「独学こそ社会人に最高の勉強法」 野口悠紀雄氏経済学者 野口悠紀雄氏

必要なことを自由に学ぶ
「独学」こそ、社会人にとって
最高の勉強法である

――社会人が学び続けることの大切さを以前から提唱してきた野口悠紀雄さん。新型コロナウイルス対策でテレワークが広がり、日本人の働き方が大きく変わる中で、学びの重要性がますます高まっていると指摘しています。

情報技術やAI(人工知能)の進化で時代が急速に変化する中で、経済社会やビジネスの在り方も大きく変わってきています。こうした時代に仕事で活躍を続けるには、新しい知識や技術を学び続けていく必要があります。

これまでの日本は長時間労働が当たり前で、社会人になると学ぶ時間を確保することがなかなかできませんでした。しかしその状況が、コロナで一変したのです。

リモートワークの普及によって多くの人は、自由に使える時間が増えたはずです。問題はその時間をどう使うか。ただ家でゴロゴロして過ごしている人もいれば、自分なりの意識を持って学び始めた人もいるでしょう。コロナ禍で生まれた新しい時間の使い方が、コロナ後の社会でどれだけ活躍できるかの差につながると思います。

――スクール通いではなく、自らテーマやカリキュラムを設定して1人で勉強する「独学」を勧めるのはなぜでしょうか?

社会人にとって、独学が最も効率的な勉強法だからです。基礎的な知識を広く学ぶ学校教育とは違い、社会人の場合は、学ぶべき内容や必要な知識の深さが、仕事や立場によって大きく異なります。

受動的に学ぶ講座形式とは違い、独学では自分の知っていることは飛ばし、必要なことだけを深く掘り下げて学ぶことができます。いつ、どんな教材を使って学ぶかも自由に決められる。学ぶべきことの優先順位が途中で変わったとしても、状況変化に柔軟に対応することができます。

何より、自分の中にある「学びたい」という本能で行う勉強は楽しい。学ぶことの喜びを、独学は改めて実感させてくれるはずです。

――独学は強制力が働かず、継続が難しいという面もあります。

もちろん短所もあります。つい怠けたくなること。カリキュラムを組み立てるのに手間がかかること。共に勉強をする仲間がいないことなどです。

ただ、こうした短所は工夫次第で克服できます。今はインターネット上にいくらでも独学を助けてくれるツールや教材がありますから、そうしたものを活用してカリキュラムを作るのも手です。仲間が欲しければ、学んだことをブログで発表するなどして、ネットで仲間をつくればいい。難題の「いかに継続するか」については、はっきりした目的意識と強いインセンティブを持つことだと思います。

教養を深めたい、何かに詳しくなりたいといった漠然とした目的では、独学は続きません。「会社で新しいプロジェクトを立ち上げる」などの具体的かつ実現可能な目標と、達成に向けたインセンティブを持って学ぶことが大切です。

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