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綾野剛 みんなが幸せになれる作品ってどんなのだろう

綾野剛インタビュー(下)

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NIKKEI STYLE

日経エンタテインメント!

ドラマ『MIU404』で星野源とダブル主演している綾野剛。前回インタビュー「『MIU404』主演の綾野剛 『少年マンガの成分で役作り』」に引き続き、俳優としての心構えや過去・現在・未来の自分について語ってくれた。

リモート取材で、移動中の車中から質問に答えることについて、「これもある意味、ニュースタンダード。時間はあるから何でも聞いてください」と言ってくれた。では今、新作が出るたびに注目される、塚原あゆ子監督の演出、野木亜紀子脚本についてはどう感じているか。

「塚原監督は、頭の回転がすごく速い方です。現場でもみんな愛情から、『監督はせっかちだから』って言ってますけど、僕、とっても相性がいいんです。『まずはやってみようよ』っていう感覚が常にあって。台本ありきだけど、活字上で僕たちが『うん』やら『すん』やら言ったところで、たかが知れてますし、何も始まらない。

僕たちは作品に出演している以上、歓声も罵声もどっちも受け止めながら向き合っていかなきゃいけないので、演技プランを固めていかないと恐いって気持ちも分かるんです。でも、ドラマってどこまでも総合芸術で、カメラワークとか全部含めて成立しているもの。塚原さんはそういうことを、頭の中で全部計算してる。しかも台本上ではなく、現場で芝居を見ながら。

だから僕は、セリフだけ覚えて現場に行ってます。自宅で『は!』『う!』とか言ってたって、限界ありますし、衣装着ないと気分だって上がらない。むしろ、セリフさえきっちり頭に入っていて、気持ちも何通りも理解できていれば、現場で臨機応変に変容できる。しなやかな竹のようにいたいんです。

野木さんの作品は、野木さんのデビュー作の『さよならロビンソンクルーソー』(10年)と、『空飛ぶ広報室』(13年)に続いて、3本目です。自分の血を通わせた本を書く人はたくさんいますが、自分の血を流して書いてる人にはなかなか出会えません。野木さんの本を読むと、毎回身を削って血を流しながら書いてる、そう思う瞬間がいくつもあって。本にも自身にも容赦がない」

評価された作品は最大の敵になる

「とても勇ましい脚本家です。宮本武蔵みたいだなって。二刀流で無敵と言われながら、圧倒的孤独と戦っている。今、『野木さんが書いたら面白い』ってみんなに思われて、その孤独と戦い続けている。僕はそんな野木さんに寄り添いたい。少しでも野木さんの太陽になりたい。

『空飛ぶ広報室』のときは、そこまで考えられなかったです。当時はギラギラして、ただ尖っていた。その頃は、鞘も持たずに抜いたままの刀を、そのまま引きずって歩いていたんですよ。障害物や邪魔が入れば、壊れるまで、道が開くまでその刀でぶった切って。刃こぼれしようが、折れようが構わなかったんです。

今は、常にいい状態を保つために精魂込めて刀を砥いで、鞘に納めてる。ここぞというときに全力で抜けるように。なんかそんな感覚が自分にあるし、野木さんにも感じること。『私はそんなことない』ってたぶん言うと思いますが。覚えているのが『空飛ぶ広報室』のとき、いきなりバイクで現場に来て、ヘルメット抱えて豪剣の武士のように、現場のど真ん中を普通に歩いてきたんですよ。そんな脚本家いないですよね(笑)。

塚原さん、野木さん、そしてプロデューサーの新井順子さん、この3人がやっぱり『アンナチュラル』なんですよね、どこまでも。この3人が作るものは、『MIU404』もそうですし、この後作られる作品にとっても、最大の敵になる。やった作品って、全然味方になってくれないんですよ。しかも、評価されたらなおさら。新井さんも、もしかしたら『アンナチュラル』って言われることが、プレッシャーを通り越して、コンプレックスの域までいってるかもしれない。

塚原さんも、『アンナチュラル』をなぞるつもりはないでしょう。だから『グランメゾン東京』(19年)では、圧倒的様式美のなかで、王道のカット割りで、木村拓哉さんや他のキャストの方々を、1番魅力的な目線で捉えて、視聴者を魅了しました。今回もそれができるのに捨ててしまって、また新しいスタイルを築いてる。次から次にステップアップし続けているんです」

「ギラギラしていた」時期に携わった『空飛ぶ広報室』では、テレビディレクターの主人公(新垣結衣)と出会い、共に成長する元戦闘機パイロットの役を爽やかに演じて、俳優として上昇気流に乗った。このドラマにより、意識の変革もあったという。

「今思うと、その頃はドラマに嫌悪感しかなくて。ドラマの芝居って段取りが多くて、5カメくらいでマルチで撮って、「ここ被っちゃうからこっちに来て」と、演出ではなく指示ばかり。結局役者の感情そっちのけでやってる印象しかなかった。なんで僕がこんな大役をいただけたんだろうかっていう喜び以上に、ふつふつと燻った怒りみたいなものがありました。今考えたら、とても優れているチームだったにもかかわらず。僕がその寄り添いに気付こうとせず、追いついてさえいなかったんです。

