コップ1杯の水でスマホ2台分 災害に備える充電器3選

BigBlueブランドのソーラー式充電器「28W ソーラーチャージャー」の利用イメージ
BigBlueブランドのソーラー式充電器「28W ソーラーチャージャー」の利用イメージ

豪雨に地震……、日本は毎年、幾度もの自然災害に襲われている。近年は、これまで被害がなかった地域も安全とは言い切れず、万が一への備えが欠かせない。食料や飲料水は多くの家庭が備蓄していると思うが、今の時代、それだけでは心もとない。情報収集や友人との連絡など様々な局面で、スマートフォンをはじめとする電気を使うデジタル機器への依存度が大きいためだ。そこで今回は、緊急時に電力を確保するためのアイテムを3つ紹介しよう。

手軽なソーラー式充電器 スマホなら十分

長期間、停電するような状況になったとき、どのようにしてスマホを充電すればよいのか。真っ先に思いつくのが、災害時用のラジオに付いている手回し充電器。だが実際に試してみると、思いのほか、使い物にならない。1分間にハンドルを100回以上回しても、得られるのは、スマホで1分間通話できる程度の電力だけ。バッテリーゼロから数%の残量に増やそうとすると30分以上もハンドルを回し続ける必要があった。腕が疲れる割に恩恵は少なく感じた。

そこで目を付けたのが太陽光で発電するソーラー式充電器だ。大手電子商取引(EC)サイトで売り上げランキング上位だった、「BigBlue」というブランドの中国製ソーラー式充電器「28W ソーラーチャージャー」を実際に購入してテストしてみた。サイトや時期によって異なるが実売価格は7000円前後だ。

折り畳んだ状態の大きさは幅160×縦282×厚さ34ミリ、重さは615グラム。本体を小脇に抱えて持ち運んだり、緊急持ち出し用のバッグにも収納したりできそうなコンパクトサイズだ。使用時は搭載する4枚のソーラーパネルを広げ、幅が840ミリとなり、太陽光を受ける。パネルは米サンパワー製で、エネルギー変換効率は21.5~23.5%(メーカー公称値)と比較的高い。

4枚のソーラーパネルはコンパクトに折り畳めるので、バッグに入れたり、小脇に抱えて持ち歩いたりするのもたやすい

充電量は使用場所や天候で差が出る

実際、ソーラー式充電器でスマホを充電できるのか? 35度を超える気温を記録した8月中旬、都内にある自宅のベランダでテストした。東向きの部屋で、日が当たるのは午前中だけという厳しい条件だったが、それでもバッテリー残量がゼロの状態から57%まで回復した(テスト機はグーグルの「Pixel 3」で、バッテリー容量は2915mAh=ミリアンペア時)。南向きの部屋など、長時間、日が当たる場所なら1日でスマホを満充電できるだけの能力は持っているようだ。

ただし、ソーラー式充電器はその特性から、天候に大きく左右される。当然、曇れば発電量はほぼゼロまで落ち込む。またソーラーパネルの一部に影がかかるだけで発電量が下がるなど、設置する場所やパネルの角度にとてもシビアだ。本製品は、発電量を示す電流チェッカーを内蔵しているので、そのとき何アンペアで充電できているかわかりやすい。誰でも、この数値を見ながら設置場所や角度を調節できるだろう。

発電量を示す電流チェッカーを内蔵する。撮影時は薄曇りのため、0.2アンペアだった。日光が当たっている場所だと、この数字が2.4アンペア程度に上がる

充電の自動再開機能がある点も使いやすい。通常、ソーラー式充電器は発電量が下がると、接続した機器から電力が逆流するのを防ぐために充電を停止する。安全のための機能なのだが、充電を再開するには充電器と機器をつなぐケーブルをいったん抜き差しするなどの手間がかかった。このため夜間も屋外に置きっぱなしにして、日の出とともに充電させようとしてもできなかった。この点、本製品は日が昇れば勝手に充電が始まった。実際、ベランダの物干しざおに本製品をつるしっぱなしにして充電できるか試したところ、2日間で容量1万3400mAhのモバイルバッテリーを75%ほど充電できた(残量レベルを示すLED4つのうち3つが点灯)。設置場所を調整せずに、この程度まで充電できるなら十分に使い物になる。

出力口は2つあり、スマホとモバイルバッテリーなど、2台を同時充電できる
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水で発電するバッテリー 5年間の長期備蓄が可能