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キャリアをつくる戦略読書

2020/9/1

キャリアをつくる戦略読書

某日某所あるプロジェクト、明日は社長報告会です。昼頃、若手が私のところに来て曰く、

「あの分析、ちょっと時間かかりそうなんですけど……」

え! 1時間もあればって言ってたアレ? 頼んだの先週だよね。

「思ってた資料が違ってて……。でもお客さんに聞き回ればできるんで、明日朝までにはつくります」

明日朝は良いけど、それまでフクダクン、キミの他の作業はどうなるの? みんな手いっぱいだよ。おいおい、せめて昨日言ってくれ。

渋滞箇所を無事通過できるなと思っていたら、前の軽自動車が突然、トラック10台に変身した瞬間です。当然、道路は一瞬で大渋滞。プロジェクト全体の作業効率が、その小事のために崩壊します。まずは仕事の難易度や所要時間を冷静に見極めること。特にダイジなのは基礎情報のあるなし。なければ難易度や所要時間はいきなり変わります。なんでも早めに手はつけて、ちょっと作業をしてみて、まずはそこを必ず確認しましょう。

煮詰まったら抗わずに「寝る」こと

早めに手をつけたとしても、全部やる必要はありません。上記の「作業難易度」や、答えへの道筋やカケラがわかればいいのです。でもどうしてもそれらが見えなかったら、思い切って寝ましょう。眠気と戦いながらで、生産性は絶対上がらないので。

睡眠は脳にとって必須の作業です。睡眠中、脳は「短期記憶の整理」と「レミネセンス(追憶)による再構成」を行っています。それを行っているのが「海馬」。その役割は短期記憶で、数分間から数日間にわたる記憶をつかさどっています。そして大脳が眠る間、海馬は日中とりあえずため込んだ膨大な記憶の断片を、一生懸命「整理整頓」し始めます。

個々をつなぎ合わせて前後左右をつけ、うまくつながらないゴミは捨てていく。睡眠時間が足りないと、海馬は情報整理がやりきれず、脳の機能は大幅に低下します。海馬がオーバーフローして、短期記憶もままならなくなってもう意識もうろうの世界です。

もう一つの「レミネセンス」は、これと同じ作業の中で生まれる「自動的に整理・再構成された記憶」のこと。前日いくら練習しても弾けなかった箇所が、翌朝やったら、さらっと弾けたとか、考えても解けなかった問題に道筋が見えたとか。こういったことを睡眠中、海馬は勝手にやってくれています。夢の中で生まれた大発明・発見は、結構あるのです。

煮詰まったときには、運を自らの海馬に任せて、寝てしまうことも悪い賭けではありません。『火星の人』の主人公ワトニーのように!連載「第3回」参照

でもそれも、「早めにやる」からこそできること。自らのキャリア構築の第一歩として、「分ける」「早めにやる」ことで仕事の効率を上げましょう。そして、

・効率がいい→余剰分を仕事に再配分することで質も上げる→職場で認められる→評価も高まり余計な口出しもされなくなる→効率も上がりモチベーションも上がる……

の好循環に!

次回は本の話に戻って、そこから何を読み取るのかの「読め方」改革についてお話しします。これがキャリア構築(サバイバル)のための基礎スキルの2つ目です。

※《参考図書》『シゴトの流れを整える』(三谷宏治、PHP文庫)

三谷宏治
 KIT(金沢工業大学)虎ノ門大学院 教授。
 1964年大阪生まれ、福井育ち。東京大学理学部物理学科卒業後、BCG、アクセンチュアで19年半経営戦略コンサルタントとして活躍。92年INSEADでMBA修了。2006年から教育分野に活動の舞台を移し、年間1万人以上に授業・講演。無類の本好きとして知られる。著書に『経営戦略全史』『ビジネスモデル全史』『新しい経営学』など。『お手伝い至上主義!』『戦略子育て』など戦略視点での家庭教育書も。早稲田大学ビジネススクール・女子栄養大学で客員教授、放課後NPOアフタースクール・認定NPO 3keysで理事を務める。永平寺ふるさと大使、3人娘の父。

戦略読書 〔増補版〕 (日経ビジネス人文庫)

著者 : 三谷 宏治
出版 : 日本経済新聞出版
価格 : 1,100円 (税込み)

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