『MIU404』主演の綾野剛 「少年マンガの成分で役作り」綾野剛インタビュー(上)

日経エンタテインメント!

“刑事ドラマ”と一括りにされてしまうところを、新しいものを見せていこうと果敢にトライする、その姿勢はいつ生まれたものなのか。

自分が感じた“初めて”は連鎖する

(写真:橋本勝美)

「お話をいただいた時点です。今、どのクールでも刑事ドラマをやっていますが、僕は1つも古いとは思わない。みんな工夫されてますよね、とても。そんな状況で、じゃあ一体何が新しいのか? 誰かにとって、自分にとって新しいとは何なのかを、ドラマに携わるみんなが意識して、証明していくべきだと思います。

僕にとっては『アンナチュラル』は新しかった。それこそ、有名になってしまった『PCR法』という言葉も出てきてたわけですが、そういうことではなく、刹那の隙間をのぞいているような、『こんな機微に爆破以上のスケールが存在するのか』という着眼点があったから新しかったんです。

『MIU404』ではカースタントや派手な表現もありますが、そういうこと以上に、感情のスケールが大きい作品にしようと、クリエイターの目線で考えています。特に4話の台本が上がったときは驚いて。ドラマでは今まで出合ったことのない、『新しいスケール』と思える素晴らしい台本でした。もはや私小説のような読み応えで。自分たちが『こんなの初めて』と感じて、その姿勢を貫くことができれば、きっと誰かに伝わり、連鎖していくと思うんです。

作品にのめり込むのは自分たちではない、見てくれている人たちだってことを、塚原さんや『MIU404』の現場は真剣に考えています。だから、僕たちのキャラクターがどう見えたらいいか、なんてことは一切気にしてない。役者としては『見せ場』など、そういった観点も必要ではありますが、それが1番ってことはありません。現場主義、作品先行がすべてですから。

そこに向き合えばおのずと役は魅力的になる。僕たちが役を通して、気持ちが前のめりになることもあるけど、見ている人に『分かる』とか『そうだよね』と親近感を持っていただくことが第一歩です。そこからみんなをジェットコースターに乗っけて、『見たことない景色を一緒に見よう』と連れていきたい」

こちらの質問に真摯に答えながら、「でもこうやって芝居のことを語るのは、どうなんだろうって」と本音をもらす。『MIU404』によって、語りたいことがまた出てきているようにも見受けられるが。

「どうなんですかね。芝居でしか語ることが許されないって、どこかで思ってるんです。語れば語るほど、役が劣化する。僕、昔から奥二重だとか、髪がちょっと天パとか、特別な特技があるわけでもないし、人並みにコンプレックスがあって。今現在は、役者という職業が最大のコンプレックスだったりします。

自分が出演したものを見たりすると、「むむむぅーーー」って目をふさぎたくなる瞬間ばかり。昨日もあるシーンを撮影して、「芝居って難しいな」ってボヤきながら帰ってきたんです。帰ってきてからもそのシーンを何度も復習。そんなことが毎日、毎回だったりします。自分の羞恥心と向き合いながら、それでも役者をやってる以上は、「逃げない」って決めて。

今日はこうやってリモートで、僕は帰りの時間を利用して、車中からお話させてもらっていますけど、聞いてくれる人がいるって、やっぱりうれしくって。饒舌になっちゃいますね。本当は会ってお話したいけど、いろいろと制限があるから」

『MIU404』(ミュウヨンマルヨン)
警視庁の臨時部隊「第4機動捜査隊」に所属する、機動力と運動神経は抜群だが刑事の常識に欠ける伊吹(綾野剛)と、理性的な志摩(星野源)のバディが、街中の事件現場に急行し、24時間でできうる限りの捜査をする。9月4日最終回(金曜22時/TBS系)。Paraviで配信中

(ライター 内藤悦子)

[日経エンタテインメント! 2020年9月号の記事を再構成]

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