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ラジオパーソナリティーの語り口はビジネスでも参考になる(写真はイメージ)=PIXTA

ラジオパーソナリティーの語り口はビジネスでも参考になる(写真はイメージ)=PIXTA

「ラジオの力」が見直されているらしい。コロナ禍のせいで、家で過ごす時間が増えて、「人の声」を聞けるメディアとして再評価されつつあるという。実はラジオは「しゃべり」のスキルを高めるうえでも役に立つ。リモートワーク中の「ながら聞き」で、トーク術を磨くという一石二鳥も狙える。

「近ごろ、ラジオを聞くことが増えました」という声をかなり耳にするようになってきた。以前からのラジオファンに加えて、新たなリスナーが増えたのは、やはり「家ごもり」のおかげだろう。

文化放送というラジオ局に就職してアナウンサーになり、今は山梨放送で午後の番組のパーソナリティーを務めている。甲州ワインの元となるブドウを栽培する農家の人たちも畑でラジオを鳴らして応援してくださっている。半世紀近くも「ラジオの人」であることは私にとって何よりの誇りだ。

ラジオは「出しゃばらないメディア」だ。目と耳を独り占めにしない点で、テレビやゲームに比べて、控えめの存在ともいえる。

たとえば、リモートワークの際も、テレビほどには仕事の邪魔になりにくい。視線はパソコンのディスプレーに向けたまま、耳だけで楽しめる。

番組を進行するパーソナリティーの存在も大きい。「個性」を意味する英語がそのまま使われていることからも分かる通り、各自の持ち味が出やすい。リスナーの側も、話し手の「人肌の語り口」「格好をつけない素の部分」を味わうように聞いてくださる。

ラジオのパーソナリティーに、通り一遍の「利いたふうな口をきく」ことは許されない。「本音をしゃべれ!」と教え込まれた。「その人らしさ」のないラジオに意味はないと思う。

そのことを具体的に手取り足取り教えてくれたのが、文化放送の先輩、みのもんたさんだった。みのさんは何をやるにも「みの流」を押し通した。「クイズ$ミリオネア」で見せた、「長~い沈黙」で解答者を追い込む「みの溜(た)め」は、世界中で放送されたバージョンのどこでも見ない「日本オリジナル」というか、「みの流」の演出だと聞いた。

ラジオであんなに長い間を空けると、「放送事故」になるが、「絵があるからこそ、許されるテレビの世界」を心ゆくまで楽しんでいたのだと思う。みのさんは「テレビの人」になって大成功したわけだが、私のイメージでは「根っからのラジオの人」だ。

飲み屋での「何でもない世間話」でも、聞き手である私の目の前にありありと映像が浮かび上がってくる。VTR素材が流れてくるわけではもちろんない。「聞き手の頭の中に絵を見せないと、ラジオじゃない」を学んだのは、そんな「飲みの場」での体験からだった。

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