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グルーブXの林要社長は家庭向けロボット「ラボット」を家族の一員と位置づける

グルーブXの林要社長は家庭向けロボット「ラボット」を家族の一員と位置づける

家庭向けロボット「LOVOT(ラボット)」を生み出したGROOVE X(グルーブX、東京・中央)の林要社長は、トヨタ自動車のエンジニアとしてそのキャリアをスタートさせた。スーパーカーにF1開発を経験して、ソフトバンクに転職。ロボットブームの先駆けとなった「pepper(ペッパー)」にも携わった。挑戦的な職場に身を置き続けたのはなぜか。

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トヨタ自動車でF1レーシングカー開発のチーム員に指名された林氏。伝統企業の同社にあって、立ち上がって間もなかった当時のF1開発部門には、気鋭メンバーが集められた。しかし、林氏は社内公募の応募条件さえも満たしていなかった。開発に必要なレースのルール集は難解な英語で書かれているのに、TOEICの点数は300点未満。それにもかかわらず、なぜ抜てきされたのか。背景には意外な事情があった。

現地メンバーのみによる開発では成績が振るわず、本社エンジニアの派遣を必要としていた当時のF1チーム。林氏を推薦したのは、スーパーカーの設計をめぐって林氏の主張を認めず、怒声を浴びせたことのある担当役員その人だったという。

「研究肌で優等生タイプのエンジニアと、英語もできないが、イキのいいタイプのエンジニア、どちらがいいか――。そう質問したのだそうです。現場は『過去の経験が当てにならない仕事なので、骨のあるほうがいい』と回答。後者の私が派遣されることになりました。役員を怒らせてしまった失敗体験が、まさかチャンスを引き寄せてくれるとは思いませんでした」

「出る杭だから引き抜かれる」――。林氏は、著書『ゼロイチ』(ダイヤモンド社)で、自身の当時の経験をそう振り返っている。実際、革新性や独自性を期待される環境からたびたび声がかかったのは、林氏が大企業組織の中にあって「記憶に残る人材」だったからだろう。ただし、「出る杭は、楽ではないです」とも付け加える。

「エリートコースで勝負できる人間ならばよかったのです。でも、私はいわゆる優秀なタイプではないし、『枠をはみ出るな』と言われた途端にやりがいを感じられなくなってしまう不器用なところがあります。『出る杭』になることは、積極的な選択というより、主流からの『逃げ』でもありました」

「主流」ではない、林氏のような存在の周りには、否が応にも波風が立つ。不安や重圧を感じないはずがなかった。「でも、主流での勝負を逃げた先でも負けるなんて格好悪いじゃないですか。だから、がむしゃらに成果を出そうと食い下がる。その結果として学べたことは多いと思います」

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