火星、木星間の準惑星 地底に塩水、氷火山も活動か

日経ナショナル ジオグラフィック社

2018年7月31日に、ドーン探査機が高度50キロから撮影したオッカトル・クレーターの深い亀裂(IMAGE BY NASA/JPL-CALTECH/UCLA/MPS/DLR/IDA)

古代の海の名残

地下にある塩水の貯留層は、過去にケレスに存在していた、より大きな海の名残であると、チームは結論付けた。ケレス全体が海で覆われていた可能性もある。凍結防止のために道路にまかれる塩を見れば分かるように、水に溶けた塩は水の凍結する温度を下げて、液体の状態を保つことができる。ケレスの塩水はマイナス30度と推測されているが、この温度で液体の状態を保つには、大量の塩と、粒子が細かく泥状になった鉱物を必要とする。

ケレスの塩水は「ダイビングに適していないことは確かです。おそらく、泥の深い沼のような状態でしょう」と、ジェット推進研究所の惑星科学者で、ドーンのチームメンバーとして今回の論文を共同執筆したジュリー・カスティーヨ・ロジェス氏は語る。

ケレスに衝突したものが何であれ、それによって氷火山の活動が活発になり、塩水が地表に湧き出たと思われる。地球上の火山と違って、ケレスの氷火山は地殻の水が凍って膨張し、地下の貯留槽に圧力がかかることで生まれる。

オッカトルの衝撃でケレスの地殻に亀裂が入り、その割れ目を通じて地下の塩水が地表へあふれ出た。外へ出た水は蒸発し、写真に見られる塩の堆積物だけがあとに残された。

ケレスの活動が今も続いていることを示唆する観測結果もある。7本の論文のうちの1本を執筆したイタリア国立天体物理学研究所の惑星科学者マリア・クリスティーナ・デ・サンクティス氏の研究チームは、オッカトルの明るい部分に、水和した塩化ナトリウムが含まれている証拠を発見した。この塩水の水分は、地表へ出てから100年以内に蒸発するはずだと、研究者たちは言う。だが、今はまだ水分が残っている。つまり、ケレスの氷の火山は今も活動している可能性がある。

高まる期待

ドーンや、15年に冥王星のフライバイ(接近通過)に成功したNASAのニューホライズンズ探査機のおかげで、小さな氷の天体がこれまで考えられていたよりもはるかに活動的であることが示された。これを見た科学者たちは、他の天体についても大きく想像を膨らませた。

ケレスで発見された明るい点のように、「どの惑星も、何か特別なものを持っているようです」と、ニューホライズンズの研究員も務めたマッキノン氏は言う。「共通点はあっても、どれもみな全く同じというわけではありません」

カスティーヨ・ロジェス氏の率いるチームは、ケレスへのサンプルリターン計画をNASAへ提案している。計画の承認、探査機の設計、建設に何年もかかるため、打ち上げは31年以降になるが、オッカトルから100グラムの鉱物を採取して、地球へ送り返す計画だ。

100グラムと聞くと大した量ではないように思えるが、ケレスのサンプルは過去に研究されたどんな鉱物よりも原始のままの状態であるはずだと、レイモンド氏は言う。「その研究が実現すれば、私たちは膨大な知識を得ることでしょう」

(文 MICHAEL GRESHKO、訳 ルーバー荒井ハンナ、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2020年8月21日付]

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