日本の成長は「大阪にお任せ」 万博で目指す世界都市『大阪が日本を救う』

気質や食文化といったソフトのパワーだけではありません。実はグローバルの視点で見ると、大阪は総合的な「都市力」で高く評価されているのです。例えば、米国の大手旅行雑誌「コンデナスト・トラベラー」が毎年秋に発表する読者投票ランキングでは、2019年度の1位に東京、2位に京都、5位に大阪が入っています。この3都市のうち大阪は昨年度の12位から大きく躍進しました。ちなみに東京、京都は同順位です。

エコノミスト誌の「世界で最も住みやすい都市ランキング2019」では、大阪が世界第4位(東京は7位)。また「世界の都市の安全性ランキング2019」では東京が第1位で大阪が第3位にランクインしています。日本では東京より大阪の治安が悪いとのイメージがありますが、国際的には安心・安全な大都市なのです。

「スモールサイエンス」に強み

エコノミストである著者は、特に経済と産業にフォーカスして分析を続けます。対象は広がる巨大都市圏としての「OSAKA」、つまり京都・神戸を含めた関西圏です。このエリアで文句なしに先進的と言えるのが医療分野です。関西ではいくつもの医療都市が形成され、国際的に見ても有数の医療研究分野のクラスターができています。代表例が北大阪健康医療都市(健都)と呼ばれる地域。大阪府吹田市と摂津市が2019年の国立循環器病研究センター移転を契機に「健康・医療のまちづくり」を進めています。

これから発展の期待が高まるエリアはJR大阪駅から2キロ圏内にある中之島です。最先端の「未来医療」の国際拠点を目指しています。再生医療をベースにゲノム医療や人工知能(AI)、あらゆるものがネットにつながる「IoT」の活用を進める取り組みが注目されています。施設竣工は2023年の予定。また、神戸市では「日本初のライフサイエンス(健康科学)分野のクラスター」を目指すプロジェクトとして「神戸医療産業都市」が進化を続けています。2017年時点で約350の先端医療の研究機関、高度専門病院群、大学が集積しています。

では、なぜ医学分野が際立って強いのか。キーワードは「ビッグサイエンス」「スモールサイエンス」だ。ビッグサイエンスとは、多額の資金がかかる研究分野のこと。「ヒッグス粒子」の解明に大型の加速器を必要とした物理学などが当たる。これに比べ、医学は割に予算が少なくて済むスモールサイエンスだ。
官僚や政治家との接点が多い東京大学は研究予算獲得の面で有利とされ、実際に研究費が最も潤沢だ。私が聞いたところ、東大の先生は資金調達のための「文部科学省詣で」をあまりしないらしいが、京大・阪大はことあるごとに挨拶に出向き、少しでも研究資金を確保しようとするらしい。
その結果、関西勢は巨額資金が必要な分野ではなく、少ないお金でアイデア勝負となる医学系の研究活動が盛んになった。また、ノーベル賞を取った本庶氏から聞いた話であるが、当時免疫療法は絶対不可能な治療法と言われていたなかで研究を進めた。こうしたことは東京では絶対無理だったと本庶氏は言っている。なぜならば東京では主流派の力が強く、異端に対しては厳しいところがあるからである。教科書をうのみにせず、主流派と違う独創的な研究をしたからこそ、本庶氏はノーベル賞を受賞したのだ。本庶氏の言葉は重い。
(第3章 イメージ刷新! 世界の「OSAKA」への道 115~116ページ)
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