何が読み取れるかは自分次第 「読め方」で差をつけろ第6回 キャリアサバイバル(2)本や資料の読め方を変える

(2) これまでの当たり前を覆した「反常識」を見つける

もうひとつ、「基礎」があればできるのが「反常識」を見つけることです。もちろん知識がなくとも、記事に直接そう書いてあるかもしれません。

・商品の入れ替えがYKKの既存客では年2回だが、ファストファッションでは年10回以上
・ファストファッションでは、商品デザインから店頭への納品までが2週間足らずで、それを生鮮品のように売り切っていく
・ファストファッション化の流れは、アパレルから量販店のPB品や靴やカバンなどにも押し寄せている
・アパレル縫製工場が、中国から他のアジア地域に急速にシフトしている
・YKKは2週間前後だった納期を、試作品3日、量産品5日に短縮する

確かにファストファッションのリーディングブランドZARAを擁するインディテックスは、2007年からこれまで、売り上げを2倍にまで伸ばしてきています。これまでの常識を覆すような、大きな変化・変革が起きているのです。

ただ記事の内容で、私にとってある意味「反常識」的だったのが、本社の機能(の一部)の黒部事務所への移転でした。「ファストファッション企業のニーズを満たせなかった」「お客さまの求める基準でものをつくる」というのなら、技術部門をスペイン・アルテイショ(インディテックスの本拠)やスウェーデン・ストックホルム(H&Mの本拠)に移すべきでしょう。

技術部門である黒部事務所に、いったい本社の何が集約されたのでしょう。きっと記事には書かれていない、深謀遠慮があるに違いありません。

(3) 徹底的に「数字」にこだわる

私は数字にこだわります。互いに矛盾はないか、次につながる本質はないかと。この記事でもいろいろありましたが、2つだけ挙げましょう。

《1》YKKの金額シェア約4割、数量シェア約2割
《2》世界市場は年400億本、YKKの売上高は3000億円

さて、この《1》《2》の情報から、みなさんは何を読み取るでしょうか?

YKKは今まで、高価格帯を主に対象にしてきました。これからはボリュームゾーンである中低価格帯だといいます。でもその価格差は、いったいどれくらいなのでしょうか。

《1》からYKKの金額シェアは40%、数量シェアが20%なので、YKK以外のプレーヤーは合計で、金額シェア60%、数量シェア80%となります。おのおの割り算して平均単価を出すと、その単価差はなんと、2.7倍となります。YKKが納めるファスナーの平均価格は、その他メーカーの約3倍に達しているのです。

《2》からさらに計算すると、他社平均がファスナー1本あたり約14円であるのに対し、YKKは約38円なのです。

これは、高付加価値メーカーとして誇るべき数字ではありますが、いわゆる「ボリュームゾーン」が、YKK価格のはるか下にあるということでもあります。最低、コストを半分以下にしないと、ボリュームゾーンでの競合には太刀打ちできないでしょう。にもかかわらず、記事中にあるコストダウンの成果は極めて控えめです。「製品コストが数%~1割削減できた」だけです。これ(だけ)では話になりません。ではどうするのか!

こんなことが、数字にこだわることで見えてきます。ただ、やった計算は単純です。引き算してその他メーカーの数字を出し、割り算を3回やって平均単価の比を出しました。

数字を見たら、足し算、引き算、ときどき割り算くらいはしてみましょう。(4)の、人より「1段深く」まで調べる、は割愛して最後の(5)に。

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