「企業説明会ではつかみにくい社員同士の空気感が分かる」。早稲田大3年の女子学生は、6月に日用品メーカーが開催したインスタグラムのライブ配信「インスタライブ」に参加し、同社のインターンへの応募を決めた。配信では社員が就活時代のエピソードや企業を選んだ理由、働き方について説明していた。

インスタライブではオンラインで双方向のやりとりもでき、「質問しやすく、雑談に近い話で企業の雰囲気をつかんで応募ができた」と話す。

オンラインでのやりとりに距離の近さを感じる学生も増えている

企業側が発信する情報はこれまで「リクナビ」や「マイナビ」のような就活情報サイトで得るのが当たり前だった。しかし「会社のいいことしか書いていないので、雰囲気や実際の仕事内容を把握しにくい」(法政大4年の女子学生)と考える就活生が増えている。「リクナビに登録はしたが、それきり開いていない」(関西私大4年の男子学生)というケースも決して珍しくない。

就職情報サイトを運営するワンキャリア(東京・渋谷)の寺口浩大PRディレクターは、新型コロナをきっかけに「これまでリアルな場の企業説明会で企業の業務内容や雰囲気などの情報を得ていたが、SNSでも把握できることに学生が気づきつつある」とみる。

就活最後の面接では学生、企業ともに直接会って感覚が合うか確かめたいという声が多いが、最初の「視野を広げて業種をみて、企業を比較する段階では、SNSで地理的、時間的な障壁を解消できている」という。

座談会メンバー募る

企業も採用にSNSを積極的に使い就活生へのアピールに余念がない。

「エンジニア2人が参加するオンライン座談会を開きます」。転職求人メディアのアトラエで新卒採用を担う加賀れい氏は、情報発信の多くをツイッターに頼る。ツイッターで告知した学生対象のオンライン座談会をこれまで15回ほど開き、多いときには60人が参加したという。

企業の採用担当者が学生と直接つながるケースも増えている(アトラエの加賀れい氏のツイッターアカウント)

ツイッターでこれはという学生が見つかれば「いいね」を押して関係を結び、自社の魅力や採用情報を発信する。地道な努力もあり加賀氏のアカウントには約1200人のフォロワーがついた。働き方や仕事ぶりに関する社員の投稿も積極的にリツイートし、会社の等身大の姿を見せて就活生に同社で働くことを想起させることを狙う。

サイバーエージェントも採用担当者14人が実名、顔出しでツイッターに登録している。説明会やエントリーシートの締め切りの告知をはじめ、日々業務や考えたことなどについて投稿する。

実名・顔出しの狙いは「就活生が働く人の個性を感じて企業で働くイメージを想像できる」こと。学生は新型コロナによる景況感の悪化を受け、就活への危機感を募らせている。そのため、学生からのリプライやメッセージなど反応が例年以上に増えているという。

「情報戦」とも言われる就活。学生も企業も、SNSを含む様々なツールを上手に使い分けられるかが成否を左右する。

(企業報道部 結城立浩、赤堀弘樹、鈴木洋介)

[日経産業新聞 2020年8月26日付]

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