なぜ優秀だった部長が失敗するのか 社長感覚の必要性20代から考える出世戦略(92)

写真はイメージ=PIXTA
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多くのビジネスパーソンの出世を見てきてわかるのは、社長になることをイメージすることがキャリアに与える良い影響です。それは出世速度を速めるだけでなくキャリアそのものを豊かにします。仮に自分は社長になるつもりがないとか、今更社長を目指すことは難しい、という場合でも、ぜひ自分が社長になったら、ということをイメージしてみてください。

名部長がダメ社長になってしまう

私は人事コンサルタントですが、人事とは戦略達成のためのツールです。だからクライアントの財務諸表の確認も通常業務の一つです。先日もクライアントとの打ち合わせで、子会社の財務諸表を確認しながら、経営と人事についての課題を議論していました。

そのクライアントは複数事業を展開しているグループ経営体で、持ち株会社が全体を取り仕切っています。持ち株会社の下にはそれぞれ子会社があり、社長がいます。その日の議題は、グループ全体の売上高の20%ほどを占める小売りを専業とする子会社についてでした。

財務諸表から導かれる課題はシビアでした。

このままだと4年後くらいに債務超過になるリスクが高いことと、その理由が利益率の高い事業を現状維持のままにして、利益率の低い事業に注力していることなどがわかっていました。

子会社の社長を招いてその理由を確認します。

「なぜ利益率が高い事業ではなく、利益率が低い事業を拡大しているんですか?」

「それは売り上げ規模を増やすためです。利益率が高い事業を拡大するためには拠点を増やすとともに、新たな人材を雇用し育成しなければいけません。そのための多くの努力をして、それでも年率5%成長がよいところでしょう。一方で利益率が低い事業については他社のリソースを活用するので、年率30%での売り上げ成長が見込めますし、実際にそれくらいで推移しています」

「対前年売上高は確かにこの2年平均で+30%ですね。でも原価にあたる外注額の対前年伸び率は50%にもなっています。結果として全社として10%ほどあった営業利益率がすでに4%を切っていますが、これは予定通りですか?」

「……いいえ」

「現状はわざわざ他社を育てるために仕事を回してあげている状態になっています。セグメントで切り分けてみれば、利益率が低い方の事業はすでに1%以下の利益率で、今年度の最終結果は赤字転落の可能性が高いようです。それでもこちらの事業を伸ばす理由はなんですか?」

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