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「大阪都構想」の実現でさらにパワーアップするか

「大阪都構想」の実現でさらにパワーアップするか

2025年に大阪万博が開催される。ビッグイベントに向けて関西地域を盛り上げる機運が徐々に高まってきた。今回紹介する『大阪が日本を救う』は、安定した都市基盤と成長への潜在力が大阪に備わっていることに改めて気づかせてくれる一冊だ。21世紀の日本経済のエンジン役として大いに期待できる元気な街――。そのパワーをぜひとも全国のビジネスパーソンに知っていただきたい。

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石川智久氏

石川智久氏

著者の石川智久氏は日本総合研究所マクロ経済研究センター所長を務めています。福岡県北九州市生まれ。1997年に東京大学経済学部を卒業し、住友銀行(現三井住友銀行)入行。17年から日本総研に籍を置き、19年7月現職に就きました。大阪府の「万博のインパクトを活かした大阪の将来に向けたビジョン」有識者ワーキンググループ委員、兵庫県資金管理委員会委員などを歴任し、日本経済新聞の夕刊コラム「十字路」などメディアにも多数寄稿・出演しています。共著に『大阪の逆襲』(青春新書インテリジェンス)があります。

大阪万博のインパクト

皆さんは2025年国際博覧会(大阪・関西万博)について、どんなイメージを持っていますか。コロナで1年延期となった東京オリンピック・パラリンピックに比べると、どの程度のインパクトを地域経済に与えるのでしょうか。

オリンピックが約1000万人、サッカーワールドカップが数百万人の集客数であるのに対し、1970年の大阪万博では6000万人以上が集まりました。2025年も約2800万人の来場者数を見込んでいます。経済効果については、建設を除く部分で1兆5000億円。この数字はオリンピックより大きいといいます。日本経済の先行きが不透明な中、関西経済と世界経済の両方を分析対象としているエコノミストが大阪の将来像を描いたのが本書です。

著者は「路地裏の経済学者」を自任します。大阪湾に面した新開発地区や関西広域に点在する大学、研究機関などの各種施設、交通機関、さらには繁華街までこまめに足を運んでフィールドワークを重ねています。世界で公表されている論文・資料にも幅広く目を通して「21世紀の日本は間違いなく大阪が引っ張っていく」という見通しを打ち出しました。

日本国内では、大阪と言えば「食い倒れ」「お笑い」「大阪弁」といった庶民的な文化や風俗で知られています。実はこうした親しみやすさが、外国人にも受けているのです。日本におけるインバウンドの盛り上がりを支え、ビジネスシーンでも存在感を増している中国人にその傾向が見られるといいます。

 そこで気になるのが、なぜ中国人は大阪が好きなのかということである。私の周りの中国の方に聞くと、東京の人よりも大阪の人の方がおしゃべりで仲良くなりやすいとのことだ。人民日報系列の新聞で、海外ニュースを中心に報道している「環球時報」が、大阪を「最も日本らしくない都市」と紹介したこともある。「東京人が他人行儀でクールなのに対し、大阪人は率直で情熱的。東京の電車内は静かだが、大阪の電車内は笑い声がよく聞かれる」とのことだ。
 私も某航空会社の機内の観光地案内で「大阪は上品とはいえないが、活気があって楽しい街」との英語の紹介文をみたことを覚えている。「上品とはいえない」が一言多いが、活気があって楽しいという指摘は正しい。実際、旅行会社の人に聞くと、海外旅行者に日本に来て何が良かったかを聞くと、場所や食べ物といったもののなかに混じって、関西人というのが入ることがあったようである。「関西人は他の日本人と人種が違うように感じる」という外国人旅行者の発言も多い。
(第1章 あなたの知らない大阪社会 43~44ページ)

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