氷川きよし 自分にしかできない曲を、安泰よりは冒険氷川きよしインタビュー(上)

日経エンタテインメント!

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今年デビュー20周年を迎えた歌手・氷川きよし。6月に初のポップスアルバムをリリースした。なぜ今なのか。どこかベールに包まれている彼に起きている不思議な変化について、話を聞いた。上下の2回に分けて紹介する。

9月6日生まれ。2000年『箱根八里の半次郎』でデビュー。ミリオンセールスを達成した同曲をはじめ、特に股旅演歌と呼ばれるジャンルで名を馳せるが、歌いこなす楽曲は幅広い。これまで35枚のシングル(※配信限定曲を除く)を発表。インスタグラム @hikawa_kiyoshi_official(写真:小林ばく)

撮影スタジオで出会い頭、丁寧に頭を下げつつ、「デビュー初期の頃にエンタ!さんに載せていただいたことがあります!」と笑顔を見せた氷川きよし。その記憶力と心遣いに驚かされた。

ちょうど20年前の2000年2月に『箱根八里の半次郎』で歌手デビュー。その年の新人賞を総なめにし、現代的なルックスと堂々たる歌唱力は演歌界のプリンスとして、あっという間に彼をスターダムに押し上げた。『NHK紅白歌合戦』にはデビュー年以来20回連続で出場している。

休むことなく最前線で戦い、築き上げた輝かしいキャリア。ただ、国民的な超有名歌手でありながら、素の彼がどんなキャラクターでどんなものを好きで、どんなことを日々考えているのか、ほとんどの人が知らないのではないだろうか。誰もが知っているのに誰も知らない。芸能界においてとても不思議な存在である。

「そうですね、バラエティ番組とかあまり出ないので……(笑)。一対一でじっくり話せるトークとかならいいんですけど、人がワーッと大勢いるのが得意じゃないんですよ。会話についていけなくて、1人だけぽつんとしちゃう。今回初めてポップスのアルバムを出すことになって、これまで出たことのなかった番組やいろんなメディアにも呼んでいただいているんですが、視界が広がり、演歌ファン以外の方の目にも触れられるのはすごくうれしいなと思っています」

“今”の自分をアピールできる曲を

20周年にして放つ初のポップスアルバム『Papillon-ボヘミアン・ラプソディ-』が6月に発売された。これまでにも企画物として“KIYOSHI”名義でポップスを歌うことは何度かあった彼だが、本格的なイメージチェンジに踏み切った経緯はいかなるものだったのか。

「ずっと変わりたいという思いはあったんです。演歌でデビューしましたけど、一方でポップス歌手への憧れというのも子どもの時からあったから。その気持ちをやっぱり大事にしてもいいのかなって。

それに、40過ぎて“演歌界のプリンス”と言われ続けるのも照れくさいな……って。プリンスと呼ばれるのが嫌なんじゃなくて、氷川きよしという、いちシンガーとして見てもらいたいというか、1つの殻をいまだに破れずにいる気がして。演歌界のプリンスと言われる若手はその後もどんどん出てきて、そういう人が現れるたびに比べられもする。仕方のないことかもしれないけど、こんなに長いこと必死で頑張ってきて、まだ人と比べられてしまうのか――と、近年、疑問を覚えていたのもありました。

どこに行ってもいつまでも『ズンドコ』(02年『きよしのズンドコ節』)と言われる。あの曲はもちろん大切な宝物ですけど、過去のヒット曲であること、昔の人になっていくことに、大きな拒否感があったから。今をアピールできる作品が欲しいなと何年か前から思っていて……そんな時にアニメソングの『限界突破×サバイバー』をいただいて、これだ! と思ったんです。このタイミングでお話をいただけたのは、流れを変えるチャンスに違いない、って」

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