うつ休職から仕事に復帰したい なんで「リワーク」?うつのリワークプログラム(中)

日経Gooday

写真はイメージ=(c)Artur Szczybylo-123RF
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こんにちは、編集者・ライターのふくいひろえと申します。以前、うつで休職していた私は、「リワークプログラム」を受けて復職し、今では「うつ患者」から「元うつ患者」になって、元気に働いています。

前回記事「まさか自分? うつの私、リワークプログラムに出合う」では、うつ発症時のこと、休職、そして「リワークプログラム」に通うことになるまでを、お話ししました。

今回は、リワークプログラムの立案者で統括者の、「東京リワーク研究所」五十嵐良雄所長にプログラムの成り立ちや、概要について尋ねました。

◇   ◇   ◇

「会社としては、リワークプログラムを受けてから復職してもらいたい」

早く仕事に復帰したかった私にとって、なぜ勤務先の会社が、このプログラムをこんなに強く勧めるのか、その理由がよく分かりませんでした。いったい、どういうこと? 最初はそんな気持ちでいた私でしたが、その理由はすぐに判明します。

うつ休職から復職する人たち向けの「復職支援プログラム」

うつの「リワークプログラム」がスタートしたのは、2005年。東京・虎ノ門の精神科クリニック、「メディカルケア虎ノ門」が考えた、うつによる休職から復職する人たち向けの復職支援プログラム、「リワーク・カレッジ」が始まりだそうです。

「リワーク(Re-Work)」の「リ(Re)」は、「Return(リターン=戻る)」の意。ワーク(Work)は仕事。「リターン トゥ ワーク」、つまり仕事に戻るためのプログラムというわけです。

会社に出勤するのと同様にプログラム施設に通い、同じ病気の仲間と集団で活動するなかで復職の準備を行うものです。

その後、2008年に、このプログラムの導入を支援する「うつ病リワーク研究会(現・日本うつ病リワーク協会)」が設立され、全国の医療機関に広がり、現在は国内200以上の医療機関が、それぞれの地域性や患者の状況などに応じて、このプログラムを実施しています。

プログラムは「うつ」による休職者の復職を支援するだけでなく、再休職防止に効果を上げ、現在、「リワーク」という言葉は、従業員の安全と健康を考える産業保健の関係者の間では知らない人がいないほど、認知されています。

プログラムを受けずに復職すると、働き続けるのは難しい?

このプログラムの先駆者であるメディカルケア虎ノ門では、2014年末までの10年間に、約1000人のうつ患者がプログラムを利用して復職しました。

2012年に同クリニックが実施した復職後の就労継続状況の調査では、プログラムを利用して復職した人たちの就労の継続率は、復職後3年の時点でおよそ7割という結果でした。

一方、プログラムを利用せずに復職した人たちの、復職後3年時点の就労の継続率はなんと2割以下。この調査から、プログラムが高い効果を上げていることが分かります。

プログラムを受けずに復職した場合、そのわずか3年後には、8割の人が就労を継続できていないという調査結果は、うつによる休職からの復職の難しさを物語っています。

私が休職していた当時、すでにプログラムのこうした効果については知られるところとなっていたようです。

私の勤務先の人事担当者が、「うつによる休職からの復職者は体調を崩しやすい」と話して、「リワークプログラムを受けてから復職してもらいたい」と言った理由はこういうことだったのか! と納得しました。

リワークプログラムを利用した群(45人)と利用しなかった群(45人)とで、復職後の就労継続率を比較しました。1000日後(3年弱)時点で、プログラムを利用した群の継続率は7割弱。一方、プログラム非利用群は2割以下でした。 また、リワークプログラムを利用した人に比べて非利用者の再休職のリスクは1.89倍でした。人事部がプログラムの利用を休職者に勧める理由がよく分かります。(出典:産業精神保健;20(4),335-349,2012.)
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