庭やベランダでも キャンプ用品好調、価格も手頃に
キャンプなどアウトドア用品の市場が拡大しています。新型コロナウイルスの感染拡大で、「密にならない」レジャーとしてキャンプに注目が集まっています。キャンプ関連用品の価格帯にも大きな変化が出ています。
防災用にも人気
こちらは矢野経済研究所が調べたアウトドア用品の市場規模ですが、ここ数年順調に成長しています。この大きな要因となっているのがキャンプ用品です。キャンプ自体の人気が高まっているのはもちろんですが、それ以外にも理由があります。まずは防災意識ですね。今年も7月に九州を中心に豪雨災害がありました。近年の異常気象の影響で防災への意識が高まっています。停電時に使える照明や簡単な調理器具、寝泊まりするための寝袋やテントといったキャンプ用品が売れているんです。
さらに、この春以降はコロナが違った意味で影響を与えています。屋外で楽しむキャンプは感染リスクも比較的低いですし、「密」を回避するという意味でも人気となっています。テントやキャンピングカーを使えば他の人たちとも距離をおきやすいです。旅行にも制限があり、外出自粛明けの反動で新たにキャンプを始めたという人も多いようです。現在の環境では非常に適したレジャーかもしれませんね。
実際、直近の売れ行きも順調です。日経電子版の記事によりますと、アウトドア用品の売れ行きはアルペンアウトドアーズでテントが前年比で5割増、コンロが2倍になっています。テントや寝袋も高い伸びです。人気のほどがうかがえますね。
「ベランピング」人気も追い風
その人気を象徴するように「ベランピング」という言葉も生まれています。ぜいたくな環境でのキャンプを意味する「グランピング」を、家庭のベランダやバルコニーで楽しみます。インスタグラムには3万件以上投稿されているほど注目のキーワードです。通常のキャンプよりもハードルが低いため、ベランピングから始める人も多いようです。キャンプ人口のすそ野拡大につながっています。
低価格商品が台頭
キャンプ用品の価格も手ごろになってきました。これまでキャンプ用品で人気のものといえば、日本や海外の専門メーカーの商品でした。品質が重視されていたため、高価なものが多かったです。ただ、キャンプ人口の増加に対応して、最近目立っているのが低価格帯の商品です。象徴的なのが100円ショップです。大手のセリアミーツ国分寺店(東京都国分寺市)で取材してきました。いろんな種類のキャンプ関連用品があります。エリア店長の千葉梨奈エリア店長に聞くと420種類くらいあるそうです。火おこしに使う火吹き棒や折りたためるスプーンとフォークなどが人気商品です。
キャンプ関連用品の売り場は最初、2018年に展開し、売り上げが伸びているため19年、今年と販売を継続しています。「今年も売り上げは好調です。夏には全ジャンルのなかでも1、2位を争うコーナーになる」(千葉さん)
調理に使う「クッカースタンド」など、これまで1000円以上していた道具でも100円で並んでいるのには驚きでした。100円ショップ以外でも、ネット通販では日本や欧米のキャンプ用品メーカーのヒット商品をそっくりにマネた中国製商品も増えています。
一方で高額な商品も人気です。キャンプ人口が増えるにつれて、以前からの愛好家は「こだわり」をみせるため、値段も高いが品質がいい商品を選ぶからです。キャンプ用品の価格帯が広がったことで消費者の選択肢が増え、さらに市場拡大につながるという好循環が生まれているようです。
(BSテレ東日経モーニングプラスFTコメンテーター 村野孝直)
BSテレ東の朝の情報番組「日経モーニングプラスFT」(月曜から金曜の午前7時5分から)内の特集「値段の方程式」のコーナーで取り上げたテーマに加筆しました。
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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