あおり運転対策にも お勧めのドライブレコーダー10選
運転中の映像を漏らさず鮮明に記録するドライブレコーダー。設置が簡単な前方カメラや、トラブル対策に前後を撮る製品が人気だ。一般ドライバーにお薦めの製品を10人の専門家が選んだ。
1位 JVCケンウッド「DRV-MR745」
白飛び・黒潰し 見やすく補正
ドライブレコーダーは車内外の映像を記録する機器だ。あおり運転などトラブルの増加を背景に、前方と後方を2台のカメラで撮影する「デュアルタイプ」の機器が人気を集める。第1位は、カーオーディオなどで知られるケンウッドと映像技術に定評のあるビクターが統合して誕生した、JVCケンウッドが手掛ける製品だ。
明暗差の大きいところで生じる「白飛び」「黒潰し」と呼ばれる画像の乱れを抑える「画像補正HDR」を搭載。センサーが衝撃を検知したら前後の映像を保存する機能もある。場所・時刻を正確に記録する全地球測位システム(GPS)、後方カメラ=写真下=は後ろのガラスがスモークタイプでも鮮明に撮影できる機能を持つ。ガラスの濃さに合わせて明るさも調整可能だ。会田肇さんは「画質を重視したい人にお薦め」と話す。
暗い場所や広範囲に撮れるレンズを使い、間近に迫る車両の様子も撮れる。「撮影範囲の広がりで生じるゆがみも抑えられている」(かじがや卓哉さん)
大容量32GBのマイクロSDHCカードが付き2台のカメラでの撮影に対応。「別売りのケーブルを使うと駐車時の監視もできる」(森口将之さん)など評価が高いが、「映像確認はパソコンでできるがスマホに対応していない」(上西一美さん)との声も。
(1)価格の目安 約3万2000円(2)解像度 前後ともフルHD(ハイビジョン)(3)製品URL https://www.kenwood.com/jp/products/drive_recorder/drv_mr745/
2位 セルスター工業「CS-91FH」
地震・台風など災害情報も表示
セルスター工業はレーダー探知機などで知られ、ドライブレコーダーも基板部品の実装から組み立てまで三重県の自社工場で一貫生産する。「国産で高品質の製品を求める人に最適」(倉嶋源さん)などの評価を得た。
ソニー製CMOS(相補性金属酸化膜半導体)センサーを搭載し夜間でも鮮明に撮れる。後続車が接近し「あおり運転」と感知すると警告音が鳴り、同時に後部カメラで録画を始める機能を備える。公的機関が発信する地震や台風などの災害情報を音声とともに表示する「災危通報」機能も装備。「交通事故などの人災以外にも対応している」(近藤克己さん)
(1)約4万円(2)前後ともフルHD(3)https://www.cellstar.co.jp/products/recorder/cs/cs-91fh.html
2位 コムテック「HDR360GW」
前後左右360度をカバー
コムテックは愛知県東郷町の自動車用電子機器メーカー。フロントカメラ=写真(左)=は360度カメラで全方位を340万画素の高画質で撮れる。
「前後だけでなく左右からの幅寄せや自転車・バイクが横をすり抜けるときなどに起こる様々なトラブルから愛車を守る決定版」(鈴木政和さん)。360度撮影なのでトラブル発生時のドライバーの様子など車内の状況も記録できる。
「撮影範囲の広さはトップクラス」(森口さん)。フロントカメラのモニター下には撮影を操作するボタンが配置され、「操作しやすい」(かじがやさん)との声も。
(1)約4万3000円(2)前方カメラは1856×1856、後方カメラはフルHD(3)https://www.e-comtec.co.jp/0_recorder/hdr360gw.html
4位 パイオニア「VREC-DZ700DLC」
暗い場所でもナンバーくっきり
カーナビゲーション(カーナビ)システムの技術などを生かして開発された製品だ。トンネル走行時や暗い駐車場でもナンバープレートなどを鮮明に記録。倉嶋さんは「肉眼以上に撮影対象物を認識できる」と評価する。
フロントカメラ=写真(左)=は広角レンズの採用に加え、手でレンズの向きを変えて車内を撮れる。「駐停車時のトラブルに対応可能」(近藤さん)。本体にWi-Fiを搭載、「専用アプリをダウンロードすればスマホで映像の確認などができて使いやすい」(上西さん)。
(1)約3万8000円(2)前後ともフルHD(3)https://jpn.pioneer/ja/carrozzeria/system_up/recorder/vrec-dz700dlc/
5位 ガーミン「Dash Cam 46Z」
スマホアプリで編集可能
ガーミンはGPS機器に強い米企業。高機能のスマートウオッチでも知られる。ドライブレコーダーでは、夜も鮮明に映像を処理して記録する独自技術「ナイトチューニング」を備え、「夜間でも先行車のナンバーは十分読み取れる」(会田さん)と支持された。
内蔵Wi-Fiを使って撮影した映像をスマートフォンで確認・編集などができる。「アプリの完成度も高い」(森口さん)。フロントカメラ=写真(左)=で縦4センチ、横5.6センチ、奥行き2.1センチと他社製品より小さめな点を評価する声も。
(1)約2万4000円(2)前後ともにフルHD(3)https://www.garmin.co.jp/products/ontheroad/dash-cam-46z/
6位 オウルテック「OWL-DR803FG-3C」
