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コロナボケ解消に魚? 脳を活性化させる食事のツボ

ストレス解消のルール

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NIKKEI STYLE

日経Gooday(グッデイ)

コロナ禍で毎日の通勤生活から週に数回のテレワーク業務へシフトしている企業も少なくない。そんな中、「久しぶりに会社で会う同僚は、コロナ前より太った」という「コロナ肥満」や「毎日通勤していたときよりも頭が回らない」「うっかりすることが増えた」と、「コロナボケ」を訴える声も耳にする。

どうやら社会的な刺激が減ると、体形や脳の働き方に影響が出るようだ。この「肥満対策」や「脳の活性対策」には運動はもちろんだが、「魚」と「咀嚼(そしゃく)」が大きなカギになるらしい。

健康ジャーナリスト・結城未来が「コロナボケ」や「コロナ肥満」などのコロナによるストレス解消のルールを咀嚼と栄養学の専門家・和洋女子大学の柳澤幸江教授に聞いた。

「かむ」ことは脳の働きや肥満にも関係していた?!

体形の変化に食生活が大きく関わることはイメージできるが、果たして「食」を見直すことは「頭の働き」にも関係するのだろうか?

――柳澤教授「もちろんです。家時間が長引くと、どうしても『楽な食べ物』に偏りがちになるので、脳の働きにも影響が出てきてしまいます」

「楽な食べ物」とは、「作るのが楽」ということだろうか?

――柳澤教授「『楽に食べられる軟らかいもの』ということです。たとえば、脂肪の多い肉などには軟らかいものが多いですよね。軟らかい食べ物は舌触りがよく嗜好性も高い。しかも口に入れて簡単に飲み込めるので、楽にエネルギー補給ができる。気を付けていないと好んで口にしがちなのです。『肥満』はもちろん、『脳の活性』という点でも注意が必要です」

「軟らかいもの」といえば、「ご飯を炊くのが面倒臭い」「パッと食べられるから」と、パン食や麺類などですますこともある。それが脳の働きとどう関係するのだろう?

――柳澤教授「『咀嚼』つまり『かむ』ことが、脳の働きに関係してくるのです。たとえば歯の本数が少ない人ほど、記憶・計算・思考をつかさどる脳の部位の容積が加齢とともに小さくなりがちだということが分かっています。つまり、『かまない』生活を続けてしまうと、記憶力や思考力にも影響が出るリスクがあるため、『軟らかいもの』ばかりの食生活はお勧めできません」

そういえば、私は原稿執筆の際に「よくかむ」ものを口にする。特に堅めのせんべいは必需品。ガリガリとかむことで、考えがハッキリすることも少なくないように思う。

――柳澤教授「『かむ』行為が脳に良い影響を与えるというデータは数多く存在しています。かんでアゴをしっかりと動かすことで、三叉(さんさ)神経から脳へと信号が送られて脳は覚醒状態をキープ。血流量が増えて活性することも分かっています。逆に、緊張感は下がるというデータも出ています」

しっかりと「かむ」ことで、脳は不要な緊張を取り除いて働きやすい状態になるということらしい。車の運転中に眠気覚ましのガムをかむことも、同様の効果を生むようだ。つまり「コロナボケ」対策にも、「かむ」ことは大切なのだ。

――柳澤教授「『かむ』ことは『肥満』とも大きく関わります。食事時間が短い早食いの人ほど太りがち。時間をかけてよくかめば満腹中枢も刺激できますので、過剰に食べることなく肥満予防にもなります。唾液分泌量も増えますので、口の中をきれいに保つこともできますよ」

「よくかむ」ことは、「コロナ肥満」対策にもなるようだ。

――柳澤教授「義務感ではなく自然に『かむ』回数を増やすには、『おいしい』と思えること、『五感でしっかりと味わうこと』も忘れないでください。味や香り、食感をしっかりと感じる、つまり脳で認識することも、脳への刺激として重要とされています」

確かに、急いで食べる時には味わっていないうえに、「キチンとかんでいる」とは言い難い。「おいしい」と感じて味わいながら食べれば、いつの間にか「しっかりとかむ」ことにもつながるようだ。

――柳澤教授「おいしくかめるようにするには、単調ではなくさまざまな食感にするのもポイント。たとえば、とんかつにキャベツを添えるのも、食感の違うものがあることで飽きずにおいしく食べられる一例です」

「栄養」はもちろん、「食感」という点から毎日のメニューを見直すだけでも、おいしく「かむ」行為を増やして脳を活性化できそうだ。

魚介類でさまざまな食感を楽しむ

――柳澤教授「食材の中でも、特に『魚介類』はおすすめです。やわらかい刺し身から堅い干物、うなぎのようになめらかな皮からカリカリの骨、かむほどに味わい深い貝まで食感のバリエーションが実に豊富。栄養面でも『おいしくかむ』という点からも、注目すべき食材です」

周知のように、魚介類は非常に栄養価が高い。魚の脂質に多く含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)などのn-3(オメガ3)系多価不飽和脂肪酸が、胎児や子供の脳の発育に重要な役割を果たすことは明らかになっている。

