実際、調査モニターからは石原の姿に共感する声が多数。「テイクアウトをして家で食べたいなと思いました。石原さとみさんがすごくかわいい」「すき家と石原さとみの組み合わせが意外」「石原さとみがとってもおいしそうに食べているので、今すぐ食べたくなる」と、石原のかわいらしさはもちろん、食べっぷりの良さが印象に残るという声も多かった。「家で食べるちょっと贅沢なお昼がおいしそう。うなぎを食べてこれからの暑い時期を乗り切ろうと思う」と商品への関心も高い。
CM好感要因は「出演者・キャラクター」が最も多く、「商品にひかれた」「かわいらしい」「心がなごむ」と続く。男女ともに幅広い層から支持されているが、なかでも50代以上の主婦から高く評価された。
自宅で過ごす時間を明るくポジティブに

CM総研の関根心太郎代表は、キャスティングの意外性とコロナ禍の世相がCM好感度を押し上げたと指摘。「子ども連れの家族や男性が店舗で商品を食べるといったイメージの強い牛丼チェーン店のCMに、石原さとみさんを起用するという意外なキャスティングが、視聴者には新鮮に映ったのではないでしょうか。また外食ではなく、テイクアウトした『うな牛』を自宅で食べるといった設定が、ウィズコロナの世相を反映していました。外出を我慢するというよりも、自宅で過ごす時間をポジティブに明るく描いたことも共感につながったと考えられます」
CMの明るい印象には、軽快な音楽の効果も見逃せない。曲はシンガーソングライター曽我部恵一の『恋をする』。「テイクアウトを意識した今回のCMのために創作していただきました。『すき家』に新たな世界観を付与していただき、男女や世代を問わず大好評です」(小林氏)。残念ながら、リリースの予定はないそうだ。
新CMはすき家の自己最高スコアを更新して、初のトップ10入りを果たした。小林氏は「『すき家』は日常生活の中で幸せや食べる喜びを提供していくブランドです。その思いが表現できたと思います。すき家全体としても、またメニュー訴求した「うな牛」も、オンエア後に大幅な売り上げ増となりました。従業員からも喜びの声や反響がありました。『すき家』のメニューやサービスの魅力を、今後も石原さんと共にお伝えして参ります」と言う。
新型コロナウイルスの影響で多くの外食店が苦戦を強いられ、テイクアウトに活路を見いだそうとするなか、TVCMをうまく活用して需要喚起に結びつけた好例といえそうだ。
(日経エンタテインメント! 小川仁志)
■当月オンエアCM:全2357銘柄
■東京キー5局でオンエアされたすべてのCMを対象に、関東在住の男女モニター3000人に、好きなCM・印象に残ったCMをヒントなしに自己記述してもらい、その得票数を足し上げたもの
■同商品の複数作品にオンエア・好感反応がある場合、代表作品は最もCM好感度の高い作品
■企業・銘柄名・作品名はCM総合研究所の登録名称であり、正式名称と異なる場合がある