(現リクルートエグゼクティブエージェント)のマネージングディレクターを経て、2010年に経営者JPを設立。「社長になる人の条件」(日本実業出版社)、「ずるいマネジメント」(SBクリエイティブ)など著書多数。

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