消えた旅客機の謎『マニフェスト』 海外ドラマ2位へ
2020年7月 海外ドラマ月間レンタルランキング
搭乗者191人を乗せた旅客機が乱気流に巻き込まれて消息を絶ち、再び現れて空港に着陸したときには5年後だった……。消えた旅客機と空白の年月の謎という謎に満ちた設定でロングヒットとなっている海外ドラマが『マニフェスト 828便の謎』だ。TSUTAYA海外ドラマ月間レンタルランキング7月度では、6位で初登場した前月より順位を大幅に上げて2位に上昇した。
ストーリーはこうだ。2013年4月7日、ジャマイカを飛び立ったニューヨーク行きモンテゴ航空828便は、突然発生した乱気流に巻き込まれる。機体は激しく揺れるが、間もなく何事もなかったかのように揺れは収まり、無事に着陸。しかし空港に降り立った搭乗者は、現在の日付が5年半以上たった18年11月4日だと告げられる。ニューヨーク市警察に勤務するミカエラは828便に乗り合わせ、搭乗前には恋人のジャレッドにプロポーズされて返事に迷っていたが、5年半後、彼はミカエラの親友と結婚。ミカエラの母親は病死していた。そしてミカエラと、やはり乗客だった兄のベンは頭の中で"声"が聞こえるようになる。彼女らと同様、すっかり周囲が変わっていて、新しい生活に戸惑う乗客たち。ミカエラは、自分たちに起きた現象と超能力の謎を解き明かそうと奔走する……。
『マニフェスト 828便の謎』は、全米では18年9月からNBCで放送がスタート。第1話は1040万人が視聴して、18年の新作ドラマでトップの視聴率を獲得する好ダッシュを記録して、全16話の平均視聴率においても18年の新作ドラマ中1位となった。今年1月から始まったシーズン2も好評だ。
828便の乗客が巻き込まれた現象の謎を究明するSFミステリーと同時に、5年半の空白が生み出した人間関係のあつれきや、人生をやり直す姿を描くヒューマンドラマとしても秀逸な本作。その絶妙のバランスを采配するのが、製作総指揮にあたるロバート・ゼメキスだ。映画の『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズや『フォレスト・ガンプ/一期一会』を監督したヒットメーカーの手腕が見事に発揮されたテレビシリーズとなった。
ヒロインのミカエラ役にはドラマ『SUPERNATURAL』『ARROW/アロー』などの出演作があるメリッサ・ロクスバーグ、ミカエラの兄で強力な超能力を得た息子を守ろうとするベン役にはドラマ『ワンス・アポン・ア・タイム』のチャーミング王子役で人気を得たジョシュ・ダラスがふんしている。兄妹を主役に据えた設定も本作の特徴で、ミステリーの要素が家族の人間関係と密接に関わっていく展開が面白い。2人の関係性がどう変化していくかもシリーズを通しての見どころだ。
『LOST』をほうふつさせる設定
蔦屋書店 商品企画本部 映像レンタルの後藤信之氏によると、レンタルユーザーは40~60代が多く、メインは60代。男女比は7:3という。製作総指揮のロバート・ゼメキスが好きな映画ファンや、本作と同じく旅客機の事故から始まる2000年代の人気SFミステリードラマ『LOST』『THE 4400』のファンに支持されているようだ。後藤氏はヒットの要因をこう分析。「謎だらけの設定と『SF×サスペンス×人間ドラマ』という作品要素の2点です。謎が謎を呼ぶストーリーは大ヒットドラマ『LOST』をほうふつさせて海外ドラマのファンの興味をそそり、製作総指揮のゼメキスらしいバランスよく構成された『SF×サスペンス×人間ドラマ』が見る者をどっぷりとハマらせます。次シーズンが待ち遠しいという声も多く寄せられています」
全米ではすでにシーズン3の製作が決定。10月20日からはスーパー!ドラマTVでシーズン2の日本初放送が始まる。SFミステリーの新たなヒットシリーズとして、日本でも人気が定着しそうだ。
(日経エンタテインメント! 小川仁志)
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