転売需要で高値のタワマン 「バブル」いつはじける?コロナの先の家計シナリオ 住宅ジャーナリスト 榊淳司

2020/9/15

そうなれば、都心や城南、湾岸エリアのマンション市場は本来の需要と供給の関係による価格形成に戻るかもしれません。「住むため」という本来の需要でマンションが売れるかどうかは、景気次第です。

ところが、実際の景気指標はどれもかなり悪くなっています。4~6月の国内総生産(GDP)に至っては年率換算で28%を超える減に下方修正され、統計数字としては戦後最悪からさらに悪化しました。それでも不況感が強くないのは、一人10万円などさまざまな給付金を支給したり、企業への無利子・無担保の融資制度を新設したりしたことで市場にジャブジャブとお金を供給した効果が出ているのでしょう。

ただ、その効果もそろそろ息切れしそうな気配を感じます。年末にかけて不況感は深まるのではないでしょうか。

新築の価格下落、半年以上先か

新築も中古もマンションは売れなければ価格が下がります。ただ、需給関係での価格の変化は緩やかに進行します。今後、不況感が強まるとともにマンションの販売不振が続けば価格ははっきりと下落に転じるでしょう。

分かりやすいのは中古市場のほうです。新築の場合、売り主が提示する売り出し価格が可視的に下がるには、あと半年から1年以上はかかるはずです。なぜなら、そのあたりまではコロナ禍の前に事業用地を仕込んだ物件が売り出されるからです。

特に急ぐ必要がなければ、マンション購入はゆっくりと進めるべきでしょう。ただ、「高いけれど早く買って快適な生活を始めたい」という発想も否定できません。それぞれの人の価値観の問題だからです。

榊淳司
住宅ジャーナリスト。榊マンション市場研究所を主宰。新築マンションの広告を企画・制作する会社を創業・経営した後、2009年から住宅関係のジャーナリズム活動を開始。最新の著書は「限界のタワーマンション(集英社新書)」。新聞・雑誌、ネットメディアへ執筆する傍らテレビ・ラジオへの出演も多数。

「ニューノーマル」「新常態」とも呼ばれる新しい生活様式が広がりつつあります。コロナで一変した家計の収入や支出、それに伴うお金のやりくりをどうすればよいかも喫緊の課題です。連載「コロナの先の家計シナリオ」は専門家がコロナ後のお金にまつわる動向を先読みし、ヒントを与えます。

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