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せんべろ好きの女子も集う 「蛇口」から焼酎飲み放題

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店に入るとカウンターに蛇口があり、そこから焼酎を好きなだけ飲める、という酒飲みには天国と言えるような店がある。「キンミヤ蛇口と海鮮居酒屋 とらや」。現在、東京・高田馬場と西荻窪の2店ある。

高田馬場店は、JR高田馬場駅から早稲田方面とは反対の小滝橋方面に向かって歩いて10分ほど。店は1階にあり、間口が狭めなので、うっかりすると通り過ぎてしまう。店内の風景は、実にシュールだ。向かって右側にカウンターがあって、青いタイルで装飾された壁に蛇口が並んでいる。奥にはテーブル席もある。

「キンミヤ蛇口」は、この蛇口を使った飲み放題コースのことだ。仕組みは割と簡単。30分399円(税別)で飲み放題コースを選ぶと、スタッフが蛇口をひねる栓をセットしてくれて、自分でグラスに注ぐ。客がいない席の蛇口は、栓が取り外してあり、勝手に開けられないようになっている。

ちなみに「キンミヤ」とは、大衆酒場などの定番甲類焼酎で、チューハイのベースとして幅広く使われている。三重県四日市市にある老舗酒蔵、宮崎本店が製造しており、正式名称は「亀甲宮焼酎」。鮮やかな水色のラベルで、亀甲型の中に「宮」の金色のロゴが入っているボトルを見かけたことがある人も多いだろう。このマークでいつの間にか「キンミヤ」と呼ばれるようになったらしい。

焼酎とまぜる、いわゆる「割り材(または割り物)」は、別料金で1種類200円(税別)。ホッピーやハイッピーなどの定番をはじめ、緑茶やウーロン茶、などもある。氷は無料だ。高田馬場店の場合、カウンターにステンレス製の割り材が並んだスペースがあり、そこから好きな物を選ぶことができる。お茶類と水(これも有料)はスタッフに注文して持ってきてもらう。

2017年に開店した高田馬場店は、座席のカウンターだが、2020年5月開店の西荻窪店は、立ち飲みスタイル。こちらもカウンターが7席で、こぢんまりとした店内は、ほかにもテーブル席はある。お通しはない。ただし、料理を一品頼む必要がある。海鮮居酒屋を標榜しているだけあって、刺し身類が豊富で、いわゆる居酒屋メニューもそろっている。

自分で作るチューハイは、実に楽しい。濃さを自由に調節できるし、割り材も選べる。いちいちスタッフを呼ばなくても良いのが楽だ。

蛇口をひねっては、割り材を入れて飲む。自分のペースで飲んでいく。というより、いつもよりちょっとペースが早いかもしれない。30分という時間制限が絶妙なのだ。できるだけ得するようにと思うと、どうしてもペースが速くなる。30分でコップ2杯強だ。そして30分では満足できず、延長することになった。

「とらや」が魅力的なのは、「キンミヤ蛇口」だけではない。つまみがなかなかなのだ。売りの「お刺身ガチ盛り」。当日の仕入れ次第だが、7種類前後の刺し身が入って、500円(税別)。赤エビ、ハマチ、マグロなどが入っている。一人には少し多すぎる感じで、この一品だけで飲める。中でも赤エビはプリップリで、とろけるよう。酒飲みのココロをよく分かっている。

結局、飲み放題を延長して、計1時間。お会計は2500円だったから「せんべろ」ではないが、十分満足できる飲みだった。

実は、この店、単なるアイデアだけの店ではない。経営するone chance(ワン・チャンス:東京・板橋、飛松亮社長)は、都内で数店の飲食店を経営しており、水産卸も手がけている。マグロの中落ちを升に山盛りにしたメニューを100円(税別)で売る居酒屋「まぐろんち」なども展開している。水産卸をやっているから、市場で自ら仕入れができる。卸を通さないから、いいネタを安く提供することが可能なわけだ。「とらや」で提供している「本マグロの刺身」は、2490円(税別)とやや高めだが、赤身・脳天・中トロ・ほほ肉・カマトロ・タタキなど7種ほどの本マグロだけを盛り合わせた看板商品となっている。こうした魚のうまさがあるからこそ、「キンミヤ蛇口」が生きるわけだ。

店は、やたらに若い人が多い。カップルもいれば、一人飲み女子もいる。酒場といえばオヤジ天国のはずだが、ここは違う。いわゆる「せんべろ」好きな女子が集っているのかもしれない。50代オヤジの自分が行くと、浮くくらいの勢いだ。隣に先に座っていて一人飲みをしていたアラサー女子と、ちょっとしたことで会話する機会ができたのだが、「キンミヤ蛇口」のことを知り、比較的家から近かったので、やってきたという。彼女は延長1回で帰って行った。おそらく3杯ほどか。

実は一つの仕掛けがある。もともと「蛇口」は面白いコンテンツで、投稿したくなるが、500円の「お刺身ガチ盛り」を頼むと、SNS(交流サイト)にアップしなくてはいけないルールがある。それで、割引やポイントがつくわけではないのだが、「蛇口」を面白いと思って投稿し、そして「お刺身ガチ盛り」が来るとその豪華さに感動してまた投稿する。それが拡散されて、情報感度が高い若者層が来店するという仕掛けだ。

実際に店に入ると、「蛇口」を使った飲み方の手書きの説明書きが貼ってあり、そこには、「まずカメラの準備を」とあり、SNSへの投稿を前提とした案内がある。「お刺身ガチ盛り」も同様だ。こうした工夫がお客を呼んでいる。

高田馬場店もコロナ禍の5月に開店した西荻窪店も、もちろん影響を受けたそうだ。ただ、「キンミヤ蛇口」という強烈な個性と、SNSをフル活用した告知で、落ち込みは最小限にできたという。

ちなみに、蛇口にどうやって焼酎を供給しているのか? 店舗スタッフに聞くと、カウンターの壁から蛇口が出ている場合、供給装置をカウンターにつけてあり、そこにキンミヤを入れておくという。西荻窪の店舗は、一部は壁からの蛇口でなく、ビニールパイプを使って蛇口に供給しているが、そちらは業務用のビニールパック焼酎を高い位置に置き、そこから出るようにしているとのこと。

こんな面白い店をなぜ作ったのか、経営するワン・チャンス専務の谷口大嘉氏に聞くと、「もともとキンミヤを蛇口で提供したら面白いな、と思っていました。で、高田馬場の開店を機にチャレンジしたんです。正直30分399円だと利益はあまりないです。最高6杯飲んだ方がいましたが、それだと720ミリリットルのボトル1本飲まれたのとほぼ同じことですから。平均すると、延長して1時間、2人で5~6杯というところでしょうか。あとは割材と料理で原価調整している感じですね」。

儲かっているのか?

「西荻窪店の月商は6月で500万円規模。コロナ後に人出が戻って来れば600万円クラスになります。1号店の高田馬場は、駅から離れていることもあり、300万~350万円くらいですね」。ビジネス的に言うと、飲み放題の新しい取り組みと言える。原価管理は必要だが、お客をワクワクさせる効果がある。

ただ、お客として行くには注意が必要だ。正直、飲み過ぎてしまう。この店を紹介してくれた知人は「最後に蛇口に口をつけて飲みたくなる」という名言を残してくれた。楽しくても恐ろしい店である。

(フードリンクニュース編集長 遠山敏之)

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