社員を「部品」にしない 伸びようとする力を引き出すロート製薬 山田邦雄会長(下)

――未来の世代に何を残したいですか。

「私たちも上の世代から様々なものを受け継いできました。豊かな国土や科学技術力、歴史、文化にしてもそうです。世界の国々と比べると、どれだけ素晴らしいものを引き継いでいるか。日本は課題も多いが、恵まれていないとは口が裂けても言えません。世界を見ればこんなに恵まれた国はそうそうないのですから」

「にもかかわらず、自信も失い、未来に絶望している人が多い印象なのは残念です。後世の人たちから、あの世代の人たちはなんてダメだったんだと言われかねません」

「未来の世代に何を残すかを上の世代が考えることは、あまりにも当たり前のことなのですが、当たり前の発想をする余裕がなくなっているのでしょう。これは大変ぜいたくなことです。もっと深刻な課題を抱えている国からいいかげんにしろと言われてもおかしくありません」

アナログな「つながり」も大切に

――若い世代に意識してほしいことありますか。

「私たち上の世代に比べて、若い人の方がこれから待っている未来は長いです。会社のトップは将来を見通してとよく言われますが、本当は将来を見通さないといけないのは若い世代の方だと思います。中長期の戦略的な視点というのは、若い世代に託したいです」

――上の世代には、どう役割を担ってほしいですか。

「ベテランの皆さんには、もっと社外に飛び出していってほしいです。会社といっても狭い世界です。ロート製薬が単独でできることは一生懸命やっていますが、社会を変えようとすると、1社ではできないことが多いのです。社外との連携を取らないといけません」

新型コロナをきっかけに「つながれる世の中になって、チャンスも広がっている」と前向きな面に目を向ける

「そういう意味で、つながりを外へ広げていく先兵として、ベテランの人たちに活躍してほしいのです。上の世代で今リーダーシップを持っている人が、もっと外にアンテナを張って飛び出せば、次の若い世代もついていけます。閉じたお城の中にひしめき合っているよりは、なるべくオープンにやっていかなければならない時代です。その方が色々な可能性が開けてくると思います」

――新型コロナウイルスが社会のあり方をどう変えたと思いますか。

「良い面からいうと、コネクト(つながること)が加速したということでしょう。今までだったら、実際に誰かと会うというのは距離の問題もあって、結構大変でした。でも今は自宅にいることも多く、タイミングさえあればつながれる環境です。時差の問題はしょうがないですが、グローバルな会議も簡単につなげられる時代になった」

「100%在宅勤務にする企業もあるようですが、人間もしょせんはアニマル(動物)です。雰囲気や嗅覚などのアナログの部分は、オンラインだけでは難しいでしょう。一足飛びにニューノーマル(新常態)でデジタルに、というのは落とし穴があると思います。徐々に代わっていくと思いますが、やっぱりアナログも大切にしたいな、というのが私自身の考えです。逆にいうと、つながれる世の中になって、チャンスも広がっていると思います」

山田邦雄
1956年大阪府生まれ。79年東大理卒、80年ロート製薬入社。99年に社長。2009年から会長。

(張耀宇)

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