頼んだことしかしない夫に落胆女優、美村里江さん

女優、エッセイスト。埼玉県出身。2003年、テレビドラマ「ビギナー」で主演デビュー。最近では初の歌集「たん・たんか・たん」(青土社)が好評発売中。出演映画「空に住む」(青山真治監督)が10月23日公開予定。
女優、エッセイスト。埼玉県出身。2003年、テレビドラマ「ビギナー」で主演デビュー。最近では初の歌集「たん・たんか・たん」(青土社)が好評発売中。出演映画「空に住む」(青山真治監督)が10月23日公開予定。

夫は現役時代、「若い連中は説明しないと自分から動かない」とこぼしていました。退職後は家事を分担していますが、頼んだことしかしてくれません。掃除機のゴミフィルターの清浄など付随することには気が回りません。結局はやる気の問題でしょうか。(大阪府・50代・女性)

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素敵(すてき)なご夫妻と感じました。立派に働いてきた旦那様に、しっかりとした家事で家を守ってきた相談者さん。旦那様が会社の愚痴をこぼすのは、相談者さんが受け止め上手で、かつ分かってくれるという信頼感があるからですね。良好な関係が伝わって参ります。

さて、少し前「名もなき家事」のことが話題になりましたね。分かりやすい家事以外に、相談者さんが挙げられている掃除機のゴミフィルターの掃除など、メインミッションに細かく付随する瑣末(さまつ)な家事があることです。

旦那様も現役時代、こうした名もなき仕事をこなしてきたのでしょう。「そんなことやらなくていいのに」と周囲に言われる先に一歩進むと、道が開ける。そんな経験がある、誇り高きビジネスマンだったのかなと感じます。

「言ったことしかやってくれない」のは困りますが、逆に考えれば「言えばやってくれる」わけです。部下でいえば、器用ではないけれど素直なタイプ。伸びしろの多い新入社員に、一から仕事を教えていく。そんな気持ちが求められそうです。

手始めに「研修期間」を設けてみてはいかがですか?

毎日教えるのは骨が折れますから、数日間集中でイベント化するのです。「掃除機のこのフィルターが詰まると、吸引力が落ちて消費電力も増えてしまうの。目安は◎週間。吸いが悪いと思ったら交換してね」など、細かな点まで詳しく説明をする。

家事の一つずつには、結構しっかりした理由があります。この順番でやらないとほこりが舞うから。普通洗いだと縮んでしまうから。木製の食器を念入りに拭うのは水気でカビやすいから……。

道理がわかれば、それを守るのは男性の方が得意かもしれません。アドリブ的な家事は、おおむね女性の方が得意かなと思います。しかし、性別だけでない個人の得意・不得意はありますから、上司として、部下の特徴を見極めて伸ばしてあげましょう。

私は育児未経験ですが、大人を育てるのも悩ましいものですよね。新しい職場で、やったことのない仕事に一生懸命の新人。まずは言われたことをちゃんとやるのが必須ですから、旦那様は有望株。家事研修、頑張ってください。

[NIKKEIプラス1 2020年8月29日付]


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