肝臓がんや膵臓がん、男性の糖尿病予防、肥満の抑制、心臓や大動脈疾患リスクの低減等、期待されている効果も多い。

さらに、魚のタンパク質は、大豆や乳たんぱく質と比較しても消化されやすく、人間が生きていくうえで必要な9種類の必須アミノ酸もバランスよく含む。

肝機能強化や視力回復効果が期待されているタウリンはイカやカキに多く、カルシウムの吸収を促進するビタミンDが豊富なサケ・マス・イワシ類、ビタミン・ミネラル・食物繊維が豊富な海藻類など、魚介類は健康維持に欠かせない食品だ。

水産物の摂取による健康効果に関する研究例

魚はおやつにも! 少しの工夫で無限の楽しみ方

「魚をしっかりとかんで食べる」ことで脳の活性と同時に、脳や体に良い栄養面もサポートできる。

まさに、「コロナボケ」「コロナ肥満」対策にピッタリだ。

――柳澤教授「魚介類は栄養価の高さに加えて、部位や調理法によってさまざまな食感を引きだせる『かむことも楽しめる』マルチ食材です。たとえば、朝食にご飯・海藻ミソ汁・焼き魚は、栄養面でもとてもバランスのとれた組み合わせ。さらに魚を「シシャモ」などにすれば、しっかりと『かむ』ことができます。もし、パンがお好みなら、ジャコにピザチーズを混ぜてトーストにのせて焼けば、ジャコの栄養とかみ応えに加えてチーズのカルシウムも加わった脳も体も喜びそうなパン食にできます。オリーブオイルを少しかけたり、黒コショウや七味唐辛子で味に刺激を加えたりしても、おいしいですよ」

朝から「魚をしっかりとかんで食べる」ことから一日をスタートすれば、脳はフル回転し、一日の作業効率も上がりそうだ。ただ、家時間が増えると、三食以外にもついつい食べ物を口にしてしまいがち。間食時にもよい食べ方はないだろうか?

――柳澤教授「『かむ魚おやつ』として、丸ごと食べられる小アジや小イワシなどのみりん干し、小袋に入ったアーモンドやピーナツ入りの小魚などもお薦めですね。かみ応えがありますので少量でも満足感がありますし、たんぱく質やカルシウムも豊富。たとえば、イワシとアーモンドでしたら、10グラム当たりに含まれるたんぱく質は卵の1/2個分、カルシウムは牛乳約1/2本分。イワシには日本人に不足しがちなカルシウムの吸収率を高めてくれるビタミンDも多く含まれていますので、栄養面でも優等生といえます」

そういえば、私はしらす干しを買ってきて食事時に食べることが多い。時にはフライパンでカリカリにして、間食や原稿執筆時のお供にすることも少なくない。

――柳澤教授「良い食べ方ですね。小魚なら丸ごと栄養を取れますし、調理法によって食感を簡単に変えられます。イワシやアジなども骨を油でじっくり揚げると、とっても香ばしい骨せんべいになりますよ」

煮る、焼く、ご飯と共に食べるだけではもったいないくらい、魚介類には工夫次第で無限の楽しみ方がある。毎日の「食」をおいしくしながら脳の活性や栄養面をサポートできるのだから、あらためて見直す必要がありそうだ。

――柳澤教授「本来、魚は内臓から皮まで丸ごと食べられる無駄のない食材です。海に囲まれた日本は魚の食文化レベルも高い国。せっかく歴史や文化があるのですから、普段の食生活を見直して、魚介類でさまざまな食べ方を楽しんでいただきたいですね」

令和元年度の水産白書によると、魚介類をあまり購入しない理由は、「嫌い」ではなく、「肉類を家族が求めるから」「魚介類は価格が高いから」「調理が面倒だから」という理由が上位を占める。その一方で、「魚を食べる量や頻度を増やしたい」という回答が6割以上。魚料理が「好き」「やや好き」という回答は9割以上にもなる[注1]

今年はサンマ、アジなどの一部の魚は不漁のため高めの価格だが、コロナ禍で営業自粛や時短営業を強いられた外食産業での使用量が減り良質な食材が手軽に手に入るチャンスの時でもある。

この機会においしい魚をしっかりとかんで味わい、楽しみながらコロナストレスを解消してはいかがだろうか。

【コロナボケ・コロナ肥満解消のルール】
ルール1 「しっかりとかめる」食品を食べるように心がける
ルール2 食感のバリエーションを増やしておいしさ感もアップ
ルール3 魚介類を工夫して食べることで「栄養もしっかりとかむこと」も一挙両得

[注1]大日本水産会「2019年(令和元年)度水産物消費嗜好動向調査」。この調査の結果は「令和元年度 水産白書」にも記載されている。

柳澤幸江さん
和洋女子大学教授・和洋女子大学大学院 総合生活研究科研究科長・博士(栄養学)。1992年、女子栄養大学博士後期課程修了。2007年、和洋女子大学教授。2016年、和洋女子大学家政学部長。2020年、和洋女子大学大学院 総合生活研究科長。主な研究内容は、食品物性・テクスチャーと咀嚼性との関連。「かみごたえ早見表」を発表し、よくかんで食事をすることの大切さを栄養的視点・食事学的視点から研究。「育てようかむ力」(少年写真新聞社)など著書多数。
結城未来
エッセイスト・フリーアナウンサー。テレビ番組の司会やリポーターとして活躍。一方でインテリアコーディネーター、照明コンサルタント、色彩コーディネーターなどの資格を生かし、灯りナビゲーター、健康ジャーナリストとして講演会や執筆活動を実施している。農林水産省水産政策審議会特別委員でもある。

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