コロナボケ解消に魚? 脳を活性化させる食事のツボストレス解消のルール

日経Gooday

魚介類でさまざまな食感を楽しむ

――柳澤教授「食材の中でも、特に『魚介類』はおすすめです。やわらかい刺し身から堅い干物、うなぎのようになめらかな皮からカリカリの骨、かむほどに味わい深い貝まで食感のバリエーションが実に豊富。栄養面でも『おいしくかむ』という点からも、注目すべき食材です」

周知のように、魚介類は非常に栄養価が高い。魚の脂質に多く含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)などのn-3(オメガ3)系多価不飽和脂肪酸が、胎児や子供の脳の発育に重要な役割を果たすことは明らかになっている。

肝臓がんや膵臓がん、男性の糖尿病予防、肥満の抑制、心臓や大動脈疾患リスクの低減等、期待されている効果も多い。

さらに、魚のタンパク質は、大豆や乳たんぱく質と比較しても消化されやすく、人間が生きていくうえで必要な9種類の必須アミノ酸もバランスよく含む。

肝機能強化や視力回復効果が期待されているタウリンはイカやカキに多く、カルシウムの吸収を促進するビタミンDが豊富なサケ・マス・イワシ類、ビタミン・ミネラル・食物繊維が豊富な海藻類など、魚介類は健康維持に欠かせない食品だ。

水産物の摂取による健康効果に関する研究例

出典:「令和元年度水産白書」(農林水産省)(https://www.jfa.maff.go.jp/j/kikaku/wpaper/)

魚はおやつにも! 少しの工夫で無限の楽しみ方

「魚をしっかりとかんで食べる」ことで脳の活性と同時に、脳や体に良い栄養面もサポートできる。

まさに、「コロナボケ」「コロナ肥満」対策にピッタリだ。

――柳澤教授「魚介類は栄養価の高さに加えて、部位や調理法によってさまざまな食感を引きだせる『かむことも楽しめる』マルチ食材です。たとえば、朝食にご飯・海藻ミソ汁・焼き魚は、栄養面でもとてもバランスのとれた組み合わせ。さらに魚を「シシャモ」などにすれば、しっかりと『かむ』ことができます。もし、パンがお好みなら、ジャコにピザチーズを混ぜてトーストにのせて焼けば、ジャコの栄養とかみ応えに加えてチーズのカルシウムも加わった脳も体も喜びそうなパン食にできます。オリーブオイルを少しかけたり、黒コショウや七味唐辛子で味に刺激を加えたりしても、おいしいですよ」

ジャコのピザトースト

朝から「魚をしっかりとかんで食べる」ことから一日をスタートすれば、脳はフル回転し、一日の作業効率も上がりそうだ。ただ、家時間が増えると、三食以外にもついつい食べ物を口にしてしまいがち。間食時にもよい食べ方はないだろうか?

――柳澤教授「『かむ魚おやつ』として、丸ごと食べられる小アジや小イワシなどのみりん干し、小袋に入ったアーモンドやピーナツ入りの小魚などもお薦めですね。かみ応えがありますので少量でも満足感がありますし、たんぱく質やカルシウムも豊富。たとえば、イワシとアーモンドでしたら、10グラム当たりに含まれるたんぱく質は卵の1/2個分、カルシウムは牛乳約1/2本分。イワシには日本人に不足しがちなカルシウムの吸収率を高めてくれるビタミンDも多く含まれていますので、栄養面でも優等生といえます」

そういえば、私はしらす干しを買ってきて食事時に食べることが多い。時にはフライパンでカリカリにして、間食や原稿執筆時のお供にすることも少なくない。

――柳澤教授「良い食べ方ですね。小魚なら丸ごと栄養を取れますし、調理法によって食感を簡単に変えられます。イワシやアジなども骨を油でじっくり揚げると、とっても香ばしい骨せんべいになりますよ」

煮る、焼く、ご飯と共に食べるだけではもったいないくらい、魚介類には工夫次第で無限の楽しみ方がある。毎日の「食」をおいしくしながら脳の活性や栄養面をサポートできるのだから、あらためて見直す必要がありそうだ。

――柳澤教授「本来、魚は内臓から皮まで丸ごと食べられる無駄のない食材です。海に囲まれた日本は魚の食文化レベルも高い国。せっかく歴史や文化があるのですから、普段の食生活を見直して、魚介類でさまざまな食べ方を楽しんでいただきたいですね」

令和元年度の水産白書によると、魚介類をあまり購入しない理由は、「嫌い」ではなく、「肉類を家族が求めるから」「魚介類は価格が高いから」「調理が面倒だから」という理由が上位を占める。その一方で、「魚を食べる量や頻度を増やしたい」という回答が6割以上。魚料理が「好き」「やや好き」という回答は9割以上にもなる[注1]

今年はサンマ、アジなどの一部の魚は不漁のため高めの価格だが、コロナ禍で営業自粛や時短営業を強いられた外食産業での使用量が減り良質な食材が手軽に手に入るチャンスの時でもある。

この機会においしい魚をしっかりとかんで味わい、楽しみながらコロナストレスを解消してはいかがだろうか。

【コロナボケ・コロナ肥満解消のルール】
ルール1 「しっかりとかめる」食品を食べるように心がける
ルール2 食感のバリエーションを増やしておいしさ感もアップ
ルール3 魚介類を工夫して食べることで「栄養もしっかりとかむこと」も一挙両得

[注1]大日本水産会「2019年(令和元年)度水産物消費嗜好動向調査」。この調査の結果は「令和元年度 水産白書」にも記載されている。

柳澤幸江さん
和洋女子大学教授・和洋女子大学大学院 総合生活研究科研究科長・博士(栄養学)。1992年、女子栄養大学博士後期課程修了。2007年、和洋女子大学教授。2016年、和洋女子大学家政学部長。2020年、和洋女子大学大学院 総合生活研究科長。主な研究内容は、食品物性・テクスチャーと咀嚼性との関連。「かみごたえ早見表」を発表し、よくかんで食事をすることの大切さを栄養的視点・食事学的視点から研究。「育てようかむ力」(少年写真新聞社)など著書多数。
結城未来
エッセイスト・フリーアナウンサー。テレビ番組の司会やリポーターとして活躍。一方でインテリアコーディネーター、照明コンサルタント、色彩コーディネーターなどの資格を生かし、灯りナビゲーター、健康ジャーナリストとして講演会や執筆活動を実施している。農林水産省水産政策審議会特別委員でもある。
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