「EAH-AZ70W」は100段階で調整可能

小原 肝心のノイズキャンセリングですが、どちらも甲乙付けがたい出来栄えでしたね。

小沼 そうですね。「ATH-ANC300TW」は航空機内のエンジン音など大きな音を消してくれる「Airplane」、車の走行音など日常的な屋外の音に対応した「On the go」、オフィスやカフェなどの雑音を消す「Office/Study」の3段階のノイズキャンセリングが用意され、アプリで調節できます。

小原 主に電車に乗っているときに「Airplane」「On the go」を使いましたが、どれも自然な消音で音楽を際立たせてくれました。

小沼 自宅で仕事をしていて、同居人の生活音が気になるときに「Office/Study」モードを使用しました。音楽を聴かずにノイズキャンセリングだけ使用しましたが、ノイズは消してくれるけど呼びかけられたら気づく、という使い勝手の良いバランスでした。

小原 アプリの作りは簡素でしたが、シーンごとに選べる3段階というのは明快で良いですよね。一方、「EAH-AZ70W」のノイズキャンセリングは100段階。アプリを使って細かく調整できます。

小沼 こちらも自然な消音でした。装着したままカフェに入ったのですが、あまりに自然なので起動しているか不安に思ったくらい(笑)。イヤホンを外して「こんなにうるさかったんだ!」と驚きました。

小原 イヤーピース自体の遮蔽性が高いこともあるでしょうね。ここまで細かく調整できたところで、どれだけ活用できるかなとは思いましたが(笑)、自分に最適なバランスを見つけたい人にオススメです。

「EAH-AZ70W」(左)と「ATH-ANC300TW」(右)を装着したところ。どちらも本体の重量は7グラムと非常に軽い。イヤーピースは小さめを選ぶと遮蔽性が高まり、ノイズキャンセリング効果をより発揮できる

高音質なaptX対応「ATH-ANC300TW」

小沼 重さは「ATH-ANC300TW」がイヤホン片側7グラム、ケース50グラム。「EAH-AZ70W」はイヤホン片側7グラム、ケース65グラムでほとんど変わりません。ケースの形状は「ATH-ANC300TW」が立方体に近く、「EAH-AZ70W」はやや細長い形状。僕はポケットに入れて持ち歩くので、縦にして収納できる「EAH-AZ70W」のほうが、収まりが良かったです。

小原 「ATH-ANC300TW」はケースのデザインが他にない形で格好いいですね。ずんぐりして見えるけど、カバンに入れて携帯するなら気になりません。それから、「ATH-ANC300TW」は「aptX」に対応しているんですよね。

小沼 「aptX」はBluetoothの高音質なコーデックでしたよね。

小原 そうです。ただ、aptXのデータ量が多い影響なのかペアリングが途切れやすかったですね。

小沼 AACで聴いていたのですが、それでもプチプチと音が途切れることがあって……。最近はペアリングの質が向上していて、途切れる機種はほとんどないので、余計に気になりました。これは残念でしたね。

小原 高音質へのこだわりは評価したいですけどね。ちなみに、テクニクスに「EAH-AZ70WはなぜaptXに対応しなかったのか」と聞いてみたところ、「コストが上がったり、データ量が大きくなったりすることで不安定になるよりは、安定性を選んだ」と言っていました。メーカーもまだ試行錯誤しているところがあるのかもしれません。

新たな潮流? アプリ併用の完全無線

小沼 総合的にみて、小原さんはどちらが良かったですか?

小原 「ATH-ANC300TW」ですね。強烈なアピールポイントはないですが、疲れにくくて良い音ですし、aptXに対応している点も評価したい。3段階のノイズキャンセリングもわかりやすかったです。

小沼 「ATH-ANC300TW」も捨てがたいですが、接続がやや不安定だったのが残念でした。その意味でも、僕は「EAH-AZ70W」派。情報量の多さとノイズキャンセリングの自然な効き具合が良いと感じました。

小原 高音質なコーデックに対応したバランスの取れた音で、ノイズキャンセリング機能が分かりやすい「ATH-ANC300TW」と、情報量の多い音作りで、ノイズキャンセリングが自在に調整できる「EAH-AZ70W」。どちらも良いイヤホンだと思います。それにしても、最近はアプリを併用する完全ワイヤレスイヤホンが増えてきましたね。

小沼 そうですね。ノイズキャンセリング機能を調節するだけでなく、イコライザー機能を搭載したものもあり、どんどん充実してきています。新たな潮流と言えるかもしれません。

小原 僕はスマホではなく音楽専用プレーヤーを使って音楽を聴くことが多いから、それだとアプリが使えなくてちょっと残念。専用機ならではのこだわりが詰まった音楽専用プレーヤーもたくさん出ているので、メーカーには専用機も視野に入れて開発してもらえたらうれしいですね。

小原由夫
1964年生まれのオーディオ・ビジュアル評論家。自宅の30畳の視聴室に200インチのスクリーンを設置する一方で、6000枚以上のレコードを所持、アナログオーディオ再生にもこだわる。今回の試聴で使ったアルバムは「ピック・ミー・アップ・オフ・ザ・フロア」(ノラ・ジョーンズ)など。

小沼理
1992年生まれのライター・編集者。最近はSpotifyのプレイリストで新しい音楽を探し、Apple Musicで気に入ったアーティストを聴く二刀流。今回の試聴で使ったアルバムは「WOMEN IN MUSIC PT. III」(HAIM)など。
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