昆虫の変態とは何か? 繁栄の背景にある不思議な一生

日経ナショナル ジオグラフィック社

ナショナルジオグラフィック日本版

トラフトンボマダラチョウのさなぎ。米ニューオーリンズ、オーデュボン蝶庭園・昆虫館で撮影(PHOTOGRAPH BY JOEL SARTORE, NATIONAL GEOGRAPHIC IMAGE COLLECTION)

子どもとおとなでまったく姿が違う生物の代表例といえば、チョウだろう。丸々としたイモムシが、翅のある美しい姿に変身する。「完全変態」と呼ばれるこの劇的な形態の変化を経験するのは、チョウだけではない。

ミツバチ、甲虫、ハエ、ガなど既知の昆虫のうち実に75%が完全変態をおこない、卵、幼虫、さなぎ、成虫の4つの段階を通じて成長する。

一方、バッタやトンボなどは不完全変態をする。これにはさなぎの段階が含まれず、卵、若虫(幼虫)、成虫という3つのライフステージがある。若虫は小さな成虫のような外見をしたものが多く、自分の皮を食べたり脱皮したりを繰り返し、成虫になる。

ライフステージごとに見てみよう。

卵と幼虫

ほぼすべての昆虫が卵として生まれ、孵化して幼虫となる。幼虫にはイモムシ状のものもいれば、テントウムシの幼虫のように小さな昆虫に見えるものもいる。

幼虫の主な役割は、成長と脱皮だ。脱皮から次の脱皮までの間の段階は「齢(れい)」と呼ばれ、多いものだと5回も脱皮する昆虫もいる。

幼虫は、猛烈な勢いで食べる。まるで明日はないと思っているかのようだ。たしかに、その後に訪れる変態は、ほぼすべてを変えてしまう。

不完全変態をする昆虫の幼虫は、若虫と呼ばれる。バッタなど、その多くの外見や行動は、成虫を小さくしたものによく似ている。若虫は基本、成虫と同じものを食べ、同じように動き、脱皮を繰り返して成熟する。セミの中には成虫になるまでに17年も費やすものもおり、ほとんどの時間を地下で過ごす。

さなぎになる

終齢(幼虫の時代の最後の齢)の幼虫が脱皮すると、完全変態を行う昆虫はさなぎになる。ガのように、糸を出して硬い繭を作り、その中に閉じこもるさなぎもいる。できあがると、止まっている枝や葉から絹のような糸で逆さまにぶら下がる。

他にも、さまざまな技術が駆使される。熱帯アメリカに生息するヘラクレスオオカブトは、2年近くの幼虫期を過ごした後、十分な量の排泄物を貯め込み、頑丈な蛹室(さなぎとして閉じこもる部屋)を形成する。

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