小さな不満もすぐ解消 現場の課題を把握、上司の務め日本ガイシ 大島卓社長(下)

――若いころの経験で、リーダーを考えるきっかけになったことはありますか。

「昔からアイデアを出すのが得意で、小学生の時は学級委員長として調整役を任されていました。私の親は教員だったこともあり、人はそれぞれ違う能力があって、それを生かすことが大切だと教えてもらった記憶があります。自由の裏には責任があることも学びました。そうしたことが、リーダーとなった現在に生きているのかもしれません」

「日本ガイシに入ったのはものづくりが好きだからです。小学校の家庭科の授業では、率先して班10人の全員のワッペンを作りました。中学校の修学旅行では、京都に向かう夜行列車で遊ぼうと、木工細工でつくったマージャンパイを持参しました。本物だと先生に取り上げられてしまうからです。自信作だったのですが、先生もあまりの精巧さに『知能犯だ。参った』と見逃してくれました」

中学校時代の修学旅行に向けて、マージャンパイを自作した

「高校ではサッカーでフォワードを務めました。スポーツも仕事も同じで、目標に向かって努力する姿勢は重要です。チームワークは言うまでもありませんが、個人の能力が高くなければチームとして強くなれない。会社の成長には、一人ひとりに活躍してもらう場をいかに提供するかがカギになると感じています」

頑張る社員に恩返ししたい

――今後、どのような組織をめざしますか。

「取引先や株主ら多くのステークホルダー(利害関係者)と関わるなかで、ただ利益を追求する会社ではいけないと感じています。日本ガイシは何を大切にするのか、外国人従業員や障害者雇用といったダイバーシティー(多様性)をどう推進するのか、ESG(環境・社会・企業統治)にどう向き合うか、など様々な視点で会社は評価されます。昨年、創立100年を迎え、目先のビジョンは明確にしているつもりですが、さらに50年後にどういう会社になりたいか、も考えなければなりません。世界の名だたる会社はこれができているので、参考にしたいです」

――トップとして、どのようなことに喜びを感じますか。

「社員が一生懸命に仕事に打ち込んでいるのが伝わってくるとうれしいですね。NAS(ナトリウム硫黄)電池の火災事故の時は部下が歯を食いしばって踏ん張ってくれました。その仕事に対する真摯な姿勢に頭が下がります。頑張る社員には、きちんと恩返しをしないといけないと強く感じています」

「目標を曖昧にしないよう、私は年頭に会社の1年の方針を漢字1文字で発表してきました。社長になった初年度は一人ひとりが目標を持ち、日々成長してほしいとの思いから『伸』を、その後は本質を追究したくて『質』などを掲げました。社員にも、目標を紙に書いたり、仲間に公表してもらったりしていました。年10冊読書するとか、中身は何でもよいのです。目標は心で思っているだけではだめで、実行に移して少しでも前進する姿勢を大事にしてほしいのです」

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大島卓
1956年東京都生まれ。80年東工大工卒、日本ガイシ入社。量産設備の技術者として、ベリリウム銅やNAS電池に携わる。11年常務執行役員、14年から現職。中部経済連合会副会長も務める。

(角田康祐)

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