AF性能が優秀 キヤノン「EOS Kiss」3年ぶり新型

日経トレンディ

キヤノンのデジタル一眼レフ「EOS Kiss X10i」
キヤノンのデジタル一眼レフ「EOS Kiss X10i」
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キヤノンのデジタル一眼レフ「EOS Kiss X10i」(以下、X10i)が、新型コロナによる発売延期を経て6月25日に発売。EOS Kiss X9iから3年ぶりのモデルチェンジで、幅131ミリ×厚み76.2ミリ×高さ102.6ミリと、高さが2.7ミリ増したが、重量は471グラムと14グラム軽くなり、女性も使いやすいサイズは変わらない。

EOS Kissシリーズは、小型・軽量のコンセプトを維持しながら初心者層をメインターゲットとしてきた。ユーザーを、ゆくゆくは高画質の上位機種を求める写真愛好家に育て上げたいというメーカーの大きな希望を担っている。一方で、ミラーレスの台頭により一眼レフの入門機としては地位が揺らぎつつあるのも現実だ。そこで、X10iは映像エンジンをDIGIC 8に進化させるなど、上位機種に搭載されていた機能を数多く取り入れており、初心者からハイアマチュアまでの幅広いユーザーの獲得を狙う。

モードダイヤルからは絵文字がなくなり、シンプルな印象に。「SCN(スペシャルシーン)」を選択すると全12種類のモードが選べる。カメラ有効画素数は約2410万画素。実勢価格は15万9500円(税込み・ダブルズームキット)

実際に試用して最大の特徴と感じたのは優秀なAF性能だ。「オールクロス45点AF」を採用しており、ファインダーに映る様々な被写体に瞬時にピントを合わせることができる。ピンボケ写真になりやすい動く被写体を撮影してみると、実に的確にピントを合わせてくれた。

被写体が人であれば、顔を自動的に認識して追尾してくれる「EOS iTR AF」もEOS Kissシリーズでは初搭載。モデルの顔にピントを合わせ、ぐるりと回ってもらったが、追尾アルゴリズムはモデルが真横を向くまで粘り強く捉え続けてくれた。

ハード面では、「AFスタート」ボタンがボディー背面の親指がかかる部分に追加された。これを押し続けると、撮影対象にピントを合わせ続け、離すとピント位置がロックされる。障害物の多いところで動く被写体を写してみると、的確に対象を追ってくれた。運動会の撮影などで活躍しそうだ。

AFスタートボタン(写真中央)が新設された。これを押すことで、シャッターボタン半押しと同じピント合わせの動作を行える
作例。AF性能が優秀でピントが合わせやすい

背面には可動式の3インチモニター(解像度約104万ドット)がついている。タッチパネル対応でスマホのように撮影できる。Androidのようなユーザーインターフェースで、視認性がよく、分かりやすい。

動画撮影機能も進化し、4K(25/24p)動画の撮影が可能になった。大型のAPS-Cセンサー(22.3×14.9ミリ)で撮影する動画は一般的なビデオカメラで撮影したものよりもきれいで、ボケ味なども加わり雰囲気のある画が撮れる。

背面のバリアングル液晶モニターを使ってライブビュー撮影をすれば、ボケの状態など実際の写り方を細かくチェックしながら撮れる

背面のバリアングル液晶モニターを使ってライブビュー撮影をすれば、ボケの状態など実際の写り方を細かくチェックしながら撮れる

ベテランがサブ機として使う場合に注目したいのが、記録形式の画像タイプに新たに加わった「C-RAW」。従来のRAWに対してC-RAWはデータサイズがほぼ半分になる。画質は画像加工時に若干荒れる程度でほぼ同じという印象。撮影量の多い人なら、これを使わない手はない。ただし、記録メディアスロットはシングル。大切な写真のバックアップ用にダブルスロットにしてほしかった。

メディアスロットはシングル仕様だった

撮影機能は盛りだくさんなので、フル活用するにはそれなりの勉強が必要だが、特にカメラに知識のない人に対しても「とりあえず、これを買っておけば間違いない」と太鼓判を押せる機種に仕上がっている。ダブルズームキットを購入すれば18ミリから250ミリまで広大な画角をカバーする。基本的にこの組み合わせで撮れないものはないだろう。

(ライター 米倉昭仁、写真 fort)

[日経トレンディ2020年9月号の記事を再構成]

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