「アレクサンダー大王」を座右に 戦い続ける姿に共感環境相 小泉進次郎氏

村上作品のファンになって、会ったこともないのに「あの人は嫌い」と思い込むのは良くないなあと強く思いました。最近は私のことをボロクソに言っている人に会うのが楽しみなんです。以前に参院自民党の吉田博美元幹事長(故人)と会食する機会に「私のことを嫌いな人を集めて下さい」とお願いしました。吉田さんは「おもしろい。いるよ、俺が集めよう」と言って実現してくれました。

うなぎ屋さんで6人くらいと食事をしましたが、最初から険悪でした。

「おまえは若いくせになんで酒をつがないんだ」

「私は自分のペースで酒を飲みたいから、人からつがれたくない。だから人にもつぎません。つがれたいのならつぎますよ。私はそういうタイプなんです」

「本当におまえはよー」みたいな感じになって、「まあまあまあ」と人が間に入るような雰囲気でした。絶対に人につがないわけじゃないけど、つげと言われると一言言ってやろうと思ってしまった(笑)。でも今ではその人と他の議員以上に親しくなりました。表で一度言いたいことを言い合ったらそうなりました。

村上作品では『遠い太鼓』も好きですね。これも別の知人に勧められました。村上さんが地中海地方に旅行した時のルポですが、一度も行ったことがないのに砂ぼこりが舞う景色まで想像させることができる村上さんの表現力に驚きました。

座右の噺(はなし)と位置づける落語にちなんだ本もお気に入りだ。

松井今朝子さんの『仲蔵狂乱』は江戸時代の歌舞伎役者、中村仲蔵さんを描いた本です。血筋が最も重要視される歌舞伎の世界で、名家の出ではないのにどのような苦労をして伝説の役者にのし上がったのかを著しています。強烈な探究心を持ち、芸を極めようとした仲蔵から学ぶことが多かった。

「中村仲蔵」は落語の演目になっていて、立川志の輔さんの噺を初めて聴いた時は涙がポロポロ出ました。中村仲蔵を聴くと「おまえ頑張っているか。もうこれ以上はできないというくらいの思いで人生と向き合っているか」と戒められる気がします。「座右の書」とあわせ、これは「座右の噺」として挙げさせてもらいたい。

伊集院静さんの作品はどれも好きです。『琥珀(こはく)の夢』はサントリーの創業者である鳥井信治郎さんを描いていて、同じ「しんじろう」なので漢字は違いますけど親しみを持ってます。

そのうえで紹介したいのは『ノボさん』です。俳人・正岡子規の幼名、升(のぼる)から取ったタイトル。野球という言葉は彼から生まれていて、高校球児でもあった私にとって昔から好きな偉人です。作品の中に正岡子規と夏目漱石が共に寄席に行って落語を楽しむ場面が出てきます。寄席に行った時に偉人の2人が座っている姿を想像すると、落語が時空を超えて引き継がれていると実感できます。新型コロナウイルスでエンタメ界はどこも大変です。伝統芸能を決して絶やさないように、落語を愛する一人としても、超党派の落語議員連盟の幹事長としても、寄席には通い続けたい。

(聞き手は編集委員 坂本英二)

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