大学生、キャリアをどう描く? ジョブ型雇用の時代に

熱弁をふるう村上臣代表
熱弁をふるう村上臣代表

新型コロナウイルスによって、働く環境は大きく変わった。この時代を生きる大学生は、どう心構えをしたらいいか、キャリアの築き方はどうなるのか――。ビジネスSNS(交流サイト)を展開するリンクトイン・ジャパン(東京・千代田)は7月末、学生向けにこれからのキャリアを考えるオンラインイベント「コロナ時代のキャリア作り」を開催。今大学生が知っておくべき働き方の変化や求められるスキルについて、同社の村上臣代表に聞いた。(聞き手はU22の桜井陽)

イベントはビデオ会議システムのZoomで実施し、海外に留学する学生も含め、約50人の学生が参加した。雇用やキャリアについて注目の記事を引用しながらトークを展開した。

ジョブ型雇用とは?

コロナ下の働き方の大きな変化として、職務内容を定めて成果で評価する「ジョブ型雇用」について、最近の導入事例などを紹介しながら解説した。日本の大企業で導入する動きが一気に進んだの背景について、リンクトインの村上さんは「コロナで広がった在宅勤務ですよね。特に大企業で、今までの顔が見えているマネジメントが通用しなくなり、ジョブ型が急に注目され始めたように思います」と話す。

ジョブ型雇用では、あらかじめ仕事の内容や必要なスキルを「職務定義書」(ジョブディスクリプション)で明確にして、その達成度合いで評価や報酬が決まる。ただ、日本企業では、在宅勤務でログイン時間をチェックするなど、サボっていないか監視する方向へいくケースも多い。これについて村上さんは「日本企業は勤務時間で社員のパフォーマンスを測ってきた。こうした日本型の慣習とリモートワークとの相性が悪さが、表面化してきている」と言及した。

日本の採用システムについても、「日本は新卒採用にチャンスが偏っているので、採用のときには、地頭がいい人がほしい、という話になりがち。中途採用は半分ジョブ型ですが、残り半分は新卒採用のやり方を踏襲している気がします。これらが混在していて、議論が複雑になっています」と指摘した。

キャリアとジョブの違い

雇用環境が変わりつつあるなか、キャリアをどう考えるべきか。村上さんが投稿したCOMEMO(日経が運営する投稿プラットフォーム)の記事「今後に備えるためにも意識したい、キャリアとジョブの違い」を引用しながら、キーワードを整理した。

村上臣代表のCOMEMO投稿の要点

英語で「キャリア」と「ジョブ」、「タスク」という言葉がある。日本語だとこれらが全部「仕事」になってしまうが、「仕事の中には、将来のために積み重なっていく『キャリア』と、会社や上司から与えられて一個一個こなしていくような『タスク』や『ジョブ』がある。自分は今どっちをやっているのかというのを意識した方がいい」という。

U22の桜井から「働いているとその感覚はすごくわかるのですが、まだ働いたことがない学生はどうイメージしたらいいでしょうか」と聞いたところ、村上さんからは次のようなアドバイスがあった。

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求められるスキルが多様化