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正解のない問題、1限目の多様な答え 「手が机の下」

ふくしま学びのネットワーク事務局長 前川直哉さん

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NIKKEI STYLE

「正解のない問題」1限目、noteに中学生からシニアの方、海外在住の方まで、様々な答えを頂きました。出題者である「ふくしま学びのネットワーク」事務局長の前川直哉さんから、気になった答えを感想や学びのヒントとともに紹介していきます。

こんにちは、ふくしま学びのネットワーク事務局長、前川直哉です。以前は灘校で社会を教えていましたが、東日本大震災をきっかけに福島に移り住み、高校生向けのセミナーなどを開催しています。たくさんのご投稿、ありがとうございました。

まずは1限目の問題のおさらいです。

(1) 写真の欧州連合(EU)側メンバー(左側)と比べて、日本側メンバーの特徴は何でしょうか?

(2) この写真が、日本社会のどのようなことを象徴していると思いますか? また、その社会の現状についてどう考えますか? 正解はありませんので、あなたの考えを書いてください。

「おじさんしかいない」象徴的な写真

(1)について、たくさんの方が指摘したのがジェンダーの視点でした。「比較的高齢の男性が多く、若い人や女性が少ない」(ちょこミントさん、21歳)、「男性、しかもおじさんしかいない」(のんたさん、19歳)などです。

「日本側は中年男性ばかり」という画一的な現状についての意見として、大学院生のMISAさんは「女性の社会進出が進んでいない、年代層が似通っていて、多様性があまりない感じ」と率直な感想を述べてくれています。のうちゃんさん(21歳)も「同じ特性(性別、年齢等)が集まると、皆が似た意見をもってしまい、あたかも自分達が正しいと考えてしまう」と、多様性がないことの危険性を指摘しています。

ゆん/グラレコさんがイラストで示してくれているように、日本では女性の社会進出の度合いが世界的に見て低いことが課題とされています。その理由は色々ありますが、タコチューさんが指摘している「育休や産休を取得しにくい職場環境」(さらに言えば、家事・育児の担い手が圧倒的に女性に偏っている日本の現状)もその一つでしょう。タコチューさんは12歳、中学1年とのことです。タコチューさんが社会に出るまでに、こうした不平等な現状を変えていく責任が私たち大人世代にあることを改めて感じました。

女性の社会進出が阻まれている点についてもっと深く考えたいという方には、多数の実証データを分析した本、「なぜ女性は仕事を辞めるのか」(岩田正美・大沢真知子編著、青弓社)が参考になります。また、政治分野の男女不平等については、昨年刊行された「女性のいない民主主義」(前田健太郎著、岩波新書)が話題となりました。今回のような「一枚の写真」での気づきから、数値データやアンケート・インタビューなどをもとにして具体的に論じている入門書へと関心を広げてもらえれば、とてもうれしいです。

「白い服、好き」「机の上に手を出していない」ユニークな視点

服装についても個性のなさを日本の特徴と捉える方が大勢いましたが、私が面白いと感じたのは、次のお二人のコメントです。

・「日本の政治家は格好が一定でつまらない。スーツ以外を着ていない。かわいそう。もっとレパートリーを増やさないと。私EU側の白い人のファッションセンス好き」(ゆりこんさん、18歳)

・「写真を見ながら、私は日本側の席に髪を金髪に染めていた頃の自分が座っている図を想像した。…とても違和感があると思った。それは私が若い女性であることと、金髪であることが理由だった。同時に、そうした違和感を感じさせてしまう社会に対して生きづらさを感じた」(Colourful daysさん、20歳)

多くの方は「日本は~EUは~」という書き方でしたが(問いがそういう形式でしたからね)、このお二人は「私」を主語にしている分、言いたいことがストレートに伝わってくる気がしました。私も写真の白いスーツを着た方のファッションセンス、好きです。

ジェンダー・年代・服装以外にも、バラエティーに富んだ回答を頂きました。

・「ペンを持つ人以外は、机の下に手がある場合が多い。これだと話す際には、ジェスチャアなどの大きさに影響すると考えられます」(『思索の蒼穹』店主さん)

・「全員が回答しようとしていない。手を机上に出さない」(V7さん、20歳)

そう言われて写真を見ると、手の位置が違いますね。文化の違いと言えばそれまでですが、確かに日本ではこういう会議の時にメモをとるか、手を机の下に置く人が比較的多い印象があります。V7さんは「EU側は、写真で写っているメンバー全員が、話を聞いて、自分が答える姿勢を取っている。しかし、日本側は、河野大臣とその周辺の人達は、聞いているが、当事者意識がある様には見えない」とコメントしてくれており、これらは出題した私も気づかなかった点で、なるほどなあと感じました。

自分とは異なる意見に耳を傾けることの大切さ

……さて、ここで質問です。みなさん、ここまで読んで無意識に「正解」を探していませんでしたか? タイトルにある通り、「この問題に正解はありません」。現実の社会に絶対的な正解がないのと同じです。今回このような問題を出した理由は、もちろん私がジェンダーの研究者であるということもありますが、意見の多様性を感じてもらいたかったのです。

たくさんの意見を聞くと、のうちゃんさん(21歳)が指摘してくれたような、「自分たちが正しいと考えてしまう」思い込みから脱することができます。そのためには、「これは間違ってるかも」といった照れや、「誰かが正解を出してくれるだろう」という他人任せの姿勢よりは、もっと気軽に、自分の意見や感じた事・思ったことを話し、他の人の声(特に、自分とは異なる意見)に耳を傾けることが大切なのだと思います。写真が象徴する不平等な現状から脱する一歩にもなるはずです。

Jijiさん(25歳)は「何か特別なことをしなくても、自然な感じでみんなが性別や年齢に関係なく活躍できる時代が早く来ればいいなと。失礼、そういう時代を創り上げていかなければならないですね」とコメントを結んでくれました。そう、社会や時代を作っていくのは「誰か」ではなく「私たち」。そのための第一歩が自分の考えを表に出し、自分と異なる多くの声を聞くことなのではないかと、私は考えています。

この連載が、そんな場の一つになれば幸いです。次回もお楽しみに!

前川直哉
1977年、兵庫県生まれ。東大教育学部卒、京大院人間・環境学研究科博士後期課程修了、博士号(人間・環境学)取得。2004年に母校の灘中・高で社会科教諭となり、14年3月退職。同4月に一般社団法人ふくしま学びのネットワーク(福島市)を設立し、事務局長に就任。18年から福島大特任准教授も兼務。高校生向け無料セミナーや社会貢献活動コンテストなどを通じ、原発事故の被災県の子どもを支援し続けている。

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