白百合で知った多様な生き方 異色女性官僚の高校時代須賀千鶴・世界経済フォーラム第四次産業革命日本センター長(下)

入省後、途上国支援、気候変動や金融など様々な分野で働きました。米国にも留学、クールジャパン戦略なども担当しました。日本では少子高齢化や子どもの貧困、環境など様々な社会問題が渦巻いています。「これはおかしい」と感じたら、私はどんどん議論したいと考えるタイプです。17年に省内の若手官僚とまとめた政策提言「不安な個人、立ちすくむ国家」が150万ダウンロードを記録するなど話題になり、賛否両論を巻き起こしました。先輩官僚から「役人は課題だけではなく解決策もセットで提示しないといけない」と忠告も受けました。

官僚らしくないと言われながら、楽しく仕事をしてきました。結婚し、出産もしました。以前は女性官僚のロールモデルにならなくては思っていました。私のような人間でもある程度のバリューのある仕事はできますよと。経産省でもたびたび採用を担当し、その際はあえて髪をもう一段階あかるく染めたり、ビーチサンダルを履いてきたりして、堅苦しくなくても大丈夫という雰囲気を伝えようとしていました。しかし、期待していた後輩の女性官僚が何人も退職していきました。

実際、仕事と子育ての両立は大変です。子供は急に頻繁に熱を出すので、世話をしてくれる人をその場ですぐに見つけなくてはいけない。私の場合は恵まれていました。実家の両親が全面的に支援し、夫も協力的です。今も終電ギリギリまで仕事という職場もある中で、こういった外部環境の違いを無視してロールモデルと言っていてもむなしいなと、今は思っています。

「官僚は本来は女性に向いている仕事」と言い切る

ただ、官僚は本来は女性に向いている仕事だと思います。生活に根ざした社会問題を扱うし、いわゆる「ガラスの天井」を感じることも少ない。現在、私がセンター長を務める世界経済フォーラム第四次産業革命日本センターは、18年に「ダボス会議」で知られる国際機関の世界経済フォーラムと経産省などが連携して設立されました。進化するテクノロジーを統御し、社会問題を解決するために必要なルールづくりと実証を推進する組織です。新型コロナウイルスの感染が拡大する以前から、大半の仕事をリモートワークで対応しています。

すべてがオンラインというわけにはいかないとしても、デジタル化をさらに革新的に進めることで、女性だけでなく男性にとってもサステナブル(持続可能)な働き方を確立するための新たな解は出てくると思っています。

私は白百合学園が育てたかった理想的な卒業生ではないかもしれませんが、白百合で多様な生き方があることを学べたことに感謝しています。

(代慶達也)

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