3つのカメラ搭載
オウルテックはコンピューター周辺機器メーカー。フロントカメラの運転手側にも車内撮影用のカメラ=写真右上=があり、合計3つのカメラを搭載する。前後カメラは広角レンズを採用し夜間でも鮮明に映像を残せるほか、車内カメラには赤外線機能も付く。事故発生時の運転手の対応なども鮮明に記録できる。
近藤さんは「事故発生時の衝撃音を検知して録音を始める『プライバシーオート録音』もいい」と指摘する。
(1)約3万6000円(2)前方カメラはWQHD(約370万画素)、リアカメラはフルHD、車内カメラはフルHD(3)https://www.owltech.co.jp/product/dr803fg-3c
7位 パナソニック「CA-DR03TD」
カーナビ画面タッチで操作
カーナビシステムを手掛けており、同社製のカーナビに限り連携させて使用する製品だ。録画映像の再生などドライブレコーダーの操作はカーナビ本体の大きい画面をタッチすればよく、操作しやすい。
矢田部明子さんは「撮影した前後両方の映像をナビの画面ですぐに見られるのがいい」と指摘。カーナビの地図機能と連動して撮影場所も正確に記録できるため、旅の思い出を振り返る楽しみもある。暗がりにも強いレンズを採用、「夜間の撮影も明るくクッキリ」(かじがやさん)
(1)約4万3000円(2)前後ともフルHD(3)https://panasonic.jp/car/navi/products/DR03D_DR03TD/
1位 コムテック「HDR752G」
逆光でもしっかり記録
悪条件の下でも高画質で撮影できる点が高い評価を得た。明暗差の激しい場面での「白飛び」などを抑え画像を補正する機能を搭載する。会田さんは「レンズが光の方向を向く『逆光』にも極めて強い」と評価する。
シングルカメラは機器1台なので取り付けも簡単。本体は縦7.4センチ、横6.6センチ、奥行き約3.9センチとコンパクトサイズで、「外から目立たないように設置できる」(熊崎さん)。カメラの向きはネジでレンズの角度を上下に動かして調整する。「実用性も高いのに値ごろ感もある」(矢田部さん)との声も。
(1)約2万1000円(2)フルHD(3)https://www.e-comtec.co.jp/0_recorder/hdr752g.html
2位 JVCケンウッド「DRV-650」
なめらかに動画再生
高画質の映像を記録する豊富な機能が支持を集めた。暗い場所での撮影に強いレンズを使うのに加え、ソニー製CMOS(相補性金属酸化膜半導体)センサーを搭載して夜間の映像を鮮明に収められる。1秒間に55コマを録画するため、なめらかな動画とブレの少ない静止画を再生できる機能なども搭載。鈴木さんは「価格も2万円台前半とコストパフォーマンスが秀逸」と評価する。
時速60キロメートル以上での走行時に車線から外れると警告音が鳴るほか、別売りのケーブルを使えば駐車時に最大24時間監視できる。
(1)約2万2000円(2)フルHD(3)https://www.kenwood.com/jp/products/drive_recorder/drv_650/
3位 PAPAGO「GoSafe372V3」
フロントのミラーに挟むだけ
PAPAGO(パパゴ)は台湾企業。安蔵靖志さんは「フロントガラス上部のミラーにクリップで挟むだけで簡単に取り付けられる」と指摘する。運転時はミラーとして使い、同時に外に向けて設置されたカメラが前方を撮影する。
録画映像は駐停車時などにミラー中央部のモニターで確認できる。操作ボタンはモニターの右下にあり画面に指紋がつかない。まぶしさを防ぐ加工により夜間走行時のハイビームの反射を抑えるなど、ミラーにも工夫が施されている。
(1)約1万2000円(2)フルHD(3)https://www.papago.co.jp/product/drive-recorder/one-cam/gosafe-372v3/
あおり事故で一気に需要増
ドライブレコーダーは事故・トラブルの記録を目的にタクシーなど業務用車両から導入が始まった。この数年はあおり運転による事故が相次ぎ、自家用車への搭載ニーズが高まった。
電子情報技術産業協会によるとドライブレコーダーの国内出荷台数は19年度に484万台と17年度(267万台)の1.8倍に増え、国土交通省の調査では搭載率が46%に上った。今年は6月にあおり運転の厳罰化があり、さらに需要が伸びそうだ。
前方のみを撮影するものや、前方と後方を撮影する機種、全方位を撮影する360度カメラがあり、価格帯や機能も千差万別。前方のみのタイプは多くがフロントガラス上部に取り付け、コードをシガーソケットにつなぐだけと簡単。鈴木政和さんは「あおり運転対策で選ぶなら、前後を撮るカメラがお薦め」とアドバイスする。ただ、配線などが煩雑で、購入した店舗に取り付けを頼むと費用が1万5000円以上かかる場合が多い。基本的にエンジンをかけると録画開始。高画質の映像を残すには、容量と記録速度の大きいマイクロSDカードなどを使いたい。
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(生活情報部 清水玲男)
[NIKKEIプラス1 2020年9月5日付]
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