『空飛ぶ広報室』でドラマを愛する気持ちを教わりましたし、ドラマで主役をやり切ることのすごさを思い知りました。ドラマってタダで出ていくものじゃないですか。"ながら"で見られて、なにより何千万人の目に耐えている。それってめちゃくちゃスゴイ。その気付きの連続で、ゼロからしっかりドラマに向き合ってみようと思って。

それこそ、『空飛ぶ広報室』のクランクアップの次の日が、『そこのみにて光輝く』(14年)のクランクインだったんですよ。もう世界観が全然違う。ああいう作家性の強い作品に入ったときに、映画とドラマ、両方に優れている部分があって、どちらも愛おしいってことに気付かされたんです。そこから、どんなドラマも1話は絶対見るようになりました」

それでは現在、作品をセレクトする基準はどんなところにあるのか。

「以前まではすごくシンプルで、スケジュールが合えば『全部やる』。今は露出をするっていうことは、それ相応の準備ができていないと、みなさんにサプライズができないってことも分かってきました。僕、年間で映画6本、ドラマ3本とかやっていた時期もあったんですが、やっぱり人間なので、出ていくばっかりでどうしたものかなと。

それにずっと露出し続けていると、役よりも綾野剛個人が表に出てしまって、作品が持っている力を生かしきれないんじゃないかって恐怖が芽生えてくる。僕はイメージがついてしまったら、役者は終わりだと思っています。だから、イメージをどんどん壊して、するする抜けていく努力が必要。分かりやすく言うと、『幅を広げる』ってことになりますけど。例えば今だったら、ラブコメやりたいですね。ど王道の」

受けるだけではなくビジョンを持って

「ここ最近は、重めでセンシティブな作品が多くて。過去5年を振り返ると、求めてくれたものに対して応えるってことばかりを考えていたので、自然と偏ってしまった。そして自分もそれを望んでいたのだと思います。求められたことに真摯に向き合ってきたし、それが間違ってたとは一瞬も思わない。ただ、受けているだけなのは、ビジョンがないのと等しい。

やってきた役は全然違うんですよ。ヒューマンドラマの『コウノドリ』の放送中に、激しいバトルアクションの『亜人』(17年)が公開されたりとか、役柄はバラエティに富んでる。だけど、僕は『求められることがすべて』だと思っていたからこそ、本来の様々な可能性を持つ綾野剛と向き合えなかった。どこまでもビジョンがなかったなと反省があるんです」

「ビジョンを持つ」というマインドの変化には、今回の『MIU404』も無関係ではないのだという。

「1年半くらい前に『MIU404』の話をいただいて、内容を読んだときに、久々に『あ、まぶしい』って。何て言ったらいいんだろう。太陽の光がまぶしいっていうよりかは、アスリートとか、高校野球、駅伝を見てるようなまぶしさ。僕はそのまぶしいものを、そのまま素直に届けたいと思ったんです。その瞬間から、この先のビジョンを考えなければいけないなと。

それまでは、自分の身を削りながらやる作品がどうしても多かったし、そういった作品を振ってもらえることが、ものすごくうれしかった。一方で、『MIU404』の話が来たときには、今感じてることを未来につなげるにはどうしたらいいかってことを考えられた。そこからは精神改造です。ようやく第2ステージですよ。17年やってきて『ようやくかぁ』っていう(笑)。

だから、『MIU404』が転機になった作品だということは、何の陰りもなく言えます。そうやって言って、自分にプレッシャーを与えたいんですよ。人から与えられるものは、期待だけでいいんです。プレッシャーは自分で与えるものだから。

今後の展望は、まずはやっぱりこの『MIU404』を最後まで完走するってこと。完走したあとに、『まだ見ていたい』と思ってもらえたら。スペシャルドラマなのか、映画なのか、どんな形にせよ、このチームでもう1度みなさんにサプライズを届けられたら最高です。

最近は、みんなが幸せになれる作品ってどんなのだろうって考えてます。エンタテインメントに貢献したい。そんな思いを投下できる作品に出合うために、今を生きています。新しい挑戦とコンプレックスに向き合う準備は万端です。でもやるんだったら、とことんニュートライしないとね」

『MIU404』(ミュウヨンマルヨン)
 警視庁の臨時部隊「第4機動捜査隊」に所属する、機動力と運動神経は抜群だが刑事の常識に欠ける伊吹(綾野剛)と、理性的な志摩(星野源)のバディが、街中の事件現場に急行し、24時間でできうる限りの捜査をする。9月4日最終回(金曜22時/TBS系)。Paraviで配信中

(ライター 内藤悦子)

[日経エンタテインメント! 2020年9月号の記事を再構成]

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