多くの企業では、これからどのようにビジネスを継続していくか、根本的な見直しをせまられています。そのためには、企業を取り巻くマクロな環境を分析することが欠かせません。

そのためには、政治、経済、社会、技術の4つの側面から多面的な分析が必要です。英語の頭文字をあわせて「PEST」と呼びます。

まずは政治(Politics)、すなわち政府の方針、政策、法改正、規制強化(緩和)などの変化やその兆しを洗い出します。次に、経済(Economics)で、成長率や失業率などの各種の経済指標が分析の手がかりとなります。

3つ目に社会(Society社会)です。ここには、人口、文化、暮らしなど社会情勢に関わる幅広いものが入ります。そして最後に、新しい技術開発や投資動向を見る技術(Technology)です。

もちろん、これ以外の要因もありますが、この4つを押さえておけば、ほぼ全体がカバーできます。大きく世の中の動きを見誤ることはないでしょう。

選択肢を多面的に考えてベストを選ぶ

ここまで述べた話とは別に、多面思考にはもうひとつ違った使い方があります。

皆さんは物事を決めるときに、どうやって決定をしますか。日々の買い物とパートナーの選択とでは大きく違ってくるとは思いますが、おおむねA・Bどちらのやり方が多いでしょうか。

A あれこれ調べたりせず、自分にピッタリなものを見つけたら、「これだ!」と決め打ちする。
B 候補を複数洗い出して、いろんな観点から比較をして、そのなかで最善のものを選ぶ。

もうお分かりのようにBが多面思考です。別にAがダメなわけではありません。私の知人に数千万円の中古マンションを、情報誌を見るなり実物も見ずに購入したツワモノもいます(しかも家族に一切相談なし!)。今も気に入って住んでいますから、よほどビビッと来たんでしょう。

ところが、ビジネスの場合、Bのほうが意思決定の質が高まることが、海外の研究で明らかになっています。Aだと確証バイアス(自分の意見に都合のよい情報ばかり集めてしまう癖)が働きやすくなり、比較する選択肢がないと検討のヌケモレが発生しやすいからです。

もし、皆さんの部下で、Aの決め方をする人がいたら、柔らかく指導をしてあげてください。

たとえば、「我が社は○○をすべきです」と言ってきたら、「それはいいけど、他にどんな手を考えた?」と尋ねるのです。相手がけげんな顔をしていたら、「それしか考えないで、なぜこれがベストと言えるの?」と二の矢を放ちましょう。しつこく繰り返せば多面思考が身につくはずです。

堀公俊
日本ファシリテーション協会フェロー。大阪大学大学院工学研究科修了。大手精密機器メーカーで商品開発や経営企画に従事。1995年からファシリテーション活動を展開。2003年に日本ファシリテーション協会を設立、研究会や講演活動を通じて普及・啓発に努める。著書に「ファシリテーション入門第2版」「会議を変えるワンフレーズ」など